第6話 大都市 アインスベル
「あの、ちょっといいですか?」
シグがレイとエリナに絡んでいる男性3人組に声をかけると、その場の全員がこちらを向き、2人はパッと笑顔を向けてくれるが男達は
「なんや?偉いべっぴんさんが話し掛けてきたなぁ」
「もしかしてこの2人の知り合いなんじゃね?」
「それなら人数も丁度ええやん!俺らと遊ばねぇか?」
などと口々に喋り出した。面倒な事は嫌うシグは相手にもすぐに伝わる様に一番近い者の手を掴み自分の胸に手を当てさせる。
見ていた2人は興奮するように口笛を吹いたりニヤニヤと笑っているが胸に手を当てられた者は何か違和感のある顔をしてシグを見ている。
「せっかくのお誘いですがお断りします。僕は男なので、、、それでもお誘いしますか?」
ニッコリと笑いながらそう説明すると、男達は信じられないものを見た顔で凝視してくる。よくされるなぁその顔と思いながら男の手を解き2人に向かって
「おまたせしました。プレートに名前を彫ってもらいたいので先にギルドに入りませんか?」
と告げて、ボッーとしている男達を無視して2人と一緒にギルドに入る事にした。
「シグさんにまた助けていただきましたね。ありがとうございます」
「ふんっ あんな連中なら私1人でも対処出来たわよ」
とそれぞれの反応を見て苦笑いを浮かべながら受付嬢の所に行くき手続きをする。名前を彫るのに魔力の込められた特別なインクを使用するらしく(偽造されるのを防ぐ為)30分程時間が掛かるそうなのでで夕方頃にまた取りに来ますと告げて受け取る際に必要な紙を貰いギルドを後にした。
「そう言えばシグさん、この街は初めてでしたよね?どこか行ってみたい場所はありますか?」
「そうですね、せっかくなので長旅でボロボロになった服を変えたいです」
「それなら私のオススメは西の方にある【ジャグリー】ってお店があってーーー」
「待ちなさいエリナ、西の方は富豪とかが買い物する富裕層御用達の物ばかりじゃないですか。旅でそれ程手持ちの少ない彼には南の商店街辺を案内しましょう」
と、レイが気遣ってくれた。
できる女性とはこういう人の事を言うんだろうなぁと思いながらレイの提案を受け、3人で南の商店街に向かう事にした。
南の商店街には服や食料品、それから武具などの店が並んでおり、昼前という事もありいっそう賑わっていた。
「服の前に食事にしますか?」
シグが提案すると2人は頷き近場にあった魚料理専門店という店へ入った。
適当に全員で注文をして喋りながら注文を待つ。暫くして運ばれてきた料理は塩焼きや煮込み、刺身などが運ばれて来てそれぞれの食事に手を付けた。
「?エルフの方たちは皆肉類を好まないと聞いていたのですがどうやら違ったみたいですね。」
「それはだいぶ昔の話ですね。その昔エルフの国に巨大な魔物が攻めて来て国のピンチを救ってくださった大英雄様が「肉を食わなきゃ体力つかねぇぞ!」と言ってエルフの民に肉や魚を振舞ってからはエルフも狩りをするようになったんです」
「種族の違う者達の食文化を変えたんですか?よくエルフ達が受け入れましたね」
「大英雄様を皆が崇拝して、この方の言う事は正しい!って思ったのだと思います。その頃私はまだ小さかったですから周りに合わせていただけですが今でも感謝しています。」
「へぇ〜、大英雄かぁ。」
そんなに慕われる大英雄とはどのような人物だったのだろうか?自分もなれるかな?など考えながら
シグは再び食事を食べ始めた。
会話をしながら食事を済ませ、服と外套を適当に新調してついでに武具屋にも顔を出した。
武具やの中には鎧や
シグは旅の途中で壊れてしまった
「ん〜胸当てだけでも意外とお高いですね。弓も新調するとなると」
「だから私が買ってあげるってば」
「いえ、値段もそうなのですがサイズが、、、」
なんて会話をしていてのでシグは目線をレイの胸元に移してしまった。確かにたわわに実った果実では胸当てのサイズを変更してもらう際に別途金が掛かるだろう。比べてエリナの方は売ってある物をそのままつけれそうではあるが、、、
「シグ、あんた胸見ながらいやらしい事考えてるでしょ。サイテー」
「シグさん、1度見たからといって凝視されるのは流石に恥ずかしいのですが///」
何故がエリナにも(それ程ないのに)文句言われたが2人に言われて慌てて後ろを向き、2人の買い物が終わるまで待つこと暫し、2人が店から出てきた時にはレイは弓だけを持っていた。
「あれ、胸当ては買わなかったんですか?」
「いえ、調整して貰うのに時間が掛かるそうなのでまた明日には取りに来ます」
やっぱりすぐに貰えるサイズは置いてなかったかんだなぁ、まぁこのサイズじゃ確かに置いてある方が珍しーーー
「またあんた胸ばっか見て、可愛い顔してとんだド変態ね」
「あのシグさん…///」
「す、すいません!もう見ません!!」
これ以上の会話はいけないと判断しもうすぐ約束の時間も迫っていたので、シグたちはギルドへと向かった。
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