幼馴染は天才軍師01
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新作がスタートしました!
『ファーストキスの相手と結婚しなければならない社長令嬢と、目つきが悪くてぼっちの俺のペットボトル1本から始まる初々しい恋愛』
https://kakuyomu.jp/works/16817139556677836792/episodes/16817139556679459015
ファーストキスの相手と結婚しなければならない社長令嬢と間接キスしてしまったぼっち主人公の新感覚ラブコメです!
フォローと星評価をどうかよろしくお願いします!
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夕日が落ちる頃合いにゆのがコーポから帰ってきた。
「ただいまー。孔太くん何やってんのー?」
「……ゲーマーとしてのプライドをかけた戦争だ」
「ふーん。きもいね」
ゲームをやる俺の傍らでゆのはそう吐き捨てながら、制服姿のまま部屋に上がり込んでくる。
「文化祭の方はどうだ? 明日で平日は終わっちまうが」
「そのことなんだけどさ」
ゆのは部屋のちゃぶ台の上に、百均で買ってきたと思われるピンクのアイマスクを置いて座った。
「孔太くん……文化祭ではこれをつけてフリーハグして」
「アイマスクをしてフリーハグ?」
「うん。自分には下心が無いってことを証明すべく、フリーハグする本人が相手の人種や性別を認識しないために用いるの」
「それは俺が中学生とかをエロい目で見ていると言いたいのか?」
「うん。だって孔太くんだから」
失礼なやつめ。俺は歳下には興味がないとあれほど言っているのに。
俺は試しにアイマスクを付けてみる。
おお、こりゃまた"新しいプレイ"に使えるかもな……。
「これを付けて玉木先輩と委員長に抱きつきてぇー。嗅覚と触覚のみで2人を感じたい」
「うわぁ……また脳内からお漏らししてる」
「マジ?」
俺はアイマスクを外す。
視界に入ってきたゆのの引き攣った顔からして本当に口から漏れていたようだ。
「本当にキモいからやめて。あの2人には来ないよう言っておかないと。あ、でも田中くんは呼んでおくからねっ」
ラグビー仕込みのハグは骨に響くから、大事な文化祭には呼ばないでほしい。(切実)
「文化祭はアイマスクを使うとして、他には何かしないのか?」
「それはまだ、考え中、かな」
「なんでもいいから妙案は浮かばないか?」
「ごめんね期待に応えられなくて……。こんな無能じゃ、わたし、自称心理学者になっちゃうよね……」
ゆのが涙ぐんだ声で言いながら、顔を覆った。
……いや、今も自称心理学者だろ。
「わたしが無能だからこのまま心理学実験部も、生徒会長も、みんな、不幸に——」
「おいおいネガティブゆのが出てくるには早すぎるだろ。時間はまだあるんだからそんな顔すんなって——あと、心理学実験"同好会"'だからな」
「……孔太くん」
宥めるためにゆの背中を撫でてやると、弱った子犬みたいに身体を縮める。
それでもまだ俯くゆのを見ていられない。
こりゃよっぽど落ち込んでるな、
「そ、そうだっ。今日はパーっと出前でも取るか! 何食べたい?」
「……納豆巻き」
「な、納豆巻きかー。納豆巻きならコンビニにあるし、今から買ってくるよ。他に欲しいものは?」
「……ビス●」
「ビ●コだな。よし分かった! 行ってくる」
俺はゆのを部屋に置いて寝巻きのままコンビニへ向かうのだった。
そういえばサ●ーンのせいで財布の中空っぽだったな。
ちょっと手間だが銀行寄ってから行くとしよう。
✳︎✳︎
——また、孔太くんに心配かけちゃった。
孔太くんの部屋の真ん中に座り込んで、天井を見上げていた。
気持ちが落ち込むとすぐネガティブな自分になってしまう。
そんな自分が昔から嫌い。
幼い頃はいろんな引き出しがあった。
頭の起点が利くから色んな人から頼られたし、自分でもそれが長所だと分かっていた。
今回もすぐに心理学実験同好会を救う妙案が浮かぶと思い込んでいた——けど。
予算0円、しかも内容はフリーハグ。
何度考えても奇を衒ったアイディアが浮かばず、残り数日となってしまった。
孔太くんを振り回しているくせに、逆に孔太くんから心配される始末。
「ほんと、なにやってんだろ……わたし」
真の心理学者なら、もっと人の心理を動かせるアイディアが浮かぶはず。
他人の心理を……動かす。
考えれば考えるほど思考の渦に飲み込まれそうになる。
ダメだ、一旦落ち着かないと。
その時、目に入ってきたゲーム。
さっきからよくわからないドット絵のOPムービーが流れているけど——ってか何この黒いゲーム機。
最新のP●ってもっと角張っていたと思ってたけど……?
さっきからドット絵ばかりなんだけど、もしかしてこのゲーム……最新機種じゃない?
手に取ってみると、黒光りする機械のディスク部分のマークに目が行った。
S●G●ってゲーム機作ってたんだ……。
ネットで調べてみると、どうやらこの機械はサ●ーンというらしい。
所謂レトロゲームというやつだ。
「どうせ孔太くんのことだし、えっちゲームかアクションゲームでしょ」
島にいる頃も中古屋で、女の子がパッケージに写ってるゲームばっかり買ってたし。
そう思って、コントローラーを手に取りゲームを始めてみる。
「何? ビル経営?」
孔太くんが途中までやっていたデータがあったので、とりあえずそれを再開してみた。
ネットで攻略サイトを検索してみると、このゲームの概要が書いてあった。
どうやら会社とか飲食店とかの商業テナントを設置しながら自分のビルを発展させていくゲームらしい。
「ふーん」
孔太くんは自分のビルを10階まで作っているが、収入がやけに少ない。
「テナントの近くに階段とかエレベーターが無いし、トイレとか全部の階に無いと不便じゃないの?」
孔太くんの欠陥ビルにダメ出ししまくっていると、自然と笑みが戻ってきた。
そういえば孔太くんって昔からゲームが好きなわりに、下手だったもんなぁ。
「よっし、わたしが直しておいてあげよう。この階にはこれを設置して——」
✳︎✳︎
夜空の下、だらしない格好で歩き回る俺(不審者)
納豆巻きはあったが●スコが無いとは思わなんだ。
代わりにコパ●買ってきたけど、ゆののやつ許してくれっかなぁ。
「た、ただいまー」
部屋に戻ると、ゆのがテレビの前で何かゴソゴソしていた。
「おい、何して」
「孔太くん!」
ゆのが急に抱きついてくる。
買い物袋が手から滑り落ちた。
「ど、どど、どうしたんだよ」
ゆのの胸が俺の腹部に押しつけられる。
や、やわらけ〜。
「思いついたの!」
「柔けぇ〜」
「この変態っ! 話聞けっ!」
容赦なく腹パンされたことで俺はやっと乙パイの誘惑から目醒めた。
「は、話って?」
「閃いたのッ! 文化祭の作戦を!」
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なんと新作がスタートしました!
『ファーストキスの相手と結婚しなければならない社長令嬢と、目つきが悪くてぼっちの俺のペットボトル1本から始まる初々しい恋愛』
フォローと星評価をどうかよろしくお願いします!https://kakuyomu.jp/works/16817139556677836792/episodes/16817139556679459015
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