第4話

 俺は街で登録をすませ冒険者になった。

 レインと暮らす日々のため畑の開墾にいままで精を出していたが、手紙を出すためには現金収入がほしい。

 あるいは自分で王都までレインに会いにいっても良いだろう。親父たちにはずいぶんと反対されたが強引に押し通した。

 

 とはいえまだソロで活動できるだけの力などない。

 しばらくは村にいる冒険者を引退した爺さんを師と仰ぎ村の周辺で狩りをしている。獲物は動物から魔物までだ。

 

 このあたりでは魔物の目撃は少ないが、大型魔物がでれば村総出で狩りをすることになる。けが人も出るし下手したら村人の中に死人すらでることもある危険な作業だ。

 

 入念に準備をし、罠を仕掛けて魔物を狩る。

 間違っても正面から剣を振るうなどということをしてはいけない。

 罠にかけ遠くから投げ槍や弓で片づけるのがベストだ。倒した魔物はボロボロでギルドの買取窓口では買いたたかれるが命あればこそだ。

 

 爺さんは、自分は大した冒険者ではなかったというが、冒険者やっていてその年まで生き延びったのだから十分な腕だったのだろう。

 

 手紙は相変わらず届いている。

 内容は村の近況を尋ねるもの、王都での生活、会えなくて寂しいことなどがつづられている。聖女としての修行は厳しいらしく愚痴も多い。

 

 魔物を倒して貯めたお金で手紙を書いて送った。手紙など書いたことがなかったのでうまく書けなかったがレインの励みになればよいと思う。

 

 

 手紙のやり取りは続いている。

 

 王都での生活は華やかなようだ、美味しい食べ物の話、おもしろい劇を観に行ったという話。

 王宮での舞踏会でこの国王子と踊ったという話。王に謁見し声をかけてもらったという話。

 

 巨大で人の多い王都は日々出来事も多い、刺激にみち楽しそうな日々であることが伝わってくる。

 少しずつ村へ帰りたいとう言葉がでなくなってきている。心が村から離れていってしまったのだろうか?

 

 心配だ。

 そのことを手紙で尋ねると、すぐさまそんなことはないと帰ってきた。その言葉を信じるしかないのが歯がゆい。

 

 

 手紙のやり取りは続いている。

 

 聖女としての修行の一環で魔物討伐へ参加したらしい、軍へ帯同しけが人の回復を担当したと書いてきた。どうも最近魔物の活性化があちこちで起きているらしい。

 

 村の周辺は大丈夫かと聞いてきた。俺が村の周辺の魔物退治をやっていると答えるとひどく驚いた様子で危険だから止めるべきだといってきた。

 

 とはいえ魔物退治で手紙を出すお金を得ているのでやめることはできない。手紙では止めることにしたと書いたがもちろん続けていた。畑仕事では現金収入が少ないのだから仕方がない。

 

 

 手紙のやり取りは続いている。

 

 聖女としての修行が終り、正式に聖女として認定されたらしい。

 

 村に帰ってこられるかと思いきや、今度は聖女の仕事として魔物領域との境界の砦の慰問に出ているらしい、定期的に地方へ廻り王都に帰ってくるという生活。

 地方では歓迎されいろいろな珍しいものを見ているというが、忙しくて村に帰る暇がないと嘆いてる。

 

 そんなレインの手紙に俺は生きる世界が違ってしまったのかと弱気になる。

 

 俺は森で毎日魔物の痕跡を調べ罠をはり倒す生活。

 このやり方では小遣い稼ぎ程度の儲けにしかならない。村の安全を買っているといえばそうだが、こればかりでは先行きに不安だ。

 

 街にいきほかの人間とパーティを組んで仕事をしたほうがよいだろうか、爺さんに尋ねたら危険だからやめたほうが良いというが、最終的にはお前が決めろといってきた。

 

 聖女として活躍しているレインとただの村の男である俺では、つり合いが取れないかもしれない。名のある冒険者にでもなれればレインを迎えにいくこともできるだろうか。

 

 どうしたものか…

 

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