第6話 朝 新藤頼斗

ぐー……ぐー。


ピピピピ!ピピピピ!


「ん、んー?やべ!もうこんな時間なの!?」


スマホを確認すると待ち合わせ時間の10分前。まずい、遅刻確定だ。アラーム音で起きた俺はとりあえず急いでいるふうに見せる。


いや、もう遅刻するのだから慌てないでゆっくり準備しよう。あ、流石に遅刻することはみんなにも伝えておかないといけないな。メッセージアプリのグループチャットにでも連絡を入れておこう。


「おはよ、今起きたから確実に遅刻するわ。ちょっと待ってくれん?」


『「やっぱりか遅刻常習犯。」』


「あははー、すみません。遅すぎたら先に店に行っててよ。そこに行くからさ。」


俺が遅刻することはみんな分かりきってる。それだから常習犯って言われるし、俺の扱いに慣れている。きっとスマホの前で呆れた顔をしているんだろうな。


「さーて、身支度しますかぁ。」


独り言を言いながら俺は徐に風呂場に向かう。遅刻とわかっているからこそ出てくる謎の余裕が全身を覆っている。それをさっさと取っ払ってしまおう。


………


あーさっぱりした。


やーべ、集合時間5分すぎちゃった、流石にみんなに迷惑かけるとまずい。いやもう既に迷惑かけとるやん。でもやっぱり1時間遅刻とかってなると話が違ってくる。いつも遅刻してるからこその配慮というものだ。


偉そうにいうな馬鹿者。そもそも遅刻は悪いだろうが、誠心誠意迷惑かけた人たちに謝れ。


うん。別に偉くないな。感覚としてはヤンキーが更生してちょっと真面目になったくらいの感覚だな。関係している人から見たら真面目になってるって感動されるかもしれないが何も知らない人から見たら結局悪いままだから-10だった人間が-5になっている、まだマイナス判定である。


ここでダメ人間代表から一言。ちょっとでも良くなっているのならそこを褒めてくれ。そしたらもっと頑張れるから。


髪をセットし、さっさと家を出て目的地に向かおう。そしてみんなに謝ろう。遅れてごめんなさいと言って許してもらえるかはわからないけど。


こんな俺とも遊んでくれる奴らだ。きっと笑って許してくれるに違いない。


遊んでくれてる、本当にありがとう。一生の友達だよお前ら。

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遺志固く、されど意志胸に カナデ @k-mellow

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