第10話 ギルド編 その10 真相を話す親方 (中)

「パティが俺の所に来て一ヶ月くらいだったかな・・・」


( この先、話が長くなりそうなのでカギカッコを省略 )


俺が住んでいた、茨の道の城王国の・・・〝大きな洗い場村〟。

ここはほぼ海沿いなので、海風が割とキツイ。で、防風林がある。

その内側に俺の工房と、村で管理をしている畑があるんだが・・・

いきなり、俺の工房に自警団の若い衆が訪ねてきてな、


たった今、〝は・区域〟の畑で偵察バブーンの目撃情報がありました!!

おやっさんも注意してください!! ・・・だと。


で、自警団の方でも石弓猟師会へ緊急事態用の狼煙を上げたそうで、俺も事に

備えないと・・・って訳で武器庫を物色していたんだ。 そしたら・・・


いつのまにか、玄関にモンスターが2体立ってやがった。

不覚! 俺もここまでか・・・ と、思ったんだけどよ・・・


間から、ひょっこりとパティが顔を出してくるもんだから驚いたね。

おめえ、大丈夫なのか!? って聞いたら・・・


仲間たち、3人とも見つかりました! 

とまぁ、何とも晴ればれとした表情で言うもんでな。

俺は・・・そうなのか、と言うしかなかったんだよ。


そう言えば、村の人たちが言ってた・・・バブーンって何ですか?

てぇ、パティに質問されたんで答えてやった。


そいつは猿型のモンスターだ。 人の背丈ぐらいあるヤツは偵察型。

異様に素早く、トリッキーな動きをする。

偵察型よりひと回りか二回りデカいのは戦士型。

頃合いの木を、そのままぶった切りしたような棍棒を持っている。


奴らが畑を襲うのは、決まって収穫期だ。ちゃんと理解してやがる。

対抗策として早めに収穫し、畑に何もない事が分かると・・・

今度は村を襲う。 

当然のこと、武装した村人たちや猟師会と戦闘になる訳だ。

偵察型とは言え、一体だけでも力はB級戦士くらいある。

おまけに爪が鋭く、ダガーを8本装備しているようなモンだな。(4本指)

厄介な事に、向こうも数で攻めてきやがる。

そうすると、残念ながら村人たちに死傷者が出てしまう。

でも、こっちだって必死だ。

例えば、3~4人がかりで・・・ようやく1体か2体倒せたとしよう。

すると、奴らは一斉に撤退するんだがよ・・・

そこで、撃退できたー 村は救われたー なあんて思っちゃいけねえんだ。

何でかと言うと、逃げた奴らは援軍を呼ぶ。  さっき話した、戦士型をな。

そして、その戦士型が〝モーシン〟を引き連れて来る。


〝モーシン〟は役場の建物くらいある、やたらとデカいモンスターだ。

そんなのが、矢でも飛んでくるような速さで村に突っ込んで来る。

防ぎ切れる訳ねえんだよ・・・

壊滅させられた村はひとつや二つじゃない。 

死者だって1000人を越えてしまった。

だから、おめえさんも遠くへ避難した方が・・・ と言いかけた時だったな。


あたしと仲間で・・・全て倒します!!


俺に向かって・・・ そう言い切ったんだよ、パティは。



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