第61話 父親の背中

子供は父親の背中を見て育つと言う。

これは俺も正しいと思っている。

物心ついた時から俺は父の背中ばかり追いかけてた。


貝瀬裕也。


父の名前が誇らしかった。

でも、父さんは変わり者でもある。試合に負けても悔しがる様子は無く。

『相手はなになにでなー』っと。よく相手の自慢話ばかりしていた。

そんな父さんを見て俺はすごいと思うようになる。


普通自分が負けたら悔しがるのが当たり前だ。相手の悪口を言うことはあっても相手を褒めるという行為はなかなかできない。


『面倒臭い事はやめてエリュシオンで決着をつけるぞ!!』


それが父さんの口癖だった。


変わった人だと思った。

でも、それと同時になんて面白い人だと思う。


俺に父さんは全てを託してくれた。

だから、俺はそれに答えるのべきだと考える。

そのために、俺はNTGになる。

まだ、日本という国を信じきれてはいない。


俺には仲間がいる。

木原にリア、そして少し癪だが降谷。

こいつらがいるから俺は仲間を信じられる。


だから、こいつらを必ずNTGにしてみせたいと思う。


『赤星くん?』


そこで降谷の声を聞いてハッとする。


「もう、赤星さん。作戦会議中なんですからぼーっとするのはやめてください!!」

「ああ、すまん」


俺は小さく呟くと心の中で微笑んだ。


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