BLUMEN HOUSE ーブルーメン ハウスー

采岡志苑

第1話

 いつからなのかは分からないが、それの耳にはけたたましい騒音が鳴り響いていた。視界がはっきりしない為か、目の前は暗く薄赤い景色が広がっていた。


 それは現実なのか、または夢なのかも分からないぐらいに意識がはっきりとしない。自分に手足があるのかも怪しいくらいに感覚がなかった。今、自分の手は動いているのか、足は前に出ているのかそれすら分からないほどだった。


 だが、自分の目を通して映像は入ってくる。音もまだ聞こえている。甲高い音が一定の間隔で鼓膜を突き破ってきていて、ほかの音が何も聞こえなかった。


 ようやくといっていいくらいに、視界が鮮明になってきてソレの眼前に色以外の景色が映し出された。何やら大きい箱のようなものが並んでおり、首を動かすと、自分の左右にも似た物体が並んでいた。箱の中心はガラスのようなものが張られており、中が見えるようになっていたが、中身はなかった。それどころか、所々にあるその箱は、ガラスが割られており、ひどいものだと凹凸が激しく壊されているものがあった。


 そして自分も同じ箱に入っているのだと、しばらくして理解する。しかし箱にはふたがなく、自由に出られる状態だったがまだ手足の自由は戻ってこなかった。


 

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