第8話 談話室
ギルドの談話室へ連行されてしまったシグは内装はオシャレで、壁に絵画や花などを飾った部屋に通された。入口にはアマゾネスが壁に背をつけ腕組みしながら立っており、フードを被った男性は何やれぶつぶつと呟きながら窓際へと行き、緋色の髪の女性は自分の横に腰を下ろし、団長らしい人物はシグの前の椅子へ腰を下ろした。
隣の女性にじっと見つめられて緊張するのでやめて貰いたいのだけど…
「さて、君は先程あいつらか?と呟いていたね。何か事情を知っているならば教えて欲しい。」
「えと、聞き間違いでは?宿に2人連れがいてあいつら待ってるかな?って独り言を呟いただけですよ。という事で僕は帰りたいんですが…」
「待って、聞き間違いなわけない、聞き耳立ててたのも分かってるんだよ?何か知ってるなら教えて欲しい」
隣の女性に肩を掴まれて上げかけた腰を落とされた。流石に無理があるか。
「…面倒ごとは嫌いなので話すだけなら」
「あぁ、それで良い。話して貰えれば協力は頼まないと約束しよう」
しかしシグはちょっとした興味本位で部屋全体についついイタズラ心で周りに殺気を飛ばしてみた。
すぐに隣の女性に腕を取られ組み伏せられて机と椅子の間に倒され、首の皮1枚裂いて剣を突き立てられた。
「なんの真似だ?貴様まさか奴隷商の雇った者か?」
「痛っ!冗談ですよ!ちょっと強い人が多いので斬り合いたいな〜なんて思っただけで」
「アマゾネスみたいな思考の持ち主なんだな、だが実力差が分からないわけではあるまい?」
「師匠には腕試しがしたいなら強い相手を選べって教わったので」
「ふんっ、君は面白いな」
なんて会話をしていると女性が手を離してくれて起き上がり、再び座りなおす。
「それで?君は何を知っているんだ?」
「その前に、1つ条件をつけさせてください。何も得られないのに情報を開示するのは情報を腐らせる事になるので。勿論、僕はこの情報にはそれだけの価値があると思っています。」
「金か?随分と
「いえ、金ではなくて貴方と斬り合いたいです!街でいきなり斬りかかったらギルドにペナルティを貰ってしまうので」
するとこの場のシグ以外の全員が呆気に取られたあと、直ぐに部屋の中は笑い声で響だす。
「くくく、団長そいつ本当にただの人間か?アマゾネスのあたいより度胸あるよ」
「団長が喧嘩を売られたのは何年ぶりだ?久しぶりに見たよ。しかもレディに!」
「貴方正気?団長は物凄く強いんだよ?」
「がぁはっはっ、ほんとに面白いな君は報酬に斬り合いたいなんて生まれて初めての経験だ。だが女性を傷つけるのは俺も性にあわなくてな他は駄目か?」
口々に馬鹿にされてしまったので少しシグもイラッとして
「あの、挑戦を申し込む人に対して馬鹿にする事があなた達の派閥?ってやつなんですか?それに勘違いしてるようなので言いますけど僕は男です!なのであなたもあまり近くに寄らないでください!」
と、多少語気を強くしながら言うと皆がえっ!?と驚いた顔でシグの顔を見つめ、隣の女性は少し距離を取ってくれた。まだ近いと思うがまぁいいや。
「す、すまない。馬鹿にしたわけでは無いのだ。なにぶん大派閥と呼ばれる様になってからは他人に勝負を挑まれる事が無くてな」
「それで?斬り合ってくれるんですか?」
「あ、あぁ。良いだろう、挑戦を受け入れるよ」
「ありがとございまーーー」
お礼の言葉を言おうとしている最中に、隣の女性にぺたぺたと髪やら胸を触られ居心地が悪くなる
「あの、本当に男ですよ?」
「…ごめん」
まぁよく勘違いされるから別にいいのだがまさか男と言った後にこんなに触られるのは初めてであった。それも綺麗な女性にだ。
「…取り敢えず話をしますね。つい先日の冒険者試験の時にーーーー」
冒険者試験の際に出会った2人組の男達の言っていた商売がなどの話からモンスターが全くおらず奥の部屋に穴があってそこに詰め込まれていた事等を団長とやらに話した。
「なるほどな、、1度そのダンジョンに行って調査する必要があるな。ギルドめ、なにが何も無かっただ。それで?その2人組はどうしたのだ?」
「ころ、、、いえ逃げられました」
「状況が状況だけに正確な情報が欲しい。殺したんだな?」
「…はい。あの僕捕まったりしますか?」
「そんな事はないが?」
あの時のエリナの反応から人殺しは罪になるのでは?と思っていたが良かった。流石にあの状況でも捕まるような国では無かったんだな、エリナは人が死ぬところを初めて見て気が動転したのかもしれない。
「殺したとなれば見つけ出して情報を吐かせる事も出来んが、中々有力な情報だった、ありがとう。」
「いえ、お役に立てたなら何よりです。それよりいつ斬り合ってくれます?夜明け頃とかどうでしょうか!」
「良いだろう。では夜明けに北の門で待ち合わせよう。外でやらねばギルドも煩いのでな」
約束を取り付けた後、シグはすぐに帰ると言ったのに長話で忘れていた事を思い出し、急いでギルドを後にした。
「それにしてもあの見た目で男とは、あそこまで綺麗な顔の男逆に喰ってみたいなぁ」
「やめろ汚いアマゾネスめ、下世話な話を私の前でするんじゃない」
「うるせぇなモヤシ野郎が?なんか文句あんのか?」
「やめんか2人共。それに容姿をとやかく言うもんじゃないだろ?まぁ、流石に俺も驚いたが」
「…可愛かった」
「取り敢えず彼との決闘が終わり次第明日からそのダンジョンへ向かい調査するぞほかの者もいいな?」
「「「「「はい!団長!!」」」」」
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