第2話

 幼馴染のレインが王都へ旅立った。

 

 俺、ロイとレインはこの村で育った幼馴染だ。二人で成人したら結婚しようと約束している。子供の頃の約束だが俺は成人の義を終えたら改めてレインに結婚を申し込むつもりだ。

 

 まだまだ二人で生活できるほどのお金もないので当分のあいだは約束のみになるだろう。

 もちろんレインが承諾してくれればの話だが、うぬぼれではなくレインは了承してくれると思う。

 

 そう思って切り出すタイミングを計っていたのだが、レインは先に王都に行くことになってしまった。

 この村ではレインがいたせいかそれほど珍しいとは思っていなかったが、治癒能力者というのはもの凄く珍しいらしい。

 15才での成人の儀が終ったあと、神官様に連れられて王都へ旅立った。

 

 やはり王都というのは憧れがある。俺も1度くらいは王都へ行ってみたいが行く機会があるかどうか。

 レインは非常に楽しみなようで最近はしょっちゅう王都の話題を出していた。

 王都で食べ物や仕立ての良い服。王城の煌びやかさ門や城壁の大きさなど、早く行きたくて行きたくてたまらないといった感じだ。


 神官様に俺も連れて行ってくれないかと頼んでみたが、すげなく遊びでいくのではないと断られた。

 この話しを聞いた中にも行きたそうにしていたやつらも多くいたため仕方ないといえば仕方ない。村での仕事をほおりだしてぞろぞろと観光気分でいくわけにも行くまい。

 

 レインも残念そうにしていたが、お土産をいっぱい買ってくると意気揚々に出発していった。


 しかし、その後1週間たっても1か月たってもレインは村に帰ってこなかった。

 

 レインはいつ帰ってくるつもりなのか、いい加減不安になる。

 俺たちがこんなに長く離れていたことは始めてだ、早く帰ってこい。


 レインが王都へ出発してから2か月たったある日、神官様一人が帰ってきた。

 

 レインはどうしたのかと聞くとレインは王都で聖女になるための修行しているらしい。

 これをと、携えてきたレインからの手紙を渡された。それを見て一緒にいたレインの両親と顔を見合わせる。


「あの、レインはいつ帰ってくるのですか?」

 レインの親父さんは戸惑ったように神官様に聞く。


「あの子は、王都で修業しています。帰ってくるのは当分先となるでしょう」

 神官様はわずかに顔をしかめながらいう。


「当分とはいったいいつまで…?」


「聖女の教育が終るまでです。それがいつになるか私にはわかりません。心配しなくてもあの子は教会で預かっていますよ。安全であの子に危険はありません」

 困惑するレインの親父さんを慰めるように神官様はいう。


「聖女の認定は大変名誉なことです、後日王都から聖女を生み出したこの村に報奨金もでることでしょう。あの子がいないのはさみしいことかもしれませんが、当分の間は我慢してください」


「…わかりました」

 レインの両親は納得できない様子だったがとりあえずそういった。

 俺はただそのやり取りを茫然とみていることしかできなかった。


「あの子から手紙を預かってきました。ロイあなた宛ての手紙がありますよ、ゆっくり読むと良いでしょう」

 初めて受け取る手紙がレインからの手紙だなんて、俺はなんともいえない気分を味わっていた。

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