第23話 小さな恩返し

今日も森での収穫は大量でした。

リトちゃんは、森での収集はお手の物なのです。すごいなぁー。

私はいつも教えてもらってはいるのですが、花はまだしも、葉っぱが似たような形のものが多くて、中々憶える事が出来ていません。ちょっとしょんぼりなのです。


とはいえ!

今日は、アルヴ水薬ポーションの薬草を自力で見付ける事が出来たので満足です!

結構採れたので、お裾分けに行くのです。


リトちゃんのお家に戻り、フリッカさんに色々と渡した後は、東側……ダーインさん達の職人エリアに来ました。


「お!ユウナちゃんじゃないか!その防具、ちゃんと使ってくれてんだね!嬉しいよ!」


「ハーナルさん!こんにちは!どうかな……似合ってるかな?」


東に着くと、ハーナルさんがいつもの様に軒下で作業をしていました。今日は、鹿革をなめしていたようです。


「ああ、良く似合ってて、可愛いよ!何せアタシらが、腕によりをかけて作った最高傑作だしね!

お、今日はリトちゃんもいるのかい。珍しいね。」


「あ……こ……こんにちは……。」


リトちゃんは、なんだか少し怯えた様子でした。

手に持つ籠で口許を隠してしまっています。


「なんだい、なんだい?取って食いやしないよ!

どうだい?せっかくだ。リトちゃんも何か作ってやろうか?」


ハーナルさんは、すごく気風が良く、豪快で、姐御肌といった感じです。それでいて、繊細な気配りも出来てしまう人です。さすが防具職人のリーダーという事なのでしょうか。


「え……、い、いいんですか……?」


リトちゃんは、その提案が嬉しかったようで、上目遣いに聞き返していました。とても可愛いです。


「ああ。そりゃ、フリッカにゃ世話になってるからねぇ。いいも悪いも無いさ!

……ちょっと待ってな。ナーリ!ナーリ!」


ハーナルさんは、ナーリさんを呼びに小屋に入って行きました。薬草、渡しそびれちゃったな。


「お?ハーナルの奴が騒がしいと思ったら、ユウナちゃんじゃねぇかよ。」


「ダーインさん!こんにちは!」


「武器の調子はどうよ?俺の最高傑作、ダーインスレイヴ。何なら手入れしてくか?」


「調子……は、いいと思うよ!まだ、ちゃんと使いこなせないんだけど……。

今日は、これ!お礼に持ってきたの!」


「ん?お!薬草か!わざわざ採って来てくれたのか!」


「うん。リトちゃんと!」


「リト……、ああ、フリッカんトコの……。ありがとうよ!」


リトちゃんは、ダーインさんが怖かったのか、完全に私の後ろに隠れて息を殺していました。


「ちょっと!ダーイン!小さい女の子をいじめてんじゃないよ!」


ダーインさんと話していたら、ハーナルさんが戻ってきました。リトちゃんの様子を見てか、ダーインさんに文句を言ってしまいます。


「い、いじめだと?!馬鹿野郎!そんな真似するかってんだ!」


「ハンッ……。どーだか。アタシは忘れてないからね!昔、アンタにされた事を!」


「いつまでも根に持つ奴だな!もう200年は経つだろうが!」


どうやらこの二人は、何やらずいぶん昔からの、因縁のライバルみたいな感じのようですね。

とはいえ、喧嘩は良くないのです。


「ハーナルさん!ハーナルさんにも、これ!」


「ん?ああ、薬草じゃないかい。くれるのかい?」


「うん!今日、リトちゃんと採ってきたから!工房の皆と使ってね!」


「ああ、ありがとうね!使わせてもらうよ!

さ、リトちゃん。ちょっと打ち合わせしようか。おいでよ。」


「あ、は……はい。」


ハーナルさんは、リトちゃんを連れて、小屋に戻っていきました。


「チッ!ハーナルめ。いっつもいっつも何なんだ。

ユウナちゃん。フリッカんとこの……リトだったか。服かなんか作るのかよ?」


「えっと、防具だと思うけど……」


「な、なにぃー?!なんで武器じゃねぇんだ!

今度、俺んトコにも来るように言っといてくんな!」


「はーい!」


そう言い残してダーインさんは作業小屋に戻っていきました。ダーインさんって、負けず嫌いだなぁー。


でも、少しだけど、お礼が出来たのは良かったな。

また、良い物が取れたら持ってこなきゃだね!


――



「ただいまー!」

「お邪魔します。」


「ユウナ様、ナイ、おかえりなさい。リトちゃんも、いらっしゃい。」


家に帰ると、マリーカさんが出迎えてくれました。

ナイはいつもの様に、玄関脇にすとっと伏せをして、じっとし始めます。こうなると、ほとんど動きません。


私は、マリーカさんに今日の収穫を渡します。


「マリーカさん、これ!」


「あら、薬草ですか。今日もありがとうございます。」


「あ、マリーカさん、お母さんから、これも……」


「卵ですか。助かりますね。リトちゃん、ありがとう。

さ、お食事にいたしましょうか。」


今日の晩御飯も、とても美味しく、そして賑やかでした。

エルフ料理の定番といえば、野菜や木の実や花や葉で作ったものですが、今日は、猪のハンバーグみたいなものがありました。ジュワッとしてホロッとして、香りも良くて、最高ですね!



食休みにハーブティーを楽しんだ後は、三人でお風呂!

お風呂でリトちゃんは、マリーカさんの一糸纏わぬ姿を見て、とても驚いていました。


エルフは、ほとんどの人が、スレンダーな感じだそうで、マリーカさんの様な曲線美の際立つ身体付きは、珍しいみたいです。


実は私も、もう既に成人女性並にあるようでした。実の母……王妃も曲線美の際立つ珍しいタイプだそうで、私の将来も期待出来そうですね!

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