第19話 街づくり

「何、シルバー辺境伯が人や資材をかき集め街造りをしていると」

キグナスの高位貴族はもとより各国の王族らもこの情報を耳にしていた。

「あれ以上街を大きくすると言うのかそれとも別の場所に街を作っているのか」

誰もその答えを持っていない、ただ更に力を持ちつつあるシルバーに恐怖しているのである。


亜空間の動力源は魔力と電力である、基本地球のように鉱物資源や炭素エネルギーを使いすぎると環境に悪いし自然に無限に存在する魔素と水力風力を使うのは理にかなっている。


水車は小川から大河まで活用でき水力発電も可能、風力は何処にでもあるエネルギーで風車を使えば直ぐに動力となるこれが普及すれば小さな農村でもエネルギーの問題は解決するのでそのための発電機を魔道具で作り上げるのが俺の仕事だ。


魔法金属とは都合の良い物で半永久に壊れない「不壊」の付与を当てるだけで済む、加工も一瞬で済むため大きな工場などはいらない搬送も魔法バッグや空間拡張の馬車などあれば解決する。こんな感じで都合良く改革と街づくりが進んでゆき6か月後俺の亜空間の中にこの星の半分ほどの面積を持つ世界が完成し立派な街や村が出来上がった。


そして一つ加えたのは「始まりの街」の存在である。王都というべき俺の街に直接グリーンアースの街をつなげるのではなくワンクッション置くことにした。この世界で生きていくためのルールや決まりを守れるかを確認してから入植させることにしたのだ。


シルバー辺境伯の地に各種ギルドの幹部が訪れたのはその頃だった

「新しき街を辺境伯様が増設している情報は耳にしております。そこで我が商業ギルドからも支店を出させ欲しいと考えここに来ましたどうかご一考もほどを」

と同じような内容で各ギルドが申し込みに来たのだ。

そこでシルバーは移転門のような物を作り上げ亜空間がこの世界に繋がっているように見せながら人の移動を可能にしたのだった、見た目は地下に繋がるトンネルのような門でそこを通らなければ亜空間には到達できないのは当然なので警備も簡単必要があれば結界魔法を張れば不審者の通行を防ぐことも可能になった。


この世界で生きることが難しい人々が自分の可能性を信じて新しい世界に挑む人々が次々に入植し始め「初めての街」入場制限がかかりだす始末、よって「第二の街」を急遽造成することになった。


ーー ある獣人族の家族 side


迫害を受けさらに働き手であった夫も病に倒れ子供4人を連れた獣人の母親は藁をも掴む思いで始まりの街に来ていた。

「お母さんこのパンおかしいよ」

と朝食に出た白パンを片手に長女のサヤが母に言う

「真っ白いし柔らかいし甘いの・・こんなパン見たことも聞いたこともない、それにスープにお肉がこんなに入っていて・・涙が出るの何故?」

母も涙を流しながら

「さあみんな沢山食べていいんだよ」

と山のように置かれたパンや食事を子供にお腹いっぱい食べさせるのであった。


ーー ある運送業をはじめた商人


今まで商人が買付して運搬しそして販売していたのにここでは作る者、仕入れる者、運搬する者そして販売する者と細分化しており無駄がない。運搬する馬車も特別製で壊れにくくたくさんの荷物を運べるとなれば最初の運搬ルートを作り上げたものが成り上がれる。男は大商人になることを夢見て数十年努力するも上手くいかなかった過去を塗り替えるように運送業を広げていった。


ーー ある冒険者パーティー


「本当にこの先に夢のような世界があるのか?」

5人の冒険者パーティーは長年冒険者として働いていたが歳をとり、魔物との戦いに限界を感じていた。

「ああ、俺の知り合いがあのシルバー辺境伯の街で冒険者をしているが新しい街に冒険者というよりも自警団のような仕事と護衛をお願いする冒険者を募っていると話が来たんだ。なんでも魔物自体はほとんどおらず熊などの大型の獣から旅人を守るのが仕事のようだ。」

とリーダーの男が言うと先程疑問を口にしていた男が

「報酬はどうなるんだ魔物がいなければあまり金にならんだろ」

と言うと

「そこも確認済みだ、家などの住まいはもとより最低限生活できるだけの報酬は約束されていて年老いて働けんくなっても生活は保障すると辺境伯が契約してくれるそうだ。今も前金で金貨30枚を貰って移動に金がかからないだろう。」

