第6話

 神官様たちがいる村の社は、村の集会所件子供たちの学校でもある。

 村の子供たちはみなここで読み書きと簡単な算術を習う。

 

 俺もレインも神官様から習った。レインは小さなころから可愛く男の子たちの注目のまとであった。

 このころの男の子は気になる女の子の気を引くためによくイタズラするものだ。

 そのためレインはいつも男の子たちの標的になっていた。

 

 俺はそんなレインを守る役目だ。いや一つ間違えば同じようにイタズラする側になっていたかもしれない。なぜそうなったのか今では覚えていないが、ただ毎回レインを庇い守っていた俺はレインに好かれた。

 

 ほかの女の子たちは、男の子に人気があるレインを嫉妬したため同性にもレインは仲良くできる子はおらず、結果として俺がいつも一緒に遊んでいた。

 

 そんな状況であればお互い相思相愛となることにさして時間はかからなかった。

 

 結婚の約束もした。お互い成人を迎えたら結婚式を挙げようとお互い誓い合った。

 

 イジメていた村の同年代の男たちは、成長するにつれて自分たちの誤りに気が付いたが後の祭りである。

 俺は自分が判断を間違えなかったことに誇りをもっている。


「なつかしいですね、ロイもついこの間までああしてレインと遊んでいたのに、時がたつのは早いものです」

 神官様は遊んでいる子供たちをぼんやりと眺めている俺の横に立ちいう。

 

「やめてください、ずいぶん昔ですよ」

「なにをいっているのですか、私にとってはつい最近のことですよ」

 神官様は朗らかに笑った。

 

 この村で育ったものたちの中で神官様に頭が上がる人間なぞだれもいない。神官様は高潔であり子供たちを教え導き村の相談役でもある。

 レインを見出したことで、別の街でもっと位の高い役職を貰えたはずだがこの村から動こうとしなかったと聞いた。

 

 神官様は悪くない。神官様は悪くないのだ…。

 

 だけど、だとしたら悪いのは誰なのだろうか。

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