文化祭準備開始!05
委員長は屋上に戻ってきたゆの一緒にクラス展示の方へ行ってしまった。
俺も今日は早めにフリーハグを切り上げることにした。
委員長との交渉は上手くいったし、先生に報告してから帰るか。
下校前に職員室へ顔を出すと、安西先生と保健室の
完全にぼっちだと思っていたが、まさかエリー先生と仲が良かったとは……。(まぁ2人とも浮いてるから同族か)
俺が職員室に来たことにすぐ気づいた安西先生が控えめに手招きしてくる。
「佐野くんお疲れ様です。その顔からしてどうやら南雲さんとの交渉は上手く行ったようですね」
「そうなんすけど……安西先生ってエリ先と仲良いんすね? 意外だなぁ」
「エリ先言うな」
エリ先にほっぺをつねられる。(ご褒美)
「エリー先生は私の教え子なんです」
「教え子⁈」
「私が1年目の時にエリー先生は3年生だったので。まぁ、教え子と言っても、たまたまエリー先生のクラスの国語を担当しただけなんですが」
そっか安西先生って今年4年目だから、1年目の3年生は、短大なら今年から社会人になるのか。
……あれ? ハーバードって飛び級しても2年では卒業できないよな?
「おい佐野。陰キャのくせに気安く話しかけてくるんじゃないわよ」
「……学歴詐称(ボソッ)」
「は?」
「佐野くん! そんなこと言ったらエリー先生に失礼ですよ!」
「先生、よく考えてみてください。天下のハバ卒がこんなところにいるわけないじゃないですし、この人色々矛盾してますよ」
「はば卒? それなら嘘じゃないですよ」
「え?」
「だってエリー先生は、はばたき短」
「まほろちゃん! それ言っちゃダメだから!」
エリ先は慌てふためきながら安西先生の口を塞ぐ。
あぁなるほど。全部理解した。
「あんた、今の話言いふらすんじゃないわよ!」
「へいへい」
何はともあれ、安西先生にも仲の良い同族がいて安心した。
「エリー先生、1年目の安西先生ってどんな感じでした?」
「1年目のまほろちゃん? そうね、ワタシのクラスではめっちゃ嫌われてたわよ」
本人の前でくっそストレートなことを言うエリ先。
安西先生の顔が固まる。
あー泣くぞ、ほれ泣くぞ。
「——でもね、唯一ワタシだけが仲良くしてあげていたの。だから、今の柔らかいまほろちゃんがいるのもワタシのおかげってワケ」
「え、エリーちゃん、恥ずかしいからやめてください」
……教師×元生徒の大人百合が咲いとる。
お、俺は宗教上の理由で、百合に混ざることはできない。(3度目)
「俺はこの辺で失礼しますね。先生また明日」
「佐野くんちょっと待ってください!」
空気を読んで帰ろうと思ったら安西先生が俺を呼び止める。
「言い忘れるところでした。今朝話した"あの件"、ちゃんと了承を得てきましたので」
「……そうですか。ありがとうございます」
先生にも頼んでいたもう一つの交渉も上手くいったそうだ。
これで水曜までになんとか間に合う。
「……佐野くん、あとはあなた次第です」
「分かってます。絶対に成功させますから」
全ての準備は整った。
あとは俺が体を張ってやるだけ。
——ついに、文化祭が始まる。
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