第8話 覚悟

「それじゃあ始めるぞ」


ここはエリュシオンの中、自由フリー対戦場で指定した相手と戦うことが出来る。


「はい、よろしくお願いします……!!」


木原がそう言うと、俺はカタナを1本抜いた。


「俺はカタナとガードしか使わない。俺に傷一つでもつけたらお前を認めてやる。これ以上ない大ハンデだ」

「ありがとうございます」


木原がどのくらいのものか見ものだな。


カウントダウンが始まり、木原は装備を出した。

シールドと片手に魔法用の銀の弾丸。

なるほど、防御よりの魔術師ウィザードか……。


『シールド』

エリュシオンにおいての近接武器の1つ。殺傷能力を極限にまで低くする代わりにSTR全振り相手のカタナの一撃すら防ぐ代物だ。

ただし、重量が重くかなりSTRを上げてないと扱うのは難しい。


『魔法』

エリュシオンでは魔法がある。それぞれ水ー火ー鉄ー風の順でそれぞれ特性が異なり右から有利が取れる。水は風に弱く風は鉄に弱い。

そして鉄属性は1番扱いやすいため1番人気な属性でもある。

俺のカタナも鉄属性を選択している。


そしてカウントダウンがゼロになると俺は一気に距離を詰めた。


「くっ!!」


驚きの声を木原が呟き、シールドを構えるが動きが遅すぎる。

俺のカタナが木原の首を落とすと、相変わらずな無機質で中性的な声が鳴り響いた。


『キハラ。HP全損、勝者アカホシ』


すると、木原の首がまるで逆再生されるかごとく元に戻ると、俺は無感情で言う。


「反射神経も運動量も全てが平均以下だ。悪いことは言わん。諦めろ……最後の時を仲良く過ごせ」

「待ってください……!!」


そこで呼び止められて俺はログアウトの手を止めた。


「これからですよ?私達が歩む時間は1年じゃあ足りない!!」

「なら、証明してみろ。口ではなくてな」


俺は再びカタナを構えた。



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