第19話 ギルド編 その19 荒ぶる川の出来事の話 2

「援軍に来ました! ・・・って、なんですか、アレ!?」

あたしは、倒れている国境警備隊員の方を回復魔法で介抱している魔術師の方に聞きました。  すると・・・

「何を言ってるの!! ここは危ないから避難しなさい!!」

と、怒られてしまいました。

治療を受けている隊員の方も、

「川猿は・・・ ヤバいぞ・・・ 凶暴で・・・ 素早い・・・」

と、話してくれました。 その後、介抱している魔術師さんに怒られてましたが。


「大丈夫です! 全部倒します!」

今思い出してみれば、何でこんなにも見栄っ張りな事を言っちゃったんだろう?

って思いましたよ。  やっぱりと言うか、また怒られてしまいました。

「バカ言ってないでサッサと避難しなさい!!」


まあ、そう言われてしまうのも無理なかったんです。

見た目、何も武器を持っていないガサツな女の子がナニ妄言吐いているんだ?

って話になりますよ、普通は。

でも、この状況。引くに引けませんでした。

あたしにも意地ってモンがありますから。

魔術師さんが怒る気持ちは分かりますが、とにかく結果を見て静かにしてもらう

しかない・・・


早速ですが、新しく入手した【14年式拳銃】のぶっつけ本番と行きます。

橋の一番遠くに、倒された馬車。

馬と御者の人に襲いかかろうとしている、頭に何かを着けている猿型のモンスター。

大きさはバブーンの戦士型くらいだったでしょうか?


改めて、安全装置のレバーを【火】の位置に倒し・・・

丸い三重の部分の所を手前にコッキング。 ガチッと手ごたえを感じました。


お願い・・・命中して! と祈りつつ、引き金を引くと・・・


           ポフンッ!


といった感じの、何とも気の抜けたような銃声がしました。

しかし、狙いを定めた〝川猿〟と呼ばれるモンスターは一発で倒れたのです。


それが合図かのように、仲間たちは飛び出して行きました。

ブドーは、いっぺんに10体をぶっ飛ばし、川の中へ叩き落とす力技。


コンタスは、愛用している木の槍を客車に置き忘れてしまった事に気付くのですが、

取りに戻ることはしませんでした。 なので・・・

戦闘不能になった警備隊員さんの武器を借りたようです。

選んだのは、ロングソード。しかも、二刀流・・・


何せ、力はあるもんですから、型の無い自己流でも威力があります。

それこそ、バッサバッサといった感じで切り倒してしまうさまは・・・

なかなかにグロい光景でした。


それにしても、この〝川猿〟と呼ばれているモンスター。

ギャアギャア喚き散らして威嚇しているつもりなんでしょうが・・・

テリトリーを拡げるために、人間さんや馬さんを襲うなんて許される訳無いんです。

元の居場所に帰らず、やりたい放題暴れ回り、人々の暮らしを脅かすのであれば

・・・ 全員、無言の帰宅をしてもらうしかない。

これは〝防衛〟なんです! 


倒された馬車に群がっていた〝川猿〟を全て倒した時、拳銃がわずかに軽くなった

気がしました。  これは・・・?

やはり、弾倉は空になっていました。 

橋の上にいた川猿も粗方倒したので、今のうちに交換です。

念のため、*アレンの6銃口にも弾を装填しておかないと。


しばらくすると、あたしたちの後ろの方で複数の叫び声がしました。

でも、川猿のそれではありません。

どうやらハンターズ・ギルドからの援軍が駆けつけてくれたようでした。


「うわわわっ!!! なんじゃこりゃああああ!!?」

「誰がやったんだああーーっ!?」

「おい! 見たことないヤツがいるぞ!!」


「あんたら、その2体のモンスターと女の子は味方だ!!撃つんじゃないよ!!」


「マジかっ!?」 「危ねえー、攻撃するところだったぜ!」


「ぼさっとしてないで、兵隊さんを救助してーー!!」


あの魔術師さん、援軍の皆さんを仕切ってくれているので大助かりです。

それに・・・ あたしたちを戦力として認めてくれたみたいですし。


近くで興味深そうにあたしたちを見ている人に、気付いた事を話しました。


「橋の向こう側(西の方向)を見てください! まだ来ます!!」





*アレン  パティがニックネームをつけた拳銃のひとつ。

      いわゆるペッパーボックスと呼ばれる物。














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