委員長とラブコメしたい02
結局、一世一代の買い物イベントを酔っ払いぼっちロリによって何も起こらずに消費してしまった俺。
100均でもロリにポールポジションを奪われてしまった俺は、完全に荷物持ちと化していた。
「揚げなくてもレンジでポテチが作れるんですか⁈」
先生がチップスメーカーを手に取り、羨望の眼差しを向けている。
どこまでも子供っぽいなこの人は。
その時、委員長が俺の肩を突いた。
「どうしたの委員長?」
「買い物が終わったら、買ったものを教室に置きに行くのも手伝ってもらえるかしら」
「うん。もちろんそのつもりだけど……?」
委員長は何か言いたげな表情を浮かべながら、一度安西先生の方を見てから話を続けた。
「その……安西先生が佐野くんを監視するお仕事は、いつになったら終わるのかしら」
【悲報】安西先生、あの委員長にすら邪魔だと思われてる。
「ごめんね委員長。あの先生邪魔だったよな」
「べ、別に悪い意味じゃないのだけど。……佐野くんと、2人で話したいことがあって」
俺と2人で話したいこと?
告白、なわけないよな。(陰キャの思い込みは大概外れる)
まっ、フリーハグすら恥ずかしくてゆのを外に出した委員長のことだから、先生がいたら不都合なこともあるのだろう。
「それなら、安西先生はいつも18時からN●K教育の忍●まを観るために17時半になったら速攻で帰るから問題ないよ」
「そ、そうなのね……」
委員長は若干引いていた。
安西先生は幼少期から土井先生をこよなく愛しているらしく、リアタイ視聴が日課になっているらしい。
17時半まで残り10分。
買い物を済ませて高校に戻ったら、ちょうどその時間になるな。
委員長が飾り付けを選んでいる間に、俺は先生の隣に移動する。
「先生、今日の●たまって土井先生出ますか?」
「何です急に?」
「いいから」
「次回予告を見るに、今日は出ないみたいですけど」
「へー。……ちなみにご帰宅は何時ごろでしょうか?」
「校長先生に反省文を書いて出すよう言われているので、ざっと19時くらいになるかと」
「……反省文?」
「この前、屋上でお酒を飲んでしまったのがばったり出くわした校長先生にバレまして」
「普通クビになるだろ」
「まぁ私の父と祖父がちょっとした権力者なので……隠蔽ですっ」
誰かこの人を早く教育者から引き摺り落としてくれ。
「と、とにかく先生! 高校に戻ったら職員室に行ってください!」
「えー、佐野くんに反省文を考えてもらおうと思ったのにー」
「まったく反省する気が無いんだなこの人」
「やーだー。佐野くんと反省文書きたいー」
「わかりました。この後高校に戻ったら委員長と色々話があるので、それが終わってからなら協力します」
「やったー。……え? 委員長と色々?」
「は、はい」
「……え、えっちなこと、するんですか?」
「はい(即答)」
先生は顔を赤く染める。
大嘘なんだが。
「え、えっちなことって! き、キッスとか? さ、佐野くんにはまだ早いです!」
「は?」
「お恥ずかしながら、わ、私もまだしたことないので分からないのですが! キッスをすると、あぁー! やっぱりダメです! 佐野くんはハグだけしてればいいんです!」
「あの、なに一人で盛り上がってるんすか。キモいですよ」
「うるさいです! とにかく、不純異性交遊は許しません!」
「不純異性交遊という単語は知ってても中身が幼稚すぎるのだが。キッスもS●Xもしないですよ。委員長と2人で話したいことがあるので、高校戻ったら職員室で待ってて貰っていいですか? 反省文手伝いますので」
「やったー」
うん、とりあえずこの先生が処●だということがよく分かったよ。
ロリコン紳士の方々、誰でもいいからこの人を貰ってあげてくれ。
✳︎✳︎
全ての買い物を終えて高校に戻ってくると、昇降口で先生と別れた。
先生が別れ際に「健闘を祈ります」と言っていたのが妙にムカついた。(そう思うなら買い物する前から空気読んでついてくんな!)
既に買い物イベントは終わっちまったが、やっと2人きりになれた。
俺は買い物袋を両手に持ちながら、委員長と並んで階段を登る。
1年の教室は4階にあるから結構キツイな。
「佐野くん、大丈夫?」
「へ、へーきへーき」
委員長に心配されながらも、なんとか荷物を教室に運ぶことができた。
「今日は色々とありがとう」
「うん。……それで、話ってのは?」
こ、告白なのか……⁈
「佐野くんには、ずっとお礼を言いたくて」
はい違ったー。(定期)
「お礼? あぁ、この前の鍵のことならもう別に」
「いいえ。それより前のことなのだけど」
「前?」
俺はこの前の鍵以外で過去に委員長を助けたことがあるかどうか回顧する。
いや……覚えてないな。
「……このクラスの委員長を決めるとき、選挙をした日、覚えてる?」
クラス委員の選挙をした日……。
俺はぼんやりとその日のことを思い出す。
——遡ること3か月前。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます