第10話
1年前、君子は夫を亡くし、意気消沈していた。何も手につかず、悲しみに暮れる日々を過ごしていた。そんな時、気分転換のため、山に山菜採りに出掛けた。そこで君子は山爺(やまじじい)と出会った。
偶然だった。山爺は食糧調達のため、山の麓に降りて来ていた。その時、出会ったのだ。
山爺と出会った時、君子は少し驚いたが、それだけだった。
山爺は、そのことに驚いたが、君子の心を読んで、哀れみを覚えた。
「うちで少し休んで行かないか?」
自然とそんな言葉が出ていた。
君子は頷き、山爺について行った。
「それからだ、一緒に暮らすようになったのは」
「そうか」
勇人は立ち上がった。
「どうする?」
勇人は背を向けた。
「帰るさ。伸子さんだけには生存報告する。ただ、それだけだ。場所はばらさない。」
山爺と君子の顔が輝いた。
「じゃあな。2人で幸せに暮らせよ」
勇人は2人の家を後にした。
終わり
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