第6話 ギルド編  その6  称号

ドオオン!!!

その爆発音は腹に響く重低音だった。


大型拳銃の強烈なキックバックに、たまらず尻餅をついてしまうパティ。


対戦相手の巨大ゴーレムはというと・・・

振り上げたはずのハンマーが、単なる木の棒に変わっていたのだった。

そして、地面に落ちている真っ二つに割れた岩石。


ピ、ピイーーッ!!   二度鳴らされたホイッスル。

「勝者、パティ選手!!」


一斉に拍手と歓声が巻き起こる。


パティは起き上がろうとして肘を地面に付けた時、ちょっと顔をしかめた。

それでも膝の力でなんとか起き上がる。

最後はコンタスとブドーと並び、観客に向かって一礼。


再びの大歓声と惜しみない拍手。


「いや、お見事でした。 ギルドで〝称号〟を受け取ってください。」


「・・・はい。」


記録係の神官の呼びかけに、またもや生返事のパティだった。



ギルド受付前に整列しているパティ、ブドー、コンタス、ドレジャの4名。


普段は受付嬢がいる位置に、ギルドマスターのバック・ティッカーがいた。


コンタスには・・・     【棒術士】


ブドーには・・・      【拳闘士】


ドレジャには・・・     【魔法生物】


パティには・・・      【拳銃士】


「模擬試験の結果は・・・まさに驚異的な戦績だった。 前代未聞・・・

そう言っていいくらいだ。 これはもう、強力な援軍が参加してくれた事に等しい。 

てな訳で・・・ここに〝東の都国〟狩人連盟北支部より正式な戦士登録と先の称号を

送りたいと思う。   それはさておき・・・」

と言って、ギルドマスターのバック・ティッカーはパティの方を見た。


「何かあったのではないか? 顔色が優れないようだが。」


「両肩を負傷・・・してます。 医務室・・・案内してくれると・・・」


「なんと・・・!」


パティのメンバーの称号授与式は早々にお開きとなった。


そんなパティのメンバーに注目している、他のメンバーが三組。


「お嬢様、彼らはいかがでしょうか?」

「そうね・・・ ちょっと興味湧いてきたかも。」



「お兄ちゃん! あの子に、あの武器の使い方教わろうよ!!そしたら・・・」

「ああ、俺たち・・・成り上がる事ができそうだな!」



「姉さん、見た? あの二匹のモンスター、とんでもない強さだよ。」

「それにしても・・・あの子、テイマーの称号じゃないのね。」

「あ、言われてみれば!」

「まあ、テイマーの称号はうちらだけで充分だし・・・」

「そうだね。あとは姉さんが良からぬ事を考えていなければいいよね。」

「失礼しちゃうわね! あの二匹が欲しいなんて、絶対思ってないんだからね!!」

「・・・・・・」



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