と答えると

「それが本当なら夢のような話だが・・・嫁でも探すか。」

と呟くと他の仲間が

「お前が嫁、初めて聞いたぜ」

と笑い出した。

5人を乗せた馬車は音もなく進む。


ーー ある孤児らを連れたシスター


「シスター、本当に僕らの家があるの?沢山食べられるの?いじめられないの?」

1人の男の子がシスターに尋ねる

「はい大丈夫ですよ、シスターセレナが保証してくれました、他にもたくさんの子供たちが生活しながら勉強や将来のための仕事の訓練をしているそうです。貴方も騎士になりたいのでしょう?あそこなら慣れる可能性はあると聞きました他のみんなも頑張りましょうね。」

と声をかけながらおやつにと貰った焼き菓子を皆で食べ始めた、

「美味しいね、お姉ちゃん」

幼い女の子が姉に言う

「そうねこんなおかしはじめてね、しかもこの馬車お貴族様が乗るような馬車でお姫様になった気がするわ。」

と少し興奮して言う女子にシスターが

「これも神からの贈り物なのだそうなので後でしっかりお祈りしましょうね。」

と話をしていた。


ーー 街に着いた人々は


始まりの街や第二の街に着いた人々は、先ず住宅の中に置かれた魔道具の使い方を習い自分がしたい仕事や得意なことをギルドに申請して次の街に向かう準備をするそれまでは衣食住は全てシルバー辺境伯が提供し、生活の心配がなくなった人々は希望を持ちながら次の街に行ける。


最終的に住む街や勤める仕事が決まった人々は安全で豊かな生活に驚きつつも新しい生活に慣れると新しい家庭を築いたり子供を産んだりしながらこの世界の住人になりきるのだった。


ーー グリーンアースの街


亜空間の街の人の流れに伴いグリーンアースの街もさらに活気付いていた。強固で高い壁は魔物はもとより兵隊の侵攻も盗賊の攻撃にもびくともしない。安全を約束されたような街、しかもその中で栽培される食糧は充分な量があり餓えることもない。

 しかも学校なる勉強を教えてくれる施設や怪我や病を治してくれる施設もあり、格安でその恩恵が受けられるとあってますます人口が増えつつあった。この事実に面白くない思いをする貴族や王国があることは仕方がない。


今日も大勢のスパイや工作員が街に入ろうとし又は街中でテロ行為をしようと企んでいる。巡回中の辺境伯の兵士が目を光らせているがそれ以上に街の人間が目を光らせていた。彼らは自分達が受ける恩恵は辺境伯がもたらしていることをよく知っているため、それを壊そうとする相手は全て敵だと考えていたので不審者はすぐに通報されていた。


キグナス王国内で富の一点集中が続く中、自分の統治を棚に上げシルバー辺境伯をよく思わないグループが暗殺ギルドに暗殺を依頼した。

世界を股にかける暗殺組織で「狙われたら生き延びることはできない」と言われるグループだ。

その話を耳にした国王は一言貴族らに言った、

「シルバー辺境伯に暗殺者を向けた貴族がいるとの情報を得た。これについて王国は感知しないそのため反撃にあった場合も同じである。そのような貴族として存在を疑われる行為をした貴族については取り潰す準備があることは言っておこう。」

と言い切ると宰相に準備をさせ始めた。



ーー 内戦と戦争の始まり


何故人は平和を共有しようとしないのか。

この世界ばかりではなく前世の地球でも同じ疑問が多くあった、この神が身近な世界でさえ争いが絶えない、魔物という外部の脅威がるのに何故人同士で争わなければならないのか。


暗殺組織を雇った貴族らは王の言葉を受け戦争の準備を始めた、上は侯爵家からなる10ほどの貴族の派閥である。

その戦力は合わせて4万、なかなかの兵力であるがこれはグリーンアースの街が難攻不落な砦のような街であることと取り囲み流通をストップさせればグリーンアースの街も交易が出来ず疲弊するであろうと考えたからだ。

