第3話 ダンジョン
ダンジョンの中は光る苔のようなもので意外と明るく、松明等も必要がない程足元を照らしてくれている。道も所々別れておりこれならば他のパーティーと出くわす事も無いだろうと水筒の水を飲見ながら歩いて居ると前方から羽音が聞こえて来る。
モンスターか?なんて思ったがお尻をやたら点滅させる親指サイズの虫が飛んでいる。
警戒心などなくシグの周りを飛びながら洞窟を彷徨う様は神秘的な空間を見ているようでとても危険な場所とは思えない。
しばらく眺めながら歩いて居ると、ここにはどんなモンスターが出て何階層程降りたら目的地に到達できるのか、事前情報ってどこかで仕入れられたのかなど考えていたら横道から殺気を感じ飛び退くと矢が地面に刺さっていた。
横道をすぐに見るがモンスターらしきものは見当たらない。その代わり走って奥に逃げて行く足音が聞こえた。もしかすると他の志願者がライバルを蹴落とそうとしているのか?物騒だなぁなんて思ったがここはダンジョン、死体なんてそこらに放置しとけばモンスターが勝手に処理してくれるのでその手は悪くないなと考えたがシグ自信がそれをする事に躊躇いがある。目の前で冒険者プレートぶら下げて寝ていたらもしかしたらくすねてしまうかもしれないがそんな事して立派な冒険者を名乗れるだろうか?そう考えこれ以上考えるのはやめようと先を進み初めた
2時間程彷徨い歩きながら、2階程降り3階層まで来たがモンスターに出くわさない。先発組が倒したのか?とも思うがそれらしい戦闘の痕跡や死体も見当たらない限りどうも違うようだ。果たしてこの先にまだ階段はあるのだろうか?それともここが既にゴールの階層なのか?モヤモヤしながら歩いて居ると、奥の方から悲鳴が聞こえてきた。
モンスターに襲われているのか?だが助けても冒険者プレートは4つしか無いのでどうしようかと悩んだ結果、助けに向かった。
奥まで走って向かうとモンスターなんかはおらず、代わりに2人分の死体と、手足を縛られ服を破かれたその肢体を嬲られるエルフ、抵抗してはいるが体を上から抑えられ今にも犯されそうなルーなんたらさんが泣きながら助けを求めていた。
そんな現場に来てしまったシグはモンスターではないことに落胆したが、取り敢えず助けようとまだ気付かれて無いので手頃な石を拾いあげ手前のルーなんたらさんに襲いかかっていた男の頭目掛けて投擲した。
「ぐわっ!…痛ってぇなこら誰だテメェ!!」
「兄貴、随分とまた可愛らしい女が来ましたぜ!その女も縛りあげて楽しみましょうや」
頭に石が当たって(ちょいと強めに投げたのに)痛いで済ますなんて大した男だなぁなんて関心しているとルーなんたらさんとエルフが
「「逃げて!来ちゃダメ!!」」
と同時に叫んでいた。仲良いなぁなんて思ったが2人とも服が大変な事になっている為柔肌が露出して乙女の秘密が見えそうになっている。顔赤くなってないかな?
「おい女ァ!怪我の分だけちょいと痛い目見てもらうが覚悟できてんだろうな?」
「武器を捨てて大人しくしてたら兄貴だって2、3発殴るだけで済ましてくれるぜぇ?」
などと、殴られる事は確定しているのに武器を捨てろと言うアホな提案をしてきた。
「冒険者プレートが目当てなのにわざわざそんな事してる暇あるんですか?それと僕はーーー」
「ガタガタ抜かしてんじゃねぇ!その綺麗な顔ぐちゃぐちゃになるまで殴り倒してやるよ!」
「兄貴!それは勿体ないんで綺麗なままにしときましょうぜ?商売になんねぇや」
呆れつつもその兄貴の後で構えを取り2人で距離を詰めてくる男2人、先に兄貴と呼ばれた方が剣を構えながら切りつけて来た
「手首無ければ抵抗出来ねぇだろ!死ねや!!」
と狙う箇所を言いながら殺す気満々で切りつけて来るもんだから仕方なく刀を抜いた。
「ヒャッハー!どうだ女ァ!手首切られた感触はよぉ!さぞ気持ちよかっただ…ろ?…あぁん?」
手首を切ったつもりの男がシグの手を見るが繋がったままである。避けられたのかとも思ったがそうではない。ドサッという音の方を見ると剣を持った肘から先が2つ転がっていた。見覚えのあるその腕を見て顔を青くしながら自分の腕を見てようやく状況を理解し
「うがぁぁぁぁあ!!お、俺のう、腕、腕がァ!」
などと泣き喚いて地面をのたうち回っていた。弟?の方は飛ぶ腕を見て声も出せずその場で固まって震えている。
「殺す気で来ておいて自分が絶対に無事で済むと思っていたのですか?呆れた人ですね。まぁ、殺されるのは勘弁なので抵抗しましたがそちらの方はまだやりますか?」
弟?の方は頭を激しく振り全力で土下座しながら助けてくれと命乞いをする。それを見たシグはため息を吐きながら元来た道を横に少しズレ、指をさしながら
「そこに転がっている人を連れて早く出ていて下さい以後このような事をしないように」
そう言って早く出ていくように促し、急いで抱えてシグの横を通り抜け、6歩程かけている最中に体が倒れ地面にうつ伏せになった。
2人とも首から上を宙に舞いあげながら……
「逃がすわけないだろう?下衆共が」
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