第13話 転生先は選べないのか?
屋敷に戻ってから父にリンジーから聞いた話を伝えた。
「今日、前に話した魅了の魔法を使ってカインロッド殿下や側近方を意のままに操ろうとしていた伯爵令嬢が国王陛下の愛妾になっていて、しかも身籠ったので、愛妾から側妃になるかもしれないってリンジーが言っていたの」
「それは本当か?」
「カインロッド殿下から聞いたそうなので本当だと思いますが」
父はものすごく怖い顔をしている。
「マキリート伯爵の令嬢だな?」
「はい。リンジーが国王陛下には会う機会がないので無効化魔法がかけられなかったと言っていました」
「身籠ったと?」
「はい。だから愛妾から側妃になると」
「身籠ることなどありえない」
父は小さくつぶやくと立ち上がり従者を呼んだ。
「ちょっと出てくる」と言って屋敷を出て行った。
「お母様、お父様はどちらに?」
「さぁ、知らないわ」
絶対に知っている。私には教えないつもりなのだろう。
「お母様、さっきお父様が身籠ることなどありえないと言っていたような気がするのですが、何故そんなことをおっしゃったのですか?」
「そんなことおっしゃっていた?」
母は私の問いにしらばっくれている。やっぱり私の知らないことが何かあるんだろう。
その日父は夜遅く戻ってきた。そして母と長い時間話し込んでいたようだ。
次の日、私とお姉さまが学園に行ってから母もどこかに出かけたようだった。
王妃様もカインロッド殿下も国王陛下が魅了の魔法にかかっていることを知っているのに知らないふりをしているみたいだ。
リンジーがカインロッド殿下に何故かと尋ねたが上手くはぐらかされてしまったと言っていた。
伯爵令嬢と伯爵は国王陛下を傀儡しようとしているのだろうか?
それにしても私と同じ年なのに親ほど歳の離れた人を魅了の魔法に掛けてまで、子を成すような事をするなんて、親に無理矢理やらされているのだったらなんだか気の毒だ。
私はその伯爵令嬢に転生しなくて良かったと心の底から思った。
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