禁軍へ(其の一)
「なんと! それはまことか?」
「はっ!」
使者の報告に、
「馬鹿な。あの
「はっ。この結果は主
「それで」と、
「はい。
思わず膝から崩れそうになるのを堪え、
「……閣下」
内心の驚きを押し隠し、鷹揚に肯くと、急ぎ駆けつけた使者の労をねぎらった。
「そうか、
静かな口調でそう言って、
「御苦労であった。すまぬがさっそく立ち帰り、
「はっ!」
「それと、俺自身が立ち会わなんだ無礼をお許し願いたいと」
「はっ、その御言葉を聞けば、主も大層喜ぶと存じます。では、さっそく立ち帰り、そのようにお伝え致します」
包拳する使者の肩に手を置き、
「よい主に仕えておるな。励めよ」
「身に余る御言葉。恐縮至極にございます」
「どうした、そんなに驚いたか」
「いや、閣下でも将の力量を測り違えることがあるのだな、と。安堵の溜息です」
「あたりまえだ、誰にでも間違いはある。この結果は予想外ではあったが、決して悲観することではない。国の行く末を思えば、頼れる味方は多いほうがよい」
「国の行く末? それはどういう……?」
不思議そうな表情で訊ねた
「なに、独り言ゆえ気にするな」
「はあ」
と、
使者の報告では当分動けぬとのことゆえ、
「
「閣下にはさぞや失望されたことでしょう。期待を裏切ってしまい、合わせる顔もござらぬ」
失望させるな、と告げた言葉を気にしているらしい
「すまぬな
「で、立会人から観てどのような感想をもった?
「はあ」と、
「なんだと?」
「まこと申し訳ござらぬが、気がついた時には、
「では、何もわからぬと申すのだな」
「はっ、面目次第もござりませぬ」
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