エピローグ

 私が誰と結ばれたかは内緒。この日から二年後、私はある人と結ばれたって話だけはしておこうかな。

 たくさん考えたわ。たくさん惑わされたし。喧嘩もして泣いて笑って。それで、私が残りの人生を隣で歩いていたい人を選んだ。


 そうね。私のこの人生を振り返ってみると、もう二度と経験できないことをたくさんした人生だった。殺されかけたし、死にかけたし。それでも幸せなことばかりだった。たくさんの喜ばしい場面に立ち会えた。

 私の一生に何も悔いることはないわ。前世の記憶を持っていたのは普通と違ったし、王族として生きたのも普通のことではなかった。でも、楽しかった。

 前世とは違って長く生きられたし。


 私の少し不思議な人生はきっと誰よりも充実したものだった。

 ルキウス王国。私に関わってくれた全ての人。幸せをありがとう。


◇◆◇◆◇◆


 こうしてセレーア・ルキウスは八十七歳という当時にしては長い人生に幕を閉じた。彼女の名は国の繁栄に力を注いだ人物として後世に名前が残る、偉大な人となった。

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城《カゴ》の中のお姫様 白鷺緋翠 @SIRASAGI__HISUI

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