第12話15歳になりました

 私は相変わらずモブ令嬢のまま、のんびり過ごしている。周りはどんどん婚約していくが私には縁談のひとつも来ない。

 自分で言うのもなんだが、姉には遠く及ばないけれど、まぁまぁ可愛い方だと思う。なのに縁談もなく、誰にも告白もされない。本当にモテないのだ。


「でも変よね。アンジェラは可愛いし、性格もいいのになんでお相手が見つからないのかしら? 爵位が高いからかもしれないわね」

「それが理由にしておきましょう。それなら傷つかないものね」


 私は苦笑する。私は侯爵令嬢。なかなか自分より爵位の高い家の令嬢に求婚する人はいない。たとえば我が家が没落しかけとかなら、お金はあるが爵位が低い貴族から政略結婚の打診があるかもしれないが、我が家は由緒正しいし、お金もあるからそんなのもない。伯爵家くらいなら山のように縁談がくる……はずだろうということにしておこう。



「そういえばあの伯爵令嬢、最近見ないわね。どうしたのかしら?」

 ふと思ったのでリンジーに聞いてみた。


「それがね。カインロッド殿下が相手にしないから諦めたようよ」


 リンジーは呆れ顔で笑う。


「そう。良かったわね。無効化魔法の成果ね」

「殿下の側近方にもかけさせてもらったから誰も魅了にかからなかったみたいで良かったわ」


 魅了の魔法なんかにかかったら大変な事になる。前世で読んだ小説は魅了の魔法にかかり、国を揺るがすものも沢山あった。


 そうそう、私は前世を思い出してから前世の梨沙だった頃の知識を活かしていろんな商品を作り、レキソール侯爵家の繁栄にひと役かっている。

 この世界で私を手に入れると結構お得だと思うが、やっぱり、さっぱり縁談はこない。まだ15歳なので焦らなくてもいいだろう。前世では15歳で婚約している人なんていなかったもんね。



「アンジェラ〜! 大変よ!」

 次の日、学園の中庭で本を読んでいたら、リンジーが凄い勢いで私に突進してきた。次期王妃がこれで大丈夫なのだろうか? ちょっと心配になる。


「どうしたの? そんなに慌てて」

「大変よ! あの伯爵令嬢が国王陛下の愛妾になったのよ」

「えっ? 国王陛下ってあの国王陛下?よね」

「そうよ。親ほど歳が離れてるわ」

「カインロッド殿下がダメなら国王陛下か。あ〜、国王陛下には無効化魔法掛けてなかったわね」


 まさか国王陛下に手を出すとは私は驚いた。


「まさか、国王陛下にちょっかい出すとは思っていないもの。それに陛下はいつも沢山いる愛妾のところにいて私たちはお会いすることもないしね」


 えっ? そうなの? 国王陛下ってそんな人だったの?


「えっ? 公務はどうしてるの?」


 私は驚いてリンジーに聞いてみた。


「公務は王妃様と王弟殿下がほとんどやっているわ。前は亡くなられた王妃様やあなたの伯父様も手伝ってらしたけど、ふたりとも亡くなられたので今はカインロッド殿下も手伝っているわよ」


 国王陛下って飾りだったのか? 「真実の愛」にはほとんどでてこなかったのでどんな人が知らなかったが、仕事もせず女に現をぬかしているだけのエロジジイだったのか。この国は王妃様でもっているのかもしれないな。


 リンジーからあの魅了の魔法を使う(らしい)伯爵令嬢かわ国王陛下の愛妾になったと聞いてしばらくたった頃、今度は、身籠ったので側妃になるとの噂が流れ出した。


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