第4話
あーぁ、暇だ。暇過ぎる。
停学食らってから4日が経った。初めの2日くらいは、皆が学校行ってるなか俺だけ合法的に休んでいられるなんとも言えない、優越感に浸っていられてそこそこ楽しかったけど、3日目となるといい加減飽きてきた。
何よりも、やることが無さ過ぎて退屈で仕方ない。積んでいた漫画も読み終わったし、ゲームのイベントも終わっちまった。かといって、寝て過ごそうにも、寝過ぎて寝れないっていう事故も起きてる。
手詰まりってのは、まさにこの事だな。さてさてさーて、どうしたもんかねぇ。
「おーい、匠馬起きてる?」
そう言いながら、ノックも無しに朝姫さんが部屋に入ってきた。
「お、起きてた起きてた」
『朝姫さん。確認したんだったら、返事があるまで待ちましょうよ。あと、ノックくらいはしてください┐(´д`)┌』
「えーだって、匠馬の場合面倒臭いじゃん」
『面倒臭いって……言うてそんなんでもないでしょう。居たらドア開けるとか何かしら反応するじゃないっすか』
「まぁまぁ、そう細かいことは気にしないの。それより、暇でしょ? ちょっと買い物行ってきてくれない」
『あのー、一応俺って停学中なんすけど』
「そんなもんバレなきゃ大丈夫よ。それに、こんな平日の昼間っから出歩いている先生なんていないから見つかりはしないわよ多分」
うん。まぁ確かにな。
そこんところは、俺も何となくそうなんじゃないかなって、思ってたけどさ。でもほら、一応さ、モラルとかマナーって言うの? そういうの気にして家から出ないで大人しくしてたんですけどさ。
「ほらほら、ごちゃごちゃ言ってないでぱっぱと行ってきなさい。ちょっとした気分転換だと思ってさ。どうせ、暇で暇でもう仕方ないんでしょ?」
『分かったよ』
まぁ? 停学になったとはいえ、別に俺が悪いことしてなった訳じゃないし、何だったらとばっちりなんだし、ちょっと出かけるくらいバチは当たらねぇだろ。
『んで? 何買ってこればいいんすか?』
「んー、戦車とか?」
『酔ってるんか? それとも本格的に頭がおかしくなりました? 病院行きます?』
「うわぁ……そこまで言っちゃう? ちょっとした冗談のつもりだったのにー」
『冗談で戦車買ってこいなんて初めて聞きましたよ。どうせ冗談言うなら、もっと面白いこと言ってくださいよ(´Д`)』
「えー、そこそこ面白いかなって思ったんだけどなぁ。まぁいいか。はい、買い物リストね」
そう言って、朝姫さんはメモ用紙を手渡してくる。
うげぇ、結構あるじゃねぇかよ。しかも、種類がバラバラだし。こりゃ、あっちこっち回らないとダメだな。
「それじゃ、私はそろそろ仕事に行ってくるから。よろしくね」
『了解です(*`・ω・)ゞ』
さぁてと、んじゃ俺も準備して行くとしますかな。
――――――
――――
――
そんな訳でやって来ました、黒岩商店街!
