第24話 魔法石編 その1 材料集め

クエスト依頼書を見ているパティ。


{ 〝遺跡広場〟の地下室に散在している【石の粒】集め }


「・・・・・・」


「パティさん、あとですねえ・・・このクエストは用意する物がありまして。」


・スコップ ・ツルハシ  ・専用の荷車      


「この、専用の荷車って何ですか?」


「この3点は全てグーグゥさんからの提供です。それと・・・これを。」


ギルド受付嬢からパティに渡された、一枚のメモ。

まず目立つのは、強調するように大文字で書かれた一言。


       【 必ず読め! 】


1.今回集める物は〝石の粒〟なんだが、コイン状の物もある。

  それを含め、見つけたら手当たり次第全て回収する事。


2.それらは全て鉄。 即ち、銃弾の原料だ。

  お前さんの武器となる訳だな。気合い入れて集めろ!


3. 専用の荷車の機能に面食らうかもしれないが、気にするな!

  それは、がれき類と鉄を篩(ふるい)にかけるためのモノだ。


4. モンスターが潜んでいる可能性が高い。

  身の危険を感じたら応戦もやむを得ないだろう。

  討伐、駆逐の許可は出ている。

  武器は必ず用意しておけ!



〝遺跡広場〟はギルドのある場所から目と鼻の先の距離にあった。

いわゆる馬車道が行き交うその場所は中央分離帯の役目をしている。

瓦礫の中央部分に人ひとりが普通に入れる洞穴。

分かりやすく規制線が張られていて、左右に衛兵・・・ ではなく、

新人冒険者のペアが勤めていた。       


「やっぱ、おまえから声がけしてくれよ!」

 

「もお、これだもんなあ~! 男でしょ!?」 


ギルドでパティらを注目していた、「拳銃の扱い方を教わろう」と言っていた兄と妹だった。


そこへ、パティと奇妙な荷車を押して来たコンタスが到着。

門番的役割の兄妹とパティ。  当然ながら目が合った。


「お勤めご苦労様です。 この中には誰も入れないように! と、ギルドからお達しがありましたので・・・入り口の警備、ひとつよろしくお願いいたします。」


パティの理路整然としたあいさつ。  呆気に取られてしまう兄妹。


「・・・・・・」  「ど、どうか気を付けてください!」


兄は固まり、妹がどうにか挨拶を返した。


二人に軽くお辞儀をして、洞穴に入っていくパティ。

ちょっと通りますよ的な手のジェスチャーで後に続くコンタス。


昼時になろうとしていた。


すぐ目と鼻の先の街道を行き交う駅馬車、手紙や小荷物を届ける走り人のヒキャク。

最近現れた、人力車を引く佇まいの「奪胃逸」と呼ばれる出前専門の業者。

それらは普通に街道を往来しているだけなのだが・・・

二人、特に兄の方が何か思い込んでいるようだった。


「・・・ちきしょう!! ジロジロ見てんじゃねえ!!」


「お兄ちゃんの事なんか、誰も見てないってば!!」


「なにィ!?」   「何よっ!!」


兄妹げんかになりそうになったのを止めたのは・・・

洞穴から聞こえた銃声だった。

「!?」   「!!」


ダンサーの指導している先生がリズムを取るための拍手。

それに似た音が洞穴から発せられた。


数分間で計12発。


そして・・・ 銃声の止んだ、さらに数分間。


じれるように、妹が洞穴に向かって声をかけた。

「大丈夫ですかあああー-ッ!?」


すると、しばらくして・・・


「大丈夫でー-す!! 今上がりま―す!!」


洞穴の中から、くぐもったパティの声が聞こえた。




ギルド受付口に何となく集まっている感じの、3人と1体。

先に声がけしたのはパティだった。


「あたし、時間かかると思いますんで・・・お先にどうぞ。」


「・・・・・・」

「すいません、それじゃ・・・ ほら、お兄ちゃん!報告しなきゃ!」

「分かってるよ!!」


「エム・アース、ケイティ・アース、〝遺跡広場〟洞穴入り口の警備、ただ今

終了しました!」

「・・・・・・」

「お兄ちゃん! まだ言うことあるでしょ!?」

「あ・・・ 入り口に、侵入者は現れませんでした! 異常なし! 以上です!」


「お疲れ様でした。 では、ここにサインをお願いしますね。」



人生初の仕事報酬を受けた兄妹は、まだギルド受付近くにいた。

パティの様子が気になるらしい。


「パティさん、お疲れ様でした。 何か変わったこと、ございませんでしたか?」

「中にネズミ型のモンスターがいました。 大きさ的には中型犬くらいで・・・」

「ええっ!? お怪我、ありませんでしたか!?」

「大丈夫です。 12体いましたが、全て倒しました。」


ギルド受付嬢は呼び鈴を鳴らして、もう一人の受付嬢を呼んだ。

掲示板近くに集まっていた狩人、冒険者たちが一斉にざわめく。


「パティさん、状況を詳しく話してくれますか!?」


洞穴内部の状況を説明するパティ。

「・・・ あと、モンスターに関しては現状手付かずなので、早急に後処理をお願いできればと思います。」


急いで書類を作成する、もう一人の受付嬢。

「パティさん、モンスターの件はこちらにお任せください!」



パティがクエスト終了報告し、報酬を受け取ると・・・


兄妹の妹の方、ケイティから声をかけてきた。

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