第7話 新生活!期待に胸が膨らみます!
「ふぅわあぁー!なにこれー!すごーい!」
「普通の、お風呂ですけれども……。」
私の感動に対して、マリーカさんの戸惑う様な返答。
カルチャーギャップっていうのかな?なんだかすごく温度差がありました。
美味しい晩御飯を頂いた後、一緒にお片付けをして……
それからお風呂の時間になったのですが……。
広いお風呂場だという事は、案内してもらったから知ってたけれど。
マリーカさんが用意してくれていたお風呂が、あまりにも素敵過ぎて、私、びっくりしたのです!
広い浴槽には、良い香りのする、色取り取りの綺麗な花弁が浮いてた。お風呂がお花畑です!こんなの見た事ない!すごいんです!
「えぇー?!これで、普通?!貴族みたいだけど?!」
「はい。普通です。
と、いいますか……ユウナ様は、王族なのですが……。ですので、少々心苦しいのですが……。」
あ!そういえば、そうでしたっけ。私、王様の娘なんですよね。物心?ついて、1日しか館にいなかったから、その辺りには、あんまり実感がないんだけど……。
それにしても、マリーカさんはクールだなぁ。
「さ、お脱ぎ下さい。お手伝い致します。」
そのクールなマリーカさんに、服を脱がされる。
慣れているのか、ものすごく手際がいい。
私は、人に脱がされるの慣れてなくて、ちょっと照れるんですけど……。
ふと目線を壁の方に移すと、脱衣場には大きな姿見があった。
全身まるまる映る、大きな鏡。
大きいけれど、決して派手な感じでは無くて、落ち着いた感じの彫刻が素敵な鏡。
その中に映された、耳の尖った少女。
私はその時初めて、今の自分の姿を見た。
本当に、生まれ変わってたんだ……と、実感した。
顔立ちは……こっちのお母さんに、結構似てる。
でも、髪色が違う……?お母さんは、薄緑で、お父さんは、薄金色だったけど、私は桜色だ。薄紅色というか……。
村長さんも、老エルフも、マリーカさんも金色だけど……、私は何で桜色なんだろう?やっぱり異常があるからかな?でも、綺麗な色だからいっか。
身体の方はというと……前世は、手術跡だらけの醜い身体だったけど、当たり前かも知れないけど、傷一つない綺麗な身体になってて、嬉しいなぁ。
耳は尖ってるけど、将来美人になれそうで、希望に胸が膨らみます!ていうか……ちゃんと胸があるんだよね。なんだか……わりと膨らみがあるんだよね。コレ、前世には無かったものだ。前世は、年齢の割に全然成長してくれない身体だったもの。
その膨らみを確かめる様に、そっと触ってみると、ポヨンと柔らかかった。なにこれー!!自分の身体にこんな柔らかいものが付いてるなんて!!すごー!!
これ、もっと大きくなったりするのかな?!するのかなぁー?!
「さ、ユウナ様。お身体、お流しいたしましょうか。」
内心ですごーく喜んでいたら、現実に戻された感じだったんですが……
「あ、は……い?!」
!!!!!?
マリーカさんも、いつの間にか服を脱いでいた……んだけれど。
エルフって、エルフのオトナのオンナの人って、みんなこうなのかな?!スタイルが良過ぎるのですが……!!なんだか感動するのですが……!!バックに華が咲いてそうです……!!
「マリーカさんって……すごく綺麗ですね……」
と、素直な気持ちを伝えたのに、やっぱりというかなんというか。
「え?!いえ、私など……。普通かと思いますが……?」
マリーカさんは、普通だと言うのです。
「えぇー?!」
もう驚きです。マリーカさんの普通の基準はどうなっているのでしょう。
「比べる事すら恐れ多いのですが、ルーナ様などは、本当に御美しくいらっしゃいます。
ユウナ様も、良く似ておいでです。もう後2、30年もすれば、ルーナ様のように御美しくなられるでしょう。」
……ん?え?待って?2、30年?私、今、多分、13歳くらいの見た目かなって思ってたんだけれど……
2、30年もしたら、30歳とか40歳くらいになるのでは……?
エルフって、寿命が長いだけあって、もしかして成長遅いのかな?
もしそうなら、寿命100年ってかなり短いのかな……?
「あのぅ……、マリーカさんって、おいくつなんですか……?」
「私ですか?確か……今年で256歳でしょうか?」
えぇー?!256歳?!どう見ても20代なんですけど?!
え?じゃあ、お年寄りに見えるエルフっていくつなのかな……。聞くのが怖い!
「さ、お話は後にして、お流しいたしましょう。」
「あ、はい。オネガイシマス……。」
マリーカさんは、丁寧に洗ってくれました。
人に洗ってもらうなんて、あんまり経験が無くて、最初はちょっと緊張したけれど、慣れてきたらすごく気持ち良かったです。
エルフのお風呂グッズは変わってて、身体を洗うのに使う柔らかいスポンジのようなものは、植物の実を加工したもので、ボディソープも、森にある木や花から採ったものらしいです。
シャンプーも、リンス代わりのオイルも、森で採れるらしいです。
森ってすごい!なんでもあるんだなぁー。
マリーカさんに洗ってもらった後……
一緒に湯船に浸かります。
「はふぅ~~……。お風呂、気持ちいい~……。」
フローラルな香りに包まれた湯船は、なんだか身も心も癒してくれるようです。
思えば、前世では長湯はした事無かったな。耐えられる身体じゃ無かったから。
こんなに気持ちいいものだったんだねー。知らなかったなぁー。
お風呂に行ったお兄ちゃんが、ちっとも出て来なかったのも、納得です。
「ユウナ様は、お風呂は二回目ですね。」
「あれ?私、初めてじゃないんだ……?」
「はい。御生まれになった時分に。
僭越ながら、私が産湯の儀を賜りました。」
「えぇー!そうだったんですね!なんというか、ありがとうございます!」
「いえ、私の方こそ、誉れ高い大役を賜れました事、身に余る光栄だと思っております。」
なんというか、マリーカさんは、私をすごく大事に扱ってくれてる、と思う。
私は、お父さんの話では、もう王家とは関わる事は無いと思うけど、それでもこんなに良くしてくれるのって、娘みたいに思ってくれてるのかな……?
そうだったら、いいな。
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