第7話 勧誘

「ねぇねぇ!!君強いね!?自分と一緒にNTG目指さない!?」

「断る」


ホームルームが終わると、降谷はそんな話をしてきた。

皆がヒソヒソとモニターを弄りながらしゃべくっている。

おかげで今日の話題は俺で持ち切りだろう。


こと謝るからさ?一緒にNTG目指そうよー?」

「そんな事気にはしてない。はっきりと言わせてもらうが俺はお前が嫌いだ。そして、この国もだ!!だから知らん」


そう言って席を立つと窓に向かって歩き、空を眺めた。

すると、降谷は「ちぇー残念」と言うと自分の席へ戻ろうとする。

だが、その時。


「あのー、今のお話は本当でしょうか?」


そう言ってきたのは1人の少女だった。

確かこいつはクラス委員長の……。


「うん。本当本当。自分昨日負けちゃったからこの人勧誘してたところだよ?」


こいつ何をべらべらと……。

俺が一瞥して、睨みをきかせるが降谷は口を止めることは無い。


「ところで君かわいいね。一緒にNTG目指さない?そしてこの人勧誘してよ」


こいつ女好きか?


「私は木原成葉きはらなるはと言います。実は弟か病気で億単位のお金が必要なんですがコールドスリープしても1年が限界と言われてて……!!だから私をNTGにして下さい!!」


NTGは国で雇われている為、年俸も桁違い。大国のNTGは十億ぐらい稼いでるといると言われている。そう言えばこいつの名前は木原だった。すっかり忘れていた。


「へぇー可哀想に……!!」


そう言うと降谷は泣き始めた。

こいつ涙もろいのか?


「自分は構わないよ?!むしろ協力する!!」


すると、SPたちが慌てだした。


「降谷様困ります!!国技戦はどうするつもりですか!?」

「国技戦には時間作って入るから安心して?こんな話聞かされて無視しろというのが無理だよ」


すると、SP達はため息を吐いた。

SPも大変だなと思う。


「君も入ってくれないかな?」

「だから断る!そんなお涙ちょうだい物で人が動くと思ったら大間違いだ」

「なら、どうすればいいんですか?」

「俺にメリットをくれ」

「なら、全てが終わったら私の全部をあなたにあげます」


ほう……。


「つまり、俺が死ねと言えば死ぬのか?」

「弟が助かるなら……!!」


何度も言うが俺は効率を優先する。こんな大した才能もなく、大した努力もしないやつは眼中に無い。

だが。


こういう目をしたやつは嫌いじゃない。


「なら、その覚悟証明してみろ。俺とエリュシオンで戦ってな……!!」


これが俺達の隊長となる木原成葉との出会いだった。

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