俺は事前に隣接するローカル辺境伯に手出し無用の連絡を入れた、手助けの姿勢を見せればローカル辺境伯領にも兵士が流れ込むことが予想されたからだ。


待ち受けるシルバー辺境伯の兵力は5000人、4万対5000では勝負にならないはずだが彼らには俺が開発した武器や装備がある。

城壁の外で待ち受ける5000の兵士が4万の敵兵を迎え撃つ準備を整える、この世界では見かけぬ金属の筒を持つ兵器が大小数百見ることができる。当然銃や砲である。

ただその弾は魔法で作った弾で着弾時に爆発はもとより燃え上がり凍りつく魔法が発動する。

1発で数十人から100人が倒される攻撃力を持つその射程も数キロにおよび見えるかどうかの距離から攻撃するため相手は守る暇がない。


この戦争は戦争というには一方的すぎた。3日もせずに4万の兵は全滅しわずかな数の負傷兵が逃げ帰ったがその途中でも魔物や獣に襲われ地獄のような有様だった。兵を出した貴族らはその後の反撃を恐れ他国に亡命する者や自領に逃げ込む者がいたが10日もせずに首謀者らは連絡を絶った永遠に。


断絶した帰属量を統合分割して王国はそれを直轄領とし統治をする将来性のある若い貴族にシルバー辺境伯の眼をつけた。

キチンと統治すれば問題ない領地であり合理的で無駄のないシルバー辺境伯の統治を参考に国力の富国をめざしたのだ。


するとキグナス王国が他国に侵攻するのではないかと疑心暗鬼になった周辺国のうちガルガット王国が戦の準備を始めた。



ガルガット王国は近年飢饉のため国力が落ちさらに継承問題で国内が荒れている状態だった。そんな時に隣の国では食料の生産が向上し国力が向上しかも魔の森を平定できるほどのシルバーなる貴族がいる。

このままではガルガット王国にも侵攻するのは目に見えていると第二王子を率いる派閥が声を上げたのだ、それに対して第一王子派も賛同し相手より先に準備し攻め込むべきと強硬派の意見が通ったのだ。


国の命運を賭け20万の大軍を派兵したガルガット王国、国境で見たのは長大な塀と所々に立つ塔であった、

「いつの間にこんな場所に長大な塀を造ったのか」

先鋒の大将が驚き総大将に向け伝令を送る。

伝令を受けた総大将が国境に着くと

「確かに先が見えぬほどの長大な塀だ、あの塔はなんじゃ?」

と呟く、他の隊長格が

「如何しましょう?」

とこれからの作戦を尋ねると

「決まっておろう、ガルガット王国の強兵を見せつけるためにも力押しじゃ」

攻城兵器を持って来させ塀を打ち壊す準備を行い出したすると

「我がキグナス王国のシルバー辺境伯なる、ガルガット王国兵に次ぐ直ちに国内に引き返せ、さもなくば殲滅する」

と風の魔法を使い声を飛ばしてきた、これを聞いて怒ったのが総大将

「あの生意気な小僧をわしに目の前に突き出せ。」

と檄を飛ばすと戦火がきっておとされたがまたしても一方的な殲滅であった。


塀を壊すための攻城兵器もその塀にたどり着けないのだ、あまりにも長大すぎる塀はその規模を見誤るほどだった、高さ100m長さはあまりの長さに判断つかず外堀が深さ10〜20mほどの堀が何十にも巡らされ大型の兵器を持ち込むことはほぼ不可能、馬車や馬すら通る事ができない、そこに遥か高みから謎の魔法銃が火を吹き一方的にガルガット王国軍を叩き始めたのだ。

しかしシルバーも忙しかった、このタイミングで他の神所謂邪神の先兵が亜空間に攻め込んできたのだ。


「我は邪神様の先兵なる魔人5人部隊だ。」

突然亜空間の空に5人の魔人と名乗る男らが現れた、亜空間はシルバーが創造管理していることからその出現はすぐに感知することになった、魔人らが空から街を襲おうと身構えた所で5人とも身動きが取れなくなった。