黒岩商店街は、大型ショッピングモールとまではいかないが、日用品に雑貨、娯楽用品に加えゲーセンやお洒落な喫茶店などなど意外と何でも揃っている町民の味方的存在である。
「あれー? クマパイじゃないっすか!」
俺をこの呼び方するってことはあいつか。
「おぉーやっぱりクマパイだ。こんなところで何やってんすか?」
『それはこっちのセリフだ。お前こそ何やってんだよ、
俺をクマパイと呼ぶこいつは、
派手な金髪をでっかいリボンでまとめたツインテール。大きな目にはコバルトブルーのカラコン、耳にはハートのピアスを付けている。体格は中学生くらいだが、ばっちりとされたメイクのせいで、少しだけ大人っぽく見える。まぁその辺にいる派手ギャル見たいな感じだ。
因みに、クマパイってのは、たくまのクマとパイセンのパイを略したものらしい。
「えへへー、そりゃもちろんサボりっすよ。サボり」
『だと思ったよ┐(´д`)┌』
「それでそれで? クマパイはどうしたんっすか? あ、分かった! クマパイもサボりっすね!」
『残念ハズレだ。俺は停学中だ( *¯ ꒳¯*)』
「ほっほぉー、これはまさかの回答っすね!」
理子はケラケラと笑いながら、バシバシと俺の肩を叩く。
ったく、痛いっての……
「んで、本当はなんすっか?」
『いや、まじで停学中』
「うへ? まじなんすか? ガチバナっすか?」
『まじまじ(´ー`*)ガチバナ』
「うっへぇー! ちょ、クマパイまじやばっすね!」
だから、バシバシ叩くなっての。お前、意外と力強いんだから痛いんだって。
「え、それでクマパイ何やったんすか?」
さて、何て言えばいいかな。
正直に話してもいいんだが、今回のことをありのまま話すと、何か自慢っぽく聞こえなくもないんだよなぁ。
だけど、変に隠すとあらぬ誤解をされる可能性もあるし……んー、よし適当に濁すか。
『まぁ世の中の悪と戦ったんだよ( *¯ ꒳¯*)』
「まじっすか! クマパイかっけぇっすね!」
『そうだろ( *¯ ꒳¯*)』
「でも、何で悪と戦ったのに停学食らってんすか?」
『残念ながら、正義ってのは上手く評価されないことがあるのだよ、理子君(´・ω・`)』
「うわぁ悲しいっね! これが世界の闇っすか!」
うん、こいつがバカで良かったわ。もちろんいい意味でな。愛すべきバカってやつだ。お前のそういうところ結構好きだぞ。
「まぁクマパイ! 元気だして下さいっすよ。ここは、可愛い後輩である理子がクマパイを慰める為にマックシェイクでもご馳走するっすよ!」
『ふむ(( ˘ω ˘ *))魅力的な提案だが、今回は遠慮させてもらうぞ。生憎、俺はこれからお使いっていう大事な使命があるからな』
「あは、そんなの理子も付き合うっすよ」
『え、別にいいよ』
「そう言わないで下さいっすよ。どうせ、理子も買い物に行くところなんっすから、一緒に行きましょうよ。1人で行くより、2人で行った方が楽しいっすよ!」
ふむ。まぁ確かに一理あるな。
1人で黙々と買い物するよりは、話し相手がいた方がいいしな。それに、理子とだったら退屈することはないもんな。
『よし、分かった。んじゃ一緒に行くとするか(*・ᴗ・*)و』
「任せて下さいっす!」
『後、マックシェイク忘れるなよ』
「もちろんっすよ! Lでいいっすか?」
『おぉ……理子よ。お前は本当にいい後輩なんだ( ᵒ̴̷͈ ⌑ ᵒ̴̶̷͈ )』
「やたやたっ! クマパイに褒められたっす!」
『それじゃ、張り切って行こうか!\(^o^)/』
「はいっす!」
――――――
――――
――
「んで、何を買いに行くんすか?」
あぁそういや、理子に何買いに行くか言ってなかったな。
俺は、ポケットから買い物リストを取り出して、理子に手渡す。
「うひゃー、結構いっぱいあるっすね」
『そうなんだよ(´Д`)』
ったく、朝姫さんめここぞってばかりに大量に頼みやがって。
「このピンクの戦車ってなんっすか?」
『さぁな俺もよくわからん』
「戦車ってだけでも、マジオモなのに色がピンクって超絶笑えるっすね!」
『そんなに面白いか?』
「はい、最高っす」
うん、俺には何が面白いのか、さっぱり分からねぇんだけどなぁ。
これが、男と女の違いってやつなのだろうか?
てか、朝姫さんってマジで戦車欲しかったのか? 何、明日にでも戦争でもおっぱじめようとしてんのか?
「んー、あのクマパイ。1つ提案なんすけど、いいっすかね?」
『どした?(´・ω・`)』
「とりあえず、買い物は、一旦ご飯食べてからにしません? なんだかんだで、お昼も近いじゃないっすか」
理子にそう言われて、時計を確認すると、時刻は11時半になっていた。
おぉ、確かに昼時だな。通りで、腹が減ってきたと思ったわけだ。
『そうだな。んじゃ、先に飯にするとしますか』
「やった! それじゃ、どこに行きます? やっぱマックっすか?」
『お前、相変わらずマック好きだな』
「そりゃそうっすよ! 理子はマックが無くなったら死ねる自信があるっす!」
『頼むから、それくらいで死なんでくれ……』
「まぁまぁ、そんな細かいことは気にしないで行くっすよ!」
『分かったよ』
――――――
――――
――
「それじゃあ、クマパイ乾杯しましょう!」
『マックシェイクで乾杯って何だよ……(^_^;)』
「え、そりゃ儀式見たいな物っすよ。マックシェイクで乾杯、略してマシェイクカンっす!」
うーん……それ地味に語呂が悪いぞ。それに、略すならもっとさ、ちゃんと略せよ。
『あのさ、1つ疑問があるんだがいいか?』
「はいな。なんっすか?」
『何で、俺はお前にマックご馳走してんの?』
現在、理子が食っている、ビックマックとポテトのLそれにナゲットとシャカシャカチキンは、俺のポケットマネーから出たものだ。
「いやぁ、やっぱり人のお金で食べるマックは美味しいっすね。クマパイ、ご馳走様です」
『いやいや、質問の答えになってねぇんだが』
「まぁまぁいいじゃないっすか。マックシェイクは理子の奢りなんっすから」
何だそれ、割に合わねぇな……いやまぁ、別にいいんだけどね。手伝ってもらうから、飯くらい奢ってもさ。
『そういや、理子は何を買いに来たんだ?』
「あは、何だと思うっすか?」
『分かんないから聞いてんだよ』
「クマパイ、今は何月っすか?」
『7月だな』
「そうっす! つまり、もう夏なんっすよ! それに後2週間もすれば、夏休みっすよ!」
あぁそういや、もうそんな時期になるのか。停学のこともあって、夏休みとか普通に忘れてたわ。
「流石にここまで言えば、いくらクマパイでもわかるっすよね?」
『キャンプ用品か?』
「違うっすよ! 何でそうなるんすっか! 水着っすよ! 水着!」
なるほど、そっちか。
「全くもう、クマパイ鈍すぎっすよー」
『面目ないm(_ _)m』
「まぁクマパイだからいいっすけどね」
え、ちょっと待って。それどういうこと?
もしかして、今俺ってバカにされてる?
「因みに、クマパイはどんな水着が好みっすか?」
『そりゃもちろんビキニだろ(´ー`*) あ、ただし下はショートパンツな』
「おぉ、思ったよりしっかり答えてくれたっすね」
『当然だろ。いいか、理子後輩よ。女の水着姿は宝なんだ。それに対して、適当な答えを言うやつは男じゃねぇんだよ』
「マジ顔で何言ってんすか。ちょっとキモイっすよ」
おいこら、そのまぁまぁ引いた顔やめろ。傷つくだろうがよ。
仕方ないだろ。男ってもんは、女の水着が好きで仕方ない生き物なんだから。
そう、これは生理現象なんだよ。異論は認めん。
「まぁそんな訳で、理子の水着選び手伝って下さいっすね」
『おう、任せろΣd=(・ω-`o) 何だったら嫌だと言っても着いて行く所存だぜ』
「いや、クマパイまじキモイっす……」
『うるせぇ、ほっとけ』
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