メイド喫茶へ02
先生と一緒に屋上から4階に降りると、4階は屋上とは比べものにならないくらい賑わっていた。
「すっごい数の人っすね」
「1年B組のおかげですよ。例年なら1年生のお店は結構ガラガラなので」
やっぱ委員長とゆのの2人がいるのがデカいよな。
教室の外まで連なったB組の列。
関係者とはいえ客として入るので俺と先生は最後尾に並んだ。
列に並ぶ人たちを見ていると、玉木先輩が配っていたチラシを持っている人が沢山いた。
廊下側の窓を少しだけ開けて教室の様子を見る。
普段は地味な制服姿のクラスメイトの女子たちがメイド服を身に纏って、忙しそうにあっちこっちしてる。
「みんな忙しそうですね」
「うほぉ〜しっかり目に焼き付けねば」
「もー、またそんなえっちな目で見て! ダメです!」
先生は俺を押し退けて窓をパシャリと閉める。
「えぇー。いいじゃないっすか、少しくらい」
「ダメです! オタクたるもの、礼儀を重んじなければなりません。特に、不純な心持ちで女の子たちを見るのは許しません」
「俺もそうだけど、オタクなんて不純な塊だろ(偏見)」
その後も、先生と雑談しながら列で待っていると、やっと俺たちも教室に案内される。
すると真っ先に接客で来たのが——。
「おかえりなさいませっ、お嬢様っ」
薄ピンク地のメイド服を見に纏ったゆのだった。
あざとさMAXのツーサイドアップと、ゆのお得意の涙袋をアイシャドウで赤くするメイク。
そして何より目が行くのは、ゆののメイド服。
周りを見渡してもゆののメイド服だけ胸元に小さなハートの穴があり、少しだけあの胸の谷間が見える。
あぁ〜今すぐあの穴に、手を(自主規制)。
「おいゆの、ここにご主人様もいるぞ」
「お嬢様ー、こちらの席に」
「無視すんな!」
「……はいはい、ご主人さまも勝手にどーぞ」
「こ、こいつ」
「まぁまぁ佐野くん。部長は照れ隠しで素っ気なくしてるんですよ」
「ほほぉ、なるほど」
「ちーがーうー! 孔太くんに見られて恥ずかしいなんて思ってないし! 早く別のご主人様のお迎えしたいなー」
「んだと、俺の世話もしろよこのえちえちメイドがっ!」
「はぁ? 孔太くんのお世話とか嫌だから!」
俺とゆのと睨み合っていると、割り込むように誰かが水を運んでくる。
「こちら……お水です」
テーブルに伸びてきたコップを持つ綺麗なその手。
この手……は……まさかっ。
「ご主人様とお嬢様のご帰宅、お待ちしておりました」
そのメイドは淡々と定型文を口にする。
この、メイド服のあざとさとは対照的にクールビューティな佇まいは。
「いっ、委員長……っ!」
今日の委員長は、いつもの黒髪ストレートヘアや休日の三つ編とは違って、ウェーブのかかった髪を肩にかけて前髪も左に寄せ、いつもは見えないおでこを見せている。
「あ、あまり見ないで……佐野くん」
「可愛いね、委員長」
さっきまで堂々とメイドさんをしていたのに、俺がタラシ文句を言うと、委員長はおぼんを使って顔を隠す。
可愛ぇ。今すぐこの子だけお持ち帰りしてぇよ。
それにしても……委員長のメイド服最高だな。
ネイビーのミニスカメイド服で、あのクールな委員長がフリフリな服を着てるギャップがたまらんっ。
特にミニスカから垣間見える太ももが、アァッ(尊死)。
ゆののハート穴も最高だが、委員長の絶対領域にも手を突っ(自主規制)
「で、先生と孔太くん、ご注文は?」
「もっとメイドらしくしろよ」
「うるさいっ。早く注文してっ」
ゆのはガッツリ照れ隠しで俺にキツく当たってくる。
今夜は俺の脳内でしっかりお世話してもらうからな、楽しみにしてろよグヘヘ。
「へぇ、学園祭の規模にしては、色々とメニューがありますね。佐野くんどうしますか?」
「オムライスも悪くないなぁ(チラッ)」
ゆのと委員長を横目で見ると、二人とも「オムライス」に反応して、体を震わせていた。
「どっちにオムライスのケチャップやってもらおーかなぁ〜」
「グヘヘー。私と佐野くんでオムライス2つ頼めば2人にやって貰えますヨォ〜」
「おほぉー、先生もワルですねぇ」
俺たちがニタニタしてると、なぜか俺だけゆのにゲンコツを食らった。
「さっさと頼めっ、ばかっ」
ゆのにお叱りを受け、俺と先生はさっさとオムライスを注文すると、二人は調理場の方へ行ってしまった。
「ねえねえ佐野くん、南雲さんのメイド服は私がデザインしたんですよっ」
「先生……まじでグッジョブです」
「いやぁ、それほどでも。南雲さんはブルベなので、色に合うようにできるだけ落ち着いた雰囲気を出せるようにしました。ミニスカなのは、南雲さんの太ももがエチチチッなので」
ナイスだぜ先生。その調子で今度玉木先輩のメイド服も繕って貰うとするかぁ。(ゲス顔)
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