第29話 魔法石編 その6 試射会場
「これらが今回使用する銃のラインナップです。」
この場を取り仕切る神官の言葉を聞き流すパティ。
特設会場のテーブル上に並べられた、2丁のライフルを含む拳銃の数々。
1.パティが「星形」と名付けた、のっぺりとした外見の自動拳銃。
グリップの中央部分に五芒星のマークらしきレリーフ。
それだけが特徴だが、威力は未知数。
だが、それを試す機会を得た。 何しろ銃弾はある。
とは言え、剝き出しで発見された5発と紙の箱に入っていた25発だけ。
印刷されたであろう文字は擦れてしまってはいるが確認はできた。
と、言うよりも…
7,62×25 TOKAREV 25pcs
この字自体、誰も読めなかったのだった。
2.散弾が詰め込んである、ショットシェルを使用するタイプの猟銃。
よくあるタイプの銃身が二つ並んだものではなかった。
おそらくは古いタイプなのかもしれないが、心配なのは・・・
肝心の散弾銃が、まともに発射されるかどうか。
ギルマスだけではなく、親方もその威力を知りたがっている。
3.ポンプ式のエアライフル。
保存状態が良かったためか、各動作部は割とスムーズに動かせた。
ポンプも・・・だったが、問題がひとつ。
何しろスッカスカなのだ。 当然のこと、引き金も。
分解し、ポンプ内容を入念に調べた。 すると・・・
シリンダー内部に接地しているピストンバルブの材質が劣化していた。
金属ではなく木でもない、未知の材質だろうか?
見た目で容易に確認できるほどひび割れがひどく、
そこから空気漏れしているのは間違い無さそうだ。
だが、そう都合よくスペアパーツがあるわけではない。
「要するに、代わりの材質があればいいんだろう?」
親方は何かアテがあるようだった。
4,できれば使いたくなかった銃弾。
難攻不落だった怪物のモーシンを一撃で倒し、
職業試験を文字通り一発で合格に導いた大型拳銃。
パティが「ハリー」と呼ぶその拳銃の弾丸はもう既に
撃ち尽くしてしまっていた。 ・・・はずだった。
拾った大型拳銃用らしき銃弾は早々にマークされていた。
で、「これを使って威力を示せ」という仕事なので・・・
やらないと報酬が出ない。
出土品の銃弾は、ご丁寧にもよく磨きがかかっていた。
しかし、銃に装填できなければ意味が無い。
口径と長さが合わなければ「使用できません」と
言い訳する事もできたが・・・
あいにく、ジャストフィットだった。
5,見た目がダサい、奇妙な拳銃。
のっぺりとしたグリップから銃身がちょっとだけ生えて
いるような、奇妙すぎる形状。
撃鉄も奇妙な形をしているが、割と引っ張りやすい。
分解してみて分かった事は、連射ができ無さそうという事。
一発発射したら、そのたびに薬莢を排出しなければならない。
くすんだ白銀の材質も奇妙だし、握っていると・・・
余裕で我慢はできるのだが、何故かビリビリと痺れてくる感覚。
他の、どの銃にもそんな感覚は感じなかった。
そして、この銃もイベントのような仕事で使用しなければならない。
どの銃から使うかはパティに委ねられている。
「いい機会だし・・・いきなりやってもらおうかな。」
パティはエムとケイティの方を見た。
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