第78話 ミニアンちゃんがブルーノを蹴倒してくれました
その瞬間凄まじい突風が私を襲ったのだ。私はどう対処のしようもなかった。一瞬で吹き飛ばされたのだ。
自分の魔術を反射されて、自分が吹き飛ばされるなんて最悪だ。次は反射も教えてもらおうと思ったのだが、もう間に合わない。
私はそんな事を考えながら地面に叩きつけられた。何回も地面に激突しながら、最後は突っ伏していた。
私は衝撃のために立ち上がることすら出来なかった。
もう体中ボロボロだ。
渾身の一撃を反射されて、その一撃で、グロッキー状態になってしまったのだった。
遠くからゆっくりとブルーノが近づいてくるのが見えた。
逃げなくちゃ・・・・
でも、体は殆ど動かなかった。
くそっー、いくらあがいても動かない。
「フィル様」
私は愛しい人のことを一瞬思い出していた。その優しい笑顔を・・・・。
でも、彼がここに来てもブルーノに殺されるだけだ。いなくてよかった。私は逆に少ししホッとしていた。
でも、フィル様のためにも最後に少しは足掻かなくては。私は決心した。と言ってももうほとんど力は残っていなかったが・・・・。
ブルーノの足が私の前で止まった。
見上げると、その瞳は冷たく私を見下ろしていた。
やばい、このままでは殺される。
「ミニアンちゃん、お願い」
私は最後の力を振り絞ってミニアンちゃんを出した。
ミニアンちゃんはゆっくりとブルーノめがけて歩き出した。
でも、相変わらず初動は遅い。これではやられる。もっと強力ですぐに使える魔術があれば良かったのだが、ウィンドストームはもう使ってしまったし、効力も無かった。もう最後の賭けだ。
私は思わずブルーノを見た。
しかし、ブルーノはミニアンちゃんを見て突っ立っていた。
驚いた顔をしている。
「あ、アンネ様!」
ブルーノの驚いた声が聞こえた。
ブルーノは目を見開いてミニアンちゃんを凝視していた。
アンネって私の生みの母さんのことだ。ミニアンちゃんが母さんに見えるんだろうか?
そんなに似ているとは思えなかったが・・・・。
このミニアンちゃんが母さんに見えるってことは母さんに後ろ暗いことがあるのか?
そもそも私の母さんはこいつに殺されたのだ。
こいつは母さんに横恋慕して反逆したのに、母さんを殺したのだ。
恋しさ募って憎さ100倍になったのだろうか?
でも、この顔は母さんを殺した事を後悔しているということだろうか?
もうこうなったら何でも使ってやる。私はミニアンちゃんを母のアンネだと思うことにした。
「母様、助けて」
私は人形に言った。
ギョッとした顔をして、ブルーノは私を見た。そしてミニアンちゃんを。
そして、なんと、少し後退りしたのだ。
いや、待って! 下がっちゃだめだって。
ミニアンちゃんの足の射程から離れる。
まずい。このままじゃ、キックしても届かない。
私は一か八かだ。
火の玉をミニアンちゃんに出させたのだ。
「えっ?」
それを見てブルーノが驚いている。
あいも変わらず、火の玉は遅い。それに今にも消えそうだ。
それがポヨンポヨンと飛んでブルーノを目指す。
ブルーノは困惑した顔をしていた。
何が出てくるか注意してみたら、このポヨンポヨンだ。
どう対処していいか判らないのだろう。
そうだ、油断して見ていろ!
もう少しでブルーノに到達する。
しかし、流石にブルーノだ。その前に障壁を張ってくれたのだ。
ズカーーーーン
次の瞬間凄まじい爆発が起こる。
私は思わずその爆発に巻き込まれて更に弾き飛ばされた。
地面を転がる。もうズタボロ雑巾みたいだ。
でも、その前に私はミニアンちゃんを飛ばしたのだ。ミニアンちゃんは爆発なんて目でもない。
爆発の中ブルーノ目指して飛ぶ。
そして、足を突き出して、ブルーノの顔面に出る。
慌ててもう一度障壁を張ったブルノーだが、ミニアンちゃんのキックの破壊力は只者ではないのだ。
バキッ。
そのブルーノの障壁を蹴破ったのだ。
驚愕したブルーノの顔が見える。
次の瞬間、その驚いたブルーノの顔にミニアンちゃんのキツクが炸裂していた。
ズカーーーーーン
凄まじい衝撃音とともにブルーノは顔を蹴飛ばされて、体ごと吹っ飛んで行ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます