第三章 緑林の戦い
緑林の雄・岳賦(前編)
成人し、かつての
もちろん、緑林軍はその将が
しかし、敵将ともなれば、何者であろうが関係ない。
いたぶって、いたぶって、いたぶり尽くして殺すだけであった。
霊力を帯びた縄で雁字搦めに縛られ、身動きのとれない
傍らに座って見張りについていた
無視して跳びかかろうとする浪人達には、槍が一閃し、まとめて叩き伏せた。
「
「裏切る気か!」
沸騰した浪人達が口々に罵るが、
「こいつは俺が捕らえた俺の獲物。生かすも殺すも俺の勝手だ」
「おのれ、邪魔をするな!」
と、浪人達は怒りを露わにしてにじり寄った。
「たとえ
「ならば、どうする?」と、
「だが、国を奪われ、家族を殺されたおまえ達の怒りや怨みもわかる。ゆえにこそ、俺もこれまで手を貸してきたのだからな」
「では、こうしよう。こやつをいまから解き放つ。おまえ達は俺に頼らず、自らの力でこやつを捕らえてみせろ。その時は、俺も口は出さぬ。好きにするがよい」
浪人達は無言のまま顔を見合わせ、
「聞いた通りだ。これからおまえを解放する。生き延びたければ、死ぬ気で奴らの包囲を切り抜けろ」
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