第3話 ギルド編 その3 模擬戦(前) 

「あの・・・おかみさん、ひとりで洗えますから!」


「若いのに、そんな遠慮しないの!」


風呂場で泡まみれのパティ。

おかみさんがパティの髪を洗おうとした時・・・


「パティちゃん・・・ あんたのこの髪なんだけどね・・・」


「え? 何かくっついてます?」


「おばちゃんねえ、とてもじゃないけど見過ごせないと思ったの!」


「何がです?」


「だから・・・ いいわよね?」


「ですから!」



― 翌朝 ―


「パティちゃん・・・服、ボロボロだったから捨てといたわよー。

可愛い女の子なんだから服ぐらい新調しなくちゃダメ!」


「だからよ、孫が着る予定だった服と装備・・・もらってくれ。な?」


鍛冶屋ご夫婦の半ば強引な勧めにより、装備が一新されたパティ。


1.日が当たるほど熱を適度に発散し、防御力が高まっていくという魔法陣が

  刷り込まれた白いバンダナ。ちなみに、腰まで伸びていた髪はおかみさん

  の提案により程よい短さのショートカットにされた。


2.短い襟付きの白いブラウス。七分袖は直射日光をある程度防ぎ、腕の動き

  を阻害しない。その上に羽織る、濃い茶色のベストはモンスターの皮革製。

  ちなみに、ブラはランナーズニップルを防ぐパット付きの伸縮性に富んだ

  程よい締め付けのガーゼのような素材。


3.モンスター皮革の巻きスカート。 サイズ調節が可能。

  今はそれほどでもないが、成長するにつれミニ度は増していくと思われる。

  ちなみに、下着は細めの褌(ふんどし)に似た形。

  生理用ナプキンがキッチリ収まるよう工夫されている。


4.防御魔法が付与された黒いニーハイソックス。

  細かい蔓(つる)を編み込んで作られたブーツ。

 粘り強い木材を分割配置した事により、動きやすさと丈夫さを兼ね備えた靴底。

  ロングブーツのつもりで履くとずり下がってしまうので、折りたたんでショート

  ブーツ。


「・・・何も、そんなに詳しく説明しなくたっていいじゃない! 特に3!!」

説明文にキレている場合ではなかった。


「パティさーん、そろそろ準備お願いしまーす!」



ギルドから目と鼻の先にある空き地のような場所。

そこが新人専用の模擬戦試験会場だった。

素焼きレンガを積み上げて作られた簡易観客席はすでに満員状態。


前に誰かが試合をしていた訳ではなく、パティのメンバーから始められるらしい。


「パティさん、順番を決めてください。 どなたから始めますか?」


サッと手を上げたのはリザードマン型モンスター、コンタス。


審判員を務める神官が説明を加えた。

「勝敗の決し方ですが、制限時間内に効果的なヒットが対戦相手より上回っていれば勝ち、下回っていれば負け。即ち不合格です。K.Oされたら、問答無用ですね。」


奥にある倉庫のような扉が開けられた。 中から出てきたのは・・・


「あれって・・・〝木人〟ですか?」

「よくご存知ですね。動きもトリッキーですし、手強いですよ。」


パティの質問に対し、審判員の神官は少し得意げに答えた。


木人とコンタスが簡易闘技場中央で向き合う。 木人も同じ木の槍。


ピイッ!


ホイッスルの音と同時に、木人が突き攻撃を仕掛けて来た。























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