第三話 ──そして、現世に復活する──
「…なるほどなぁ。こういう感じで始まるのね、これ。」
ショウター…もとい、正太郎は意識を取り戻した。意識を取り戻したというのは語弊があるかもしれないが、本当にフッと人格が戻ったのだ。もちろんのこと、ショウターとしての記憶も引き継がれたままで。祈りのポーズのまま女神様に感謝を述べる。
「女神様、前世で愚かな選択をした私にもう一度生をお与え下さり、ありがとうございます。今生は、さくせん いのちをだいじにで生きたいと思います。」
などとちょっと分かりずらいことを言い、目を開けるとジョセフの方を振り返る。視界の端では、女神像が心なしか苦笑するように微笑んだように見えた。
「父上、いやさお父さん。帰りましょう。」
明るく、愛くるしい笑顔で言った。
「あぁ…その、大丈夫か?雰囲気が少しショウターとは違う気がするのだが…」
ジョセフは明らかに困惑していた。そりゃそうだ祈り始めて十数秒後に振り向いたら、開口一番父上なんて普段言われない呼称を持ち出されたのだから。
「何も問題ありません。私はショウター・テネス。今生を生き抜く術を女神様より授かりました。」
ショウターってどんな感じで喋ってたっけ?と思いながら、己が中の記憶をなぞる。せめて年相応に喋る努力をしろよと。
「それならばよかったが…まあいいか。さぁ、帰ろう。お母さんたちが待っている。」
ジョセフは若干の戸惑いを残したまま、ショウターの手を引き帰路に着いた。
道中、ジョセフから何を授かったのか聞かれたショウターは、己の中に意識を向ける。すると頭の中に語りかけるように機械的に声が流れる。
(獲得スキル…身体技術向上、魔力補正・増強、感覚・知覚、騎乗、舞踏、刀剣審美、放出、飛翔を獲得しています。)
「はへっ!? 8個!?」
思わず変な声が出た。ジョセフもビクッとして振り返る。引き続き声が語る。
(また、女神のギフトにより、慈愛の女神の加護を。併せて前世の思考解析により、特殊聖職者ジョブ「アンデットマスター」を獲得しました。以上になります。)
頭の中の声は一頻り淡々と言葉を並べると、すっと消えた。
(8個はやばいだろ流石に…。女神様特典、メガ盛りが過ぎる。しかも加護に、特殊ジョブってなんだよ。まさか俺の性癖まで覗かれたってこと?はっずいわ!!)
赤くなったり青くなったり忙しいショウターの顔を、心配そうな顔をしながらジョセフが見ていた。ひとしきり百面相をしたあとで、すっと落ち着いた顔に戻るとショウターが言った。
「お父さん、僕は神に選ばれた者かもしれないです。」
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