第5話 運
わたしは運がいい。
今までの人生もずっとそうだった。
「あれ? この人以前お会いしてる。ぜんぜん覚えてないけど」
「そうでしょう」
「あれ? なに? 会ってて当たり前みたいな返事。これ、わたしが必要な時に必要な事(人)がやってくる運持ってるて事でしょう?」
「なにその運。その人、わたしが連れて行ったパーティでお会いした方では?」
「うん、そうかもしれない」
「持ってますねえ、必要な時に必要な事(人)がやってくる運」
「うん。ま、最高峰はあなたですけどね」
「と、おっしゃいますと?」
「あなたはわたしが必要なときに現れたでしょう?
あなたがいなければ続けられなかった。
あなたがいなければ一生行かなかったはずの場所に行った。
あなたがいなければラクダにも乗らなかったしペンダントも作らなかったし船釣りもしなかった」
「後半はまあ気になるところもあるけど概ねそうだね」
「まだあるよ、コップも作らないしなんちゃら織りもしてないし金魚も作らない。なにより頭に傘はかぶらない」
「う、うん。ねえ、調子が出てきたとこ申し訳ないんだけど、一言いいかな?」
「え? うん」
「死ぬの?」
「え? それは誰にもわからない」
「おもしろくないな、その答え」
「なに? 死ぬかもね? のほうが良かったの?」
「いや、そうじゃないけどさ」
「持ってるのよ、必要な時に必要な事(人)がやってくる運」
「じゃあ今からはじめる新しいこともきっとうまくいくね」
「そうだといいけど……」
「あなたにはあなたにしかできないことがある。あなたにはあなたのやりたい事がある。大丈夫、うまくいくよ。だってわたしが全力で協力するんだもの。今までもこれからもね。」
いつものように変なこと言ってる。
いつものように笑いあう。
いつものように
わたしはあなたのことが好き。
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