都の沙汰
第二王子捕縛さる!
敗報はたちまち都へ伝わって、
齊国内では
長じて後は、自ら兵を率いて各地を転戦したが、敗北を知らぬ不敗の英雄が、よもや緑林に巣くう賊軍などに後れを取り、生け捕りにされるなど考えられぬ事態であった。
仮に、
やがて、追使として敗軍に先行して都へ帰還した数名の報告により、戦場の様子が明らかになった。
それによると、緑林軍の大将は
この点からして、敵は齊軍の大将が
他国の軍であれば、常勝の武人に対し、そのような選択は決してしないはずであった。
緊急招集された御前会議において、そのような敵軍分析がなされる中、一人
会議には他にも、
しかし、活発な意見が交換される中、ずっと黙りこくっている
「およそ、皆の意見は出揃ったようだが、さて、
「敵軍の兵力、城塞の規模等はおくとして、一つだけはっきりしているのは、
「確かに、そのようだな」と、
「それはそうだ」
「うむ、確かにな」と、肯き合った。
「結果からすれば、王子様の名声を知った上で、
「しかし、
「出自の低い者は、いかなる勇将智将とて、世に出ぬ限りは無名が当然」と、
「あるいは、敵の内情を探るため、敢えて囚われたという可能性もございましょう。とにかく、王子様が敵の手の内にあり、明日をも知れぬ身の上であることは厳然たる事実であり、一刻も早くお救いせねばなりませぬ」
わかりきった問題ではあるが、その点になると、誰一人明確な答えをもつ者はないようにみえた。
対峙している軍を少しでも動かせば、開戦の意思ありと受け止められ、
すでに処刑されているならともかく、なお存命の可能性がわずかでもある限り、迂闊な行動はとれなかった。
第二王子の奪還をめぐり会議は紛糾するも、万全といえる方策は誰からも示されず、
それでも、
これまでも、
それに、誰にせよ他に名案を出す者がないのだから、その案を実行する他はない。
この場合問題になるのは、作戦そのものより、実行部隊であった。
そもそも並の者では寨に接近することすら難しい。
かといって、いかに優れた武人であれ、強いというだけでは、隠密行動はできない。
ごく自然な成り行きとして、部隊長の任には、傭兵上がりでこうした作戦経験の多い
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