第15話 ギルド編 その15 パティの事も聞きたい(上)

「・・・チキショーめ、こんなに喋り倒したのは生まれて初めてだぜ!」


「お疲れ様でした。 あと、パティさんの事も聞かせていただけますか?」


「え・・・えええっ!?」


「俺は〝荒ぶる川〟の橋での出来事以降のお前さんの事をまだ知らないんだ。

・・・聞かせてくれるか?」


「そんな、あたしの話なんか・・・ 大したことない・・・ですよ?」


「なに言ってやがる!おめえさんがいなかったら、あの橋は魔獣の縄張りのまま

だったんだぞ!」


「それ、それ!! そういうのを聞かせて欲しいんですよ、パティさん!!」


ため息をつき、渋々話を始めるパティ。


(鍵括弧無し)


親方から、この村を出るという話を聞いて・・・

即座について行こう、と決めました。 なぜなら・・・

右も左も、何にも分かっていないあたしを拾って、助けてくれたのは・・・

親方とおかみさんです!!

その恩義に報いるためには、どうすればいいのか? 

色々考えてみたんですが・・・

やはり、仕事をするしかない。

漠然とした思いなんだけど、やるんだったらハンター。

そう親方に申し出て、ひと通りやらせてもらったんですけど・・・

もう自分が嫌になるほどダメダメでした。

両手剣なんか持つ以前の問題で、片手剣ですら両手で持って振るまね事しか

できませんでしたから。

何しろ腕力が圧倒的に弱いので・・・

使えたのは、木に印を彫る程度の能力しかない短剣と初心者用の石弓だけでした。

そんなあたしだったので、親方からは何か他の仕事を探せと言われたんですが・・・


あ、〝荒ぶる川〟の橋・・・の話でしたね。

バブーンとモーシンの討伐が成功できた事で・・・

親方はあたしの武器をある程度認めてくれたと思います。


一緒について来るなら・・・ 戦士登録の仕方を教えてやるし、新しいタイプの戦士だという事をギルドに進言してもいい。それと、大きな洗い場村のギルド・・・

特に、石弓猟師会はかなり閉鎖的な傾向にあるからこの地に留まったところで・・・   初心者扱いされて、たいした仕事を紹介してくれなさそうだ。

ハンターとして仕事を数多くこなしたいのであれば、色々教えてやる。

・・・と、親方は言ってくれました。


・・・〝荒ぶる川〟の橋の話ですよね。

地理に詳しい方はご存知でしょうが・・・ 大きな洗い場村からその橋へ行くには、

茨の道の城王国を横断、ひたすら西へと進みます。

その際、〝奇数の宝玉国〟に入国しなければ他に通れる貿易道はありません。


( 貿易道=街道とほぼ同じ意味 )


あの国の入国審査は結構面倒くさいので有名なんだ。

数多くの魔法石を扱う国だから、審査が厳しいのは当然のことだな。

そうおっしゃってた親方なので、何か対策があるんだろうと・・・


あたしがすごく心配していたのは、仲間たち。

検問所で不当に扱われ、隔離されてしまうのではないか?

ですから、思わず親方に相談してしまいましたよ、そのことを。

そしたら・・・


任せろ、俺に考えがある!  親方はそう言ってくれました。





 

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