第27話 魔法石編 その4 ギルマスからのお知らせ

「おめえさん、それ・・・何か分かっていそうな感じだな?」


「はい。これ用の銃が見つかっていないのが残念ですが。」


「という事は、これらも銃弾なのですね?」


「そうです。おそらくは狼煙を打ち上げる信号弾か、散弾銃専用の物かと。」


「なるほど・・・」 と、言って考え込むギルマスのバック。


「何でえ、心当たりでもあんのか?」


「それがね、あるんですよ。 少し待っててくださいねー!」



ギルマスのバックが工房から出ていくと、親方はエムとケイティの方を見た。


「そういやあ、おめえらがここに来た理由・・・ まだ聞いてなかったな。」


ビクッ!と、反応するエムとケイティ。 数秒間ほど、気まずい間があった。


「おじいちゃん、聞いて!! あたしたち、パティちゃんにその武器の扱い方を

教えてくれるようお願いしてるの!!」

「・・・・・・うん!」


「で・・・パティ、おめえさんはどうなんだ?」


「はっきり言って、あたしは勧めたくないです。」


困惑している兄妹に対し、敢えて説教をするような口調で話し始めるパティ。


お手軽に考えてほしくない事から始まり、現場での作動不良は即命取りになるため、

拳銃の整備は常に欠かさない事が大事、武器であるがゆえに、銃口を向けるのは対

モンスターであり、決して善良な一般人に向けてはならない事。

しかし、モンスターのような雑念と本能、私利私欲に心が囚われた、人を殺すのに

何のためらいも無い悪人には状況に応じて引き金を引かなければならなくなる・・・あるいは、間違った使用状況により、大事な人や最愛の人に取り返しのつかない事態をいとも簡単に引き起こしてしまう恐れ・・・等々。


「つまりは、お二人ともその覚悟はあるんでしょうか?と、言いたいんですよ。」


これは、ちょっと言い過ぎたかな。 でも、これで諦めてくれれば・・・

そう思っていたパティだったが。


「・・・あたし、やる!! パティちゃん、雑用でも何でも言いつけて!!」


驚き、目を見張る表情を妹の方へ向けるエム。 パティも同様に驚いたようだった。


でも、さらに驚かされたのは・・・


「話は聞かせていただきました!!」


工房入り口に立つ、鉄の棒のような物を2本抱えていたギルマスのバック。

そして、その鉄棒のような物をテーブルの上に置いた。


「パティさん、これ・・・何か分かりますか?」


「・・・今、調べて見ます。」


初めて手に触れるはずなのに、手慣れた感じで可動部分を動作確認するパティ。


「・・・だいたい分かりました。」


パティは、2丁ともライフル銃の種類であることを確認したようだった。


「バック、よくそんなのが残っていたな?」


「キープしておいて正解でしたよ。こういった類の物は全て石弓(ボウガン)の

台座に使われてしまいますからね。」


「高級品と言われる石弓だろ?不当に値段の高いヤツはみんなそうだよな。」


「その件で今度審議にかけようと思ってます。まぁ、反発は予想されますが。」


オッサン二人の会話はどこかの酒場の世間話。

そういった感じで、2丁のライフル銃を黙々と手入れしているパティ。


ハッとした感じで、オッサン二人組の片割れであるバックが突然大声を発した。


「そうだ!! 大事な話があります!!」












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