第3話 人型ゴーレム計画始動

 採掘用ゴーレムは4脚歩行の犬型だ。


 しかしやはり人型のロボットが欲しい。

 たとえ搭乗できない大きさだとしても。


 そんな訳で俺が開発依頼をしたのは作業用兼視察用のゴーレムだ。

 目的がこれなら両手が自由に使える人型の方が便利だろう。


 ゴーレム専用の坑道は人が入る事を考慮しない設計にする。

 だから坑道の高さは通常の人が立ち入る事前提の場所より低くなる。

 つまり人より低い背丈のゴーレムとなる訳だ。


 こういうロボット、何かなかったかな。

 脳裏に思い浮かぶ中から考えてみる。


 モビルスーツ系は駄目だろう。

 プロポーション的に細すぎる。


 鉱山で使うのだからドワーフみたいなプロポーションが好ましい。

 背が低く頑丈そうで、手は作業用にある程度長くて。


 だったらSDガンダムという意見はとりあえず無視。

 あれはどう見ても実用ではない。

 顔がでかすぎる。


 サ●ガンのビッグトニーは正しいけれど個人的に好きではない。

 コードギ●スのアレクサンダはインセクトモードが鉱山向きな気がするが、やはりフォルムが鉱山的ではない。


 どうにも記憶に新しいものは端正なプロポーションのロボばかり。

 鉱山向きなのが思いつかない。


 鉱山というと少々古いがやはりザブングルのウォーカーマシンだろうか。 

 ただどれも坑内作業には適していない気がする。

 あれは鉱石採掘でも露天掘り用だ、きっと。


 プロポーションでいくとボトムズのATとかドルバックのパワードアーマーだろうか。

 それでも微妙に違う気がする。

 しかもボ●ムズのツヴ●ークまでいくと歩くのすら辛そうだ。

 足が短すぎて。


 そう思ったところでふと思い出した。

 ダイアク●ンのパワードスーツ辺りはどうだろうかと。

 それも大きくなったマニ●ーバシリーズではなく、最初の頃の。


 頭と胴が一体化した頑丈そうな本体部分。

 そこそこ長い腕と、不整地でも問題無く歩ける程度の足。

 Dタイプから武器だのスラスターだの変形機能だのを全てオミットすれば、実用的なロボット、いやゴーレムになるだろう。

 鉱山用として正しい気がする。


 それにこの形ならば全高2腕半5m程度に拡大すれば人が搭乗するスペースも作れる。

 細身でスタイルのいいロボットではその倍は全高が必要。

 そんな計算も実はある。


 ラフスケッチを描き、ゴーレム化推進対策課へと持ち込む。

 なおゴーレム化推進対策課とは元ゴーレム化推進研究室が発展して課という体制に進化し名称変更したもの。

 要員も倍以上に増えている。


 僕は新たに企画担当となったダルトン君のところへ。

 理由は僕と同年代で話しやすいから。

 工科学校を出ているのでゴーレム関連に詳しいというのもある。

 まだぎりぎり十代なのに既に後退しつつある髪がチャームポイントの好青年だ。 


「新たなゴーレムの提案だ。ややデフォルメした人型で二足歩行する。坑内での修理業務や機材メンテナンス業務、あるいは幹部の坑内巡視にはこういったタイプのゴーレムがあった方が便利だろう」


「完全な人間型ではないんですね」


 ダルトンは僕のラフスケッチを確認してそんな事を言う。


「完全な人間型にする必要はない。この方が製作も楽だし合理的だ」


「確かにそうですね」


 納得してくれたようだ。

 これで人型のゴーレム開発が始まる。

 うまくいけばサイズアップして搭乗型も夢では無い。


 ただ搭乗型を作るのはこの小型が十分に改良されてからだ。

 その方が高性能な物を作れるだろうから。

 サイズアップした搭乗型を作るときの言い訳はどうしようか。

 そんな事を考えながら、僕は業務に戻る。

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