第2話 ギルド編 その2 力量測定

「ひとつ聞きたいです。モンスターはギルドに戦士登録できるんですか?」

パティは受付嬢に尋ねた。


「そうですね・・・モンスター単独で申し込むなんてのは、まず無理です。

そもそも有り得ないですね。 ただ、魔獣使い(テイマー)という形なら可能

ですけど・・・そうなるとモンスターは武装か魔法扱いになってしまうんです。

あなたがモンスターと円滑なコミュニケーションが取れるのであれば・・・

とりあえず、戦士登録の仮許可は下りると思います。その点、どうですか?」


「問題ありません。」 きっぱりと言い切ったパティ。


「とにかくよ、測定は済んでるんだろ?」

一刻も早くパティを風呂に入れようとしているグーグゥ。


「そうですね! 私も定時で上がりたいですから!」


続いてモンスターの測定。

基本的に本人がそのエリアに入り、名前を記入すればおおよそのステータスが測定

され、表示されるようになっている。

だが、それも自分で名前が記入できる事が前提。


そのエリアに入ったリザードマン型モンスター。

だが、記入用紙の前でカタまってしまった。

背負っている木の槍が小刻みに震えている。


事態がなかなか進行しない様子に受付嬢は・・・

「グーグゥさん! ちょっと来ていただけますかーっ!?」


すると、奥の方から小走りで来たグーグゥ。

どうやらギルドのすぐ隣に住居兼工房を構えているらしい。


「おう? ・・・そうか、事情は分かった。」

固まっているリザードマン型モンスターをチラ見したあと、台車に乗っている宝箱(?)の前に立った。

「・・・確か、こうだったな。」


宝箱(?)の左端、真ん中、右端をコン、コン、コンと、計三回ノックすると・・・


突然、宝箱(?)のフタが開き、三つの木片が順番に飛び出た。

それらは木片というより、木のお札のような物だった。

大きさはタバコの箱ほど。

表に文字が書かれてあり、裏側に彫刻を施してあるように見えた。


「これってよお・・・ スタンプだろ? 大丈夫だよな?」


「たぶん大丈夫と思います。 じゃあ、これを使ってください。」


受付嬢が出してきたのは書道で使われる硯(すずり)とほぼ同じ物。

墨汁を溜めておく所に、色も同じの少し粘り気のある黒いインクを乗せ、備え付けのヘラで薄く伸ばし、スタンプ台として使用するようだ。


「ほれ、おめえのはどれだ?」


リザードマン型モンスターは迷うこと無く一枚を選んだ。

受付嬢から手順を身振り手振りで教わり、記入用紙の名前の欄にスタンプを押す。


「賢いですねー・・・ あれ? グーグゥさん、二枚ありますよ?」


「ああ、コイツもそうなんだ。」 宝箱(?)を指さすグーグゥ。


「ええー!! じゃあコレって・・・ミミックですか?」


「聞いた話だと、【ミミック・ギミック】という変異種の、そのまた亜種らしい。」


記入用紙にスタンプを押せない2体のモンスターに代わり、グーグゥがスタンプを押して仮登録は完了した。



パーティー名称   ―


パーティーメンバー    パティ・サンバ  女性  14歳  戦士

         

             コンタス     モンスター    戦士


             ドレジャ     魔法生物     戦士


             ブドー      モンスター    戦士



「おいおい! 称号のところ、テキトー過ぎるだろ!」


「大丈夫ですー! 明日の模擬戦闘で適性検査は書き換えできますからー!」      






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