第11話 あれから色々ありました
ランドルフ殿下がラックノーラン国に留学してから3年後、王妃のシンシア様が久しぶりのご公務で王宮を離れ、滞在先で体調を崩され帰らぬ人となった。ランドルフ殿下は体調を崩していらっしゃるそうで葬儀に戻ってこなかった。王妃様が亡くなったのが余程ショックだったのだろう。それからしばらくして側妃様が王妃様になられた。
これで完全に次期国王はカインロッド殿下だと貴族達に噂されるようになった。
「アンジェラ〜、私、王妃になるなんて無理よ〜。最近はじまった王妃教育が辛い〜」
リンジーは泣き言を言う。
「ランドルフ殿下はまだ婚約者がいないから仕方ないですわね。そういえばランドルフ殿下はどうされているの?」
私はリンジーに聞いてみた。
「わからないわ、王妃様もカインロッド様もランドルフ殿下のことは何も仰らないの。シンシア様が亡くなってからは余計にね。ランドルフ殿下とシンシア様の事はもう誰も口にしないの。ここだけの話だけれど、ランドルフ殿下をラックノーラン国に行かせたのもシンシア様が亡くなったのも誰かが後ろで糸を引いてるってお城の使用人達は噂してるみたいよ」
「リンジー、それは聞かなかったことにするわ。そんなのバレたら私たちは不敬で捕まるわよ」
リンジーは不安なのだろう。もし、黒幕が現王妃様のミランダ様やカインロッド殿下だったらともやもやしているようだ。
「信じましょう」
私はリンジーの肩に手を置いた。
「そうね。シンシア様とミランダ様はとても仲がよかったものね。でも、あんなに仲が良かったのに、シンシア様がお亡くなりになったと聞いてもミランダ様は対してショックをうけていらっしゃらなかったのよ」
「それは王妃教育の賜物じゃない? 喜怒哀楽を出してはいけないでしょう?」
私がそう言うとリンジーはあきからに不機嫌になったのがわかる顔をした。
「そうなのよ。私には無理だわ。王妃になんてなれないわ〜。何がなんでもランドルフ殿下に国王陛下になってもらわなくちゃ!」
余程王妃教育が嫌なようだ。
それから何ごともなく7年が過ぎ15歳になった私とリンジー、カインロッド殿下が学園に入学した。
リンジーは王妃教育のせいかすっかり淑女になっている。まぁ、私の前では今まで通りではあるが。
「アンジェラ〜、あの子またカイン様にべったりしているのよ」
リンジーが頭から湯気を出しながら私に言う。
「例の伯爵令嬢ね。下手に関わるとややこしいのでほっといた方がいいわ。殿下には話しているのでしょう?」
「うん。魔法もかけさせてもらってるわ。だけど、カイン様だけじゃなく側近達にも色目使ってるのよ」
前世で読んでいた小説によく出てくるパターンだな。魅了の魔法か何かで殿下や側近を魅了するつもりだろうか?
リンジーは無効化魔法が使える。なので、伯爵令嬢がベタベタし出した時に殿下と王妃様に事情を話し、無効化魔法をかけろと進言した。魅了の魔法は禁忌だがカインロッド殿下に取り入ろうと使う輩がいるかもしれない。そう思っていたら、本当に出てきたらしい。
リアル「真実の愛」の世界は小説に現れない裏の話が濃い。しかも小説とは随分話が違ってきている。どうなっているのだろう?
まぁ、今のところ主要キャラクターだったはずの私はモブのまんまだ。いつか出番がくるのだろうか?
そしてまだ薫に会えていない。
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