第9話 ギルド編 その9 真相を話す親方 (前)

「ドレジャ、中にある拳銃をいったん全部出してくれる?」


ゆっくりと開く宝箱のフタ。 一度全開になったあと、すぐに閉じた。


「ごめんね、起こしちゃって。」


宝箱のフタがパコパコと開閉したあと・・・

拳銃が一丁ずつ、吐き出されるように出てきた。


テーブルに並べられたのは、それぞれ異なるタイプの拳銃。

その数、5丁。

中でも二人のオッサンが注目しているのが・・・

他の銃よりも一際大きく、銃身も長い回胴式の拳銃。


「もしかして、これがパティさんを合格に導いた・・・?」


「ああ、それだ。 久々に聞いたが・・・やっぱ凄かったな。」


「ひさびさって・・・ 何があったんですか!?」


「そこはおめえ、前にも聞いたことがあるんですか?・・・だろ?」


「いいから、くわしく聞かせてくださいよ!!」


「その前によ・・・今からする話は許可が必要なんだ。」


「??」


ギルマスは親方の方を、親方はパティの方を見た。


「〝茨の道の城王国〟での事・・・話しても、いいよな?」


「・・・・・・」


「〝茨の道の城王国〟と言えば、発生してから十数年に渡り難攻不落だった・・・

あの〝モーシン〟(ワイルドボーと呼称されるイノシシ型モンスターの変異体)が

ついに倒された・・・ って、 新聞一面にデカデカと載ってた・・・」


「ああ、それな。もう半年になんのか。」


「これには驚かされました。」


「確か、その記事【石弓猟師会お手柄!】とか書いてあったよな?」


「ホント、どうやって倒したんでしょうね。」


「何言ってやがる! とんでもねえ噓っぱちだ、ありゃあ。」


目が点になるギルマスのバック。 黙って拳銃の手入れをするパティ。


「だいたいだな、石弓猟師が何百人いたところでヤツを倒せる訳なかったんだよ。」


「えっ!? じゃあ、パティさんが?」


「その通り。実際に現場を目の当たりにした人間が、今から話すのは・・・」


「ちょっと待ってください。今、メモの準備を・・・」

炭筆(クロッキーで使用される物に似てる)と、何枚かの紙を用意するギルマス。

軽く咳払いをする親方。


「・・・誓って真実だ。断言してやる。」


テーブルに置かれている銃身の長い大きな拳銃。

黙々と他の拳銃を手入れしているパティ。

それらを見比べているギルマスのバック。


「あの・・・いいですか?」と、パティ。


「おう、なんでえ?」


「親方の話・・・他言無用でお願いしたいのですが。」


「でもよ、ギルマスであるバックには本当のことを伝えねえと。」


「ですから、ここだけの話・・・という事で。」


「おう、そういう事か。 いいよな?バック。」


「分かりました。」



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