竜崎健一とか言うふざけたチャラ男の仲間たち(LINE風)

「ちょっと!あんた!」

「……」

「無視しないでよ!竜崎健一!」

「ああ義姉さんっすか」

「義姉さんって呼ぶんじゃないわよ!」

「じゃあ幸恵さん、なんすかい」

「あんた、何言ったのよ……!」

「ああ、雅人に挙式来るなって言われたって素直にお伝えしまして」

「あんたのせいね!」

「何がっすか」




「あんたに挙式来るなって言ったらね、




 うちの人が結婚を考えるって言ったのよ!」




「雅人がっすか?」

「雅人がって、何なのよあんた!」

「俺は清水雅人の従兄弟っすけど」

「そういう意味じゃなくて!」

「ああ、その挙式の費用




 俺が出してるんで」




「……は?」

「だからその挙式の費用、半分は俺持ちなんですよ」

「……あのね、つまんないギャグやめてくれない?今度はレストラン貸し切りで500万円はかかるのよ。半額だとしても250万円って……そんなお金がどこにあるの」

「ああ、250万円って




 俺の月収っすね」




「月収……?????」

「そうっすね」

「馬鹿も休み休み言いなさいよ、いったいどうしたらそんな!」

「R健の熱血実況!でググって下さい」

「何これ……




 チャンネル登録者100万人!?」




「そうなんですよおかげさまで。今ではこれで飯食ってるんで」

「あの、月収250万円って事は……年収3000万円!?」

「まあ一応そうっすね、今月は300万行きましたけど、おかげさまで」

「ナニソレ……私の雅人さんは1000万なのに……」

「その雅人さん、イベント会社勤務でしょ」

「そうよ、そうなの…………」

「今度挙式でYouTuber仲間来る予定だったんですよ。ラウンダーズ、ダブルグース、ミスター即席、そこいらへんず……俺が一番薄給ですね」

「そん、な……」

「俺が来ないとなるとそのあたりも全部欠席ですからね、雅人さんのメンツもヤバいと思いますよ……

 ってあれ?もしもし、もしもーし……!」













 その後、野川幸恵改め清水幸恵さんはすっかりおとなしくなった。





 速攻で俺の家に来て土下座してくれたんで俺も態度を改め(って言うか味方に回り)、必死に雅人を説得した。


 そんでめでたく結婚できたんだけど、仕事をすっぱりやめて義母さんの事をよく聞く忠実なお嫁さんになり、専業主婦道を歩んでいる。




 ……いや、違うな。




「何を言ってもはいはいって、生返事じゃなくて真剣に言う。自主的に行動することがなくなり、したとしてもこれでいいって確認を求めてくる。

 それで何にも欲しがらない。ブランド物も旅行も、宝石も何にも欲しがらない。スマホさえもまともに持とうとしない……」


 人を見た目で判断するなってもっともなド正論を叩きこんだだけだったけど、薬が強すぎたのかもしれねえな……。

 雅人も雅人のおふくろさんも毎日毎日お前は美人だいいお嫁さんだって言いふらしてるけど、もうバリバリのキャリアウーマンだった野川幸恵は戻って来ねえだろう。


「本当、すまなかったな……」

「いいんだよ、まだ取り返しがつく段階で。物はもともといいから、いずれは立ち直ってくれると信じてるよ」

「愛してるんだな、奥さんの事を」

「そうだよ、愛してるんだよ」


 ま、頑張れよ。二人とも。

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