第14話 入団
「事情はわかったわよ。それで?何か言う事は?」
物凄い剣幕で睨みながらエリナは正座させられているシグを見下ろす。萎縮してしまったシグはただ一言「ごめんなさい」と謝って俯いている。
「あんたね、私達も入団させようと思ってたならなんで言わなかったのよ?そもそもーーー」
「いいじゃありませんかエリナ。シグさんは私達を置いて入団したワケじゃありませんし。それにサーシャの事も解決したんですからそこまで怒らなくても」
「駄目よレイ、分からない子にはきっちり分かるまで教えなきゃ」
シグを庇うレイと、エリナの怒りを鎮めるためか近づいて顔を舐めているサーシャ。そんな光景を見てメイザーとリンは子供の喧嘩を見ているようで微笑んで見ている。
「あ、紹介が遅れました。私はルードル公爵の娘でルードル・エリナ・ヴィッツェと申します。この度はあの【赤の翼】に入団させて頂き誠に感謝致します。」
「わ、私はレイと言います。これからよろしくお願いします」
え?エリナさんってそんな名前だったんだ。レイさんがエリナって呼んでたからそう呼んでけど、やっぱり貴族のお姫様だったんだなぁ〜
「ルードル家の娘さんが何故冒険者に?」
「お恥ずかしい話ですが、婚約者との結婚を反対しましたら父上と口論になってしまいまして…」
「成程、あまり話したくないような家の事情を聞いてしまって申し訳ない。」
そんなに話たくないものなのか?貴族のことはよく分からないが聞いても面白く無さそうなのでサーシャと遊んでみんなの自己紹介が終わるのを待った。
「それではこれから街に戻って屋敷に帰ったら案内をしよう。」
「「ありがとうございます」」
「…シグ帰ったら1戦」
「今日はサーシャと遊ぶのでまた明日にでも」
街へ戻る道中、そんな話をしながら戻っているとふと何かを思い出したかのようにリンが聞いてきた
「そういえばクラスを聞いてない。赤ぐらい?それとも緑?」
「僕達は冒険者見習いなので待だ白ですよ」
「…あの強さで?」
「僕なんてまだまだですよ。王を見た時勝てないと本能が訴えて、恥ずかしい話ですが足が竦みましたよ」
「あの王様は特別。城の警備も手薄にして賊や暗殺者をワザと入れて返り討ちにするのが趣味な戦闘狂」
「それよりもシグ君、本当に白クラスなのかい?その強さがあるなら特別試験を受けて緑クラスの資格を取ってもいいのでは?」
「そんなものあるんですか?」
そんな情報を出されてしまったら早速受けるしかない。シグはサーシャに跨って走るようにお願いしたら、矢のような猛スピードでみんなを置き去りにしてあっという間に北の門へと着いてしまった。
…街で全力で走らないように躾なきゃと思いながら一足先に門を抜けて屋敷へと向かった。
屋敷に入ると、団員が数多く集まっていてサーシャを見ている。触っても噛みませんよと言うと少ない女性団員が真っ先に来てもふもふとサーシャの毛を堪能し、男性団員なんかはどんな鎧を着せたらかっこいいか等と話している。
「連れてきたのか、ほかの皆は?」
「サーシャの足が想像より早くて置いてきちゃいました」
「ははは、なるほどな。それにしても本当に神獣を手懐けてるとはな〜」
「サーシャは僕の可愛い家族です。狼は群を大切にする生き物ですから僕やみんなの事も新しい家族だと思ってくれていますよ」
「神獣をただの狼扱いするのはお前くらいかもな。どれ、サーシャよ!餌を用意してあるぞ!!」
レオスがそういうと、奥からせっせと数名の団員がグルルを丸ごと1匹運んでくる。
それを見たサーシャは臭いを嗅いだ後、嬉しそうに肉を食べ初めた。
「雨が降った時ように屋敷の右の方に小屋を作らせてる最中なので、それまでは馬小屋にいさせるが…食べ無いように躾られるか?」
「大丈夫です!サーシャは賢いですから」
暫くサーシャと遊んでいたらみんなが帰ってきた。エリナが真っ先にシグの元に向かって来て説教が始まった。
夕食まで説教をされ、クタクタのシグは夕食をすませてシャワーを浴びることにした。
シャワーが終わると今日は早めに寝ようと思いどこで寝たら良いか周りにいた人に聞くと、幹部(銀クラス以上)以外は基本共同部屋があり、4人1組で一部屋らしい。だがシグは今日が初めてなので誰と同じ部屋なのか分からず困っていると、レオスが廊下の先から現れて
「入団挨拶をするので早速行くぞ」
成程、エリナが急に予定を言ったら怒るのはこういうことかと痛感し、眠気と戦いながらレオスの後をついて行った。
「それでは、我が派閥に入団してくれた者達に軽く自己紹介をしてもらう」
広いエントランスに机が並べられ、酒やチーズなどが並べられ、多くの団員が座ってこちらを見ている。緊張しながら辺りを見回すと1番左にいたシグにみんなの注目が集まっており、自分から紹介する空気が流れているので、シグは挨拶をした。
「こんばんは!シグ・マグナっていいます!よろしくお願いします」
「趣味とか得意な技とか教えてくれよ」
「もっとアピールしていけぇ〜」
「は、はい!趣味は特に無いですが得意な技は斬り合って確認してください!」
入団するのでここの団員達も仲間なのだが、技をむやみに他人に教えるなと師匠の教えを守ってそれらしい事を口にした。
エリナとレイの自己紹介が終わり、レオスの乾杯の合図と共に皆が騒ぎながら今日入ったばかりの新人達に絡む。
歓迎会が1人の団員が部屋に案内すると言われたがサーシャの事が気になって今日は馬小屋でサーシャと寝る事を伝えて、馬小屋でサーシャと夜を過ごす。
明日になったら特別試験?とやらを受けに行こうと思い、明日の事を考えながら眠りについた
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