第18話 ギルド編 その18〝荒ぶる川〟の出来事の話 1

奇数の宝玉国、川の入り口村の国境検問所での停車時間ですが・・・

やけに長いのが気になってました。

機関車の辺りでしょうか?  親方と運転士さんではない誰かの話し声でした。


「おいっ!何で通行止めになってんだ!?」


「荒ぶる川大橋がモンスターに占拠されています!避難してください!!」


「被害状況は?」


「通行人と馬車が襲われたのは見ました!」


「ハンターズ・ギルドはどうした!?」


「つい先ほど、赤い狼煙を上げました!  直に援軍が来るはずです!!」


「・・・・・・・・・!」

あたしから見ても親方は明らかにイライラしているようでした。


その時、国境警備隊の人でしょうか? 叫ぶような大声が近くでしたんです。


「もっと援軍をよこしてくれ!!!」 「これじゃ間に合わないぞ!!!」


「いいですか!? ちゃんと避難してくださいね!!」

親方と話していた検問所の職員であろう人は持ち場へ戻って行きました。


「・・・・・・ダメだッ!! 待ってらんねえっ!!!」

親方はあたしの方を振り返ると、こう言いました。

「嬢ちゃん、出番だ。 仲間にも伝えてくれ。」


「わかりました!!」


とりあえず、ドレジャの中にしまっておくか。

と、例の使えない拳銃とよくわからない筒を一緒にしようとして・・・

何気なく差し込もうとしたんです。    すると・・・

スーッと入ってしまって、慌てて取ろうと回したら・・・ カチッと。

えっ、これってまさか?

・・・試しに、【安ー火】と刻印してある所にあるレバー。

【火】の位置に・・・  行けました!!

・・・本当に使用可能なのかしら?  でも、そうであってほしい!

状況が状況だけに、試し撃ちができないけど・・・

今はそんな場合じゃない。 もう、ぶっつけ本番でいい。

その一発でさえ、襲われている人の命を救うために役立つかもしれないのだから。


あたしは、おかみさんから台車を借りることにしました。

「宝箱クン乗っけるんだろ? いいよ、使いな!」

「ありがとうございます!!」と、お礼を言ってるそばからコンタスはドレジャを

抱え上げようとしていました。

「おいおい、慌てるな! 気持ちは分かるけどよ。」

親方は客車の檻のカギを開けてくれました。


あたしたちが到着した時・・・

大きな橋の入り口はとんでもないことになっていたんです。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る