第15話

 待て、話せば分かる。


 そんな言い訳は通じない。黙れ馬鹿野郎服を脱げ。


 一瞬だった。一瞬で服を剥かれた俺はベッドに磔にされ、天井の染みを数えながら朝を迎える事になった。


 腕に縛り付けられたロープが痛い。隣で眠るライズの体が柔らかいとか、そんな事を気にしてられる状態じゃないぐらいには痛い。


 このままライズが起きる前に部屋を抜け出せばきっともっと拗れる。ロープを千切っても拗れる。


「はぁ……生殺しだよなぁ……」


 事はあった。実際に気持ちが良かった。だが、俺好みの大きな胸が目の前で揺れているのに触れないというのは本当にきつかったのだ。


「つーか……マジでどうしよ……」


 ゲーム本編の勇者と関係を持ってしまうとは。これからはメンタルを立ち直らせ、旅に出て貰うしかない。まさかこんなにも依存されるとは思わなかった。これは俺のミスだな。


「あのぉ……ライズさんや、そろそろ起きてくれませんかね?」


「んっ……んんぅ……」


 朝日に照らされるライズの肢体は美しく照らされ、こんな状況なのにドキリとしてしまった。


 依存という名の好意を寄せられるのは嬉しいが、ライズには先ず魔王を殺して欲しいのだ。この際、きちんと話してから協力体制を取るのが良いのだろうか。


 思案するが、まずは彼女の事だ。まずはメンタルを正常な値まで引き上げる。


「おはよ……温かかったよ……ルドガーの……」


「はいはい、まずはロープを解こうか。そろそろ痛いんですけど」


「駄目だよ……駄目。また逃げちゃうんでしょ?」


「逃げないってば。ほら、このままじゃ手も握れない……だろ?」


「うぅ……逃げたら、今度こそ許さないからね?」


「はは……」


 今の君を放って何処かへ行ったりしないよ。怖くて夜も眠れない。


「ありがと……それと、本当にごめん。君を一人にするべきじゃ無かった」


「もう良いよ。戻って来てくれたんだもの……」


 服を着ようとするとライズが身を寄せてくる。ほんの一時すらも離れたくないらしい。なるほど、これは重症だな。


 さて、ライズのメンタルケアプランだが。やはりここは王道かつ、ピュアなものにしよう。いきなり一線を越えておいてピュアだなんてとは言ってはいけない。


「ライズ、デートをしよう」

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