第4話 僕ーーーです
盗賊だかなんだか知らないが2人程殺してしまったが、シグは特に気にする様子もなく縛られてる2人の元へ行き縄を切る。2人は酷く震えており寒いのか?とも思ったがそうでは無い。
「た、助けてくれてなんだけどあんたどうして人を殺して平気なの?」
と、ルーなんたらさんに言われたが襲われたら普通に抵抗するよな?と思ったがもしかしたらあの街には殺しは御法度で即死刑なんて法でもあるのだろうか?もしそんな事なら即刻逃げたいのだが…
「人を殺して良心が痛むとか無いの?どうしてそんな何も無かったような顔をしていられるの?一度逃がそうとしてたのに抵抗する気も無かった相手を顔色変えず良く殺せるわね」
と、教会の人間が言いそうな事を言ってくるのでシグは疑問符が頭に何個も浮かんで
「モンスターだって襲って来るこの場所で(まだ見てないけど)堂々と人間を襲うあいつらを生かしてなんの意味がある?それにあいつらじゃなくモンスターに襲われても同じ事が言えるのですか?人間はダメでモンスターはいいのかな?それと服着てください。色々見えそうになってるんで」
「女どうしで何恥ずかしがってんのよ。まぁ、確かにあいつらは許せないしモンスターなら何も言わなかったかもしれないけど、、、でも」
「やめましょうエリナ、私にも彼女程実力があれば彼らを殺していたかもしれない。あ、失礼名前がまだでしたね。私はレイと申します。危ない所を助けて頂きありがとうございます。」
レイと名乗ったエルフのその身体は殆ど裸に近くシグは彼女を真っ直ぐに見れない。早く服を来てもらいたいのだが…というかルーなんたらさんの名前初めて聞いたな。
「この御恩はエルフの国の神樹様に近い返させて頂きます。それよりもまずは冒険者プレートを探すのに一緒に行きませんか?私達のパーティーのドンさんとエルクさんが亡くなってしまったので、もしさっきのような輩にまた襲われる事になれば私たち二人では太刀打ち出来ません。助けてもらって何ですがどうかあなたの力を貸して頂きたいとーーー」
「わかりました、一緒に行きますからどうか服を着てください先程の奴らの身ぐるみを剥がすので!」
「そんなに顔を赤くされて照れ屋なんですね。女性同士でも恥ずかしいなんて可愛らしい」
「いや、あのみんなによく勘違いされるんですけど」
慌てながら目を逸らして真っ赤になる彼女の顔を見ながら2人は首を傾げながらシグの方を見ていた。すると
「僕、男ですよ」
何を言われたか一瞬分からず2人が頭にハテナマークを浮かべながら自分を見る。すると2人はようやく状況を理解して真っ赤になりながら
「「キャァァァァア///」」
と同時に叫ぶのであった。
2人が死体から衣服を剥ぎ取り着替えた後3人で冒険者プレートを探しに歩き出した。
「お、男なら男って早く言いなさいよね!」
「エリナ、勘違いしたのは私たちですから彼に非はありませんよ。それにちゃんと自分から言ってくれたのだから良いではありませんか。お見苦しいものをすみません」
「いえ、僕の方こそすみません。奴らを殺した後身ぐるみ剥がしてすぐに持ってくれば良かったです」
などと会話しながら歩いて居ると、奥に広々とした空間がありその更に奥には台座がある。全員で近寄って見ると何も書かれていないプレートが4つ置いてあった。
「これ!冒険者プレートじゃない?やったわ!これであとは帰るだけよ!!」
と、エリナがはしゃいで居るがここに来るまでにモンスターを見ていない事がどうにも腑に落ちない。モンスター達が全部外に逃げ出したのか?と考えながら辺を見回すと右奥の床に穴があった。何かと思い近づくとそれは異様な光景だった。
このダンジョンに棲息していたであろうモンスターの死体が穴の中(入口よりも深く横にも広く掘ってある)にびっしりと詰まっていた。モンスター討伐をすればその死体の一部を持ち帰り残りの死体は他のモンスターに喰わせてダンジョンの生態系を変えない事が原則であると村で聞いた事があるがこんな事をする意味はあるのだろうか?
するとシグの頭の中には先程の奴らとの会話を思い出しあるひとつの仮説が浮かび上がる。まぁ、ただの仮説であって今は考えなくて良いかと2人の所へ戻る事にした。
プレートが1枚余っているので2人にもう1枚は僕が貰ってもいいですか?と聞くと、2人は何故2つもいるのか疑問に思ったがどうでも良かったのか詮索されずに貰うことが出来た。
それからもモンスターに遭遇することも無くすっかり暗くなった帰路につき、北の門に到着する前にシグが
「それでは僕はやる事があるので先にお帰りください。」
と言うと2人から明日また会ってお礼をさせて欲しいと提案され断ろうともしたが凄い勢いでお願いされ待ち合わせ場所と日時を確認して先に帰って貰った。よし、正義感の強いエリナが居れば何かと文句を言われると思ったので好都合だ。
「さて、それではこれを売りますか」
シグの手には月の光を反射して輝く冒険者プレートがあった。
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