「どうしたことだ!魔法攻撃か」

リーダー格の魔人が他の魔人を見ながら叫び、気配を探すすると突然真後ろの空間に何者かが現れた気配がした。

「お前がこれをしているのか」

魔人が身動きできない状態で虚勢を張りながら言うのを聞き流してシルバーは

「戻るなら命は取らぬが戻らぬと言うのならここで死ね」

と言う言葉に5人が固まるしかし

「我らは邪神様の先兵なるそのような威には屈せぬ。」

と言い切った所で5人とも消滅した。

シルバーは

「どうしたものか、世界がつながるとイシルダーを攻める邪神に攻め込まれるか」

と神と邪神の問題が自分にも直接関わり出した事がわずわらしかった。


「次もこの程度の侵略者なら良いがそれ以上のものが来れば被害は免れんだろうな。」

湯鬱になる気持ちを引き締めてガルガット王国との戦いに戻っていった。



総大将なる第二王子の懐刀のガルガット王国軍師団を纏めるゲーリック大将は苦悶の中で解決案を探していた

「あの壁は壊すどころか近づくために数ヶ月を要するだろう、その長期戦を敢行する力は今の王国にはない。」

1人呟きながら腹心の隊長に顔を向けると

「停戦をする名目で塀の中に入りシルバーなる者を暗殺すればかなり変わるのでないでしょうか?」

と代案を提示した、それを聞いて

「それしかないか、人員を集めて使者を出せ。」

と言いつけた。



戦闘が始まり5日目、ガルガット王国軍から使者が訪れた、白旗を持ち塀の下に来たのだ

「我はガルガット王国軍第一師団のカリン少佐である、停戦の和議を申し込みに来た和議の日程と条件を話したい」

と名乗り上げた、そのためキルギス王国軍もその使者を蔑ろにすることもできず、縄梯子を投げて下ろした。


ガルガット王国軍の使者は3名、しかし3名とも長い縄梯子を上り上がっったって先を見て肝を冷やした。

ガルガット王国からこの壁はただ長いものにしか見えなかったがキルギス王国側は山が連なっていたのだ、標高2〜300mの山が連なり壁となりガルガットがわに絶壁を作り壁となっていたのだそのためこれを壊すことはほぼ不可能と思われた、しかもキルギス側は山の中にトンネルが掘られどのくらいの兵士が入りかもわからない状態火責めすら効果がないことは明白だった。

「我々は総大将が出席するそちらもシルバーと言われる方とそれに次ぐ高位のものをお願いする数は10名程度で」

と申し込んできた

「分かりました日時は明日正午で良いですか」

と聞き返すと「それで」と頷いて戻っていった。


「どう対処いたしましょうかシルバー辺境伯様」

軍の責任者がシルバーに判断を伺う

「どうせこの城壁を通過できないもんだから奇襲を考えたのだろうが無駄だとダメ押しをしようか」

と言うと会談の場所をここで1番高い塔の上にセットした。



ゲーリック総大将は暗部5人に騎士の中でも腕の立つ4人を引き連れて会談に臨むことにしたすると巨大な塀の下に着くと何処からか若い男が現れ

「私が案内します」

と言うと10人を瞬く間に転移させ会談用に準備された会議室に運んだ。

「ここはどこだ」

と慌てるガルガット軍に対しその若者は

「その窓から見て貰えば分かります城壁に設置された塔の上ですよ」

と答えた、窓から下を覗くと遥か下にガルガット軍が見える

「ここには出口がない!」

1人の兵士が言う

「はいそうです、移転でしか出入りできません」

澄まして応える若者がテーブルを指差し

「どうぞお座りください、話し合いに来られたのでしょう」

というと仕方なく席に着くガルガット軍、するとその若い男も反対側に座り

「さあ私がシルバー辺境伯です。ここの責任者ですどんな話をされるのか伺いましょうか。」

と言い始めたこれに驚くゲーリック総大将、

「貴様が責任者だと、それに嘘偽りはないのか」

と問い詰めるのに

「ええそうです、全権は私にあります。それと勘違いしているといけないので言っときますが。」

と言い出しいつのまにか並べられたお茶を啜り

「和議の話と言われていますようですがこちらは和議の必要はありませんよ。必要なら今からでも王都に移転で1万人ほど兵士を送り占領しても良いぐらいです。」

と言い切った、

「馬鹿なそんなハッタリ誰が信じるか」

と反論するゲーリックに

「あなたの国にこの長大な塀を1日で作る事が可能ですか?それとも何日で出来ますか?」

と問いかけたそれには流石に答えられないゲーリック


「本当に万単位の兵士を移転できると言うのか?」

の問いに

「今からでも見せて良いですがその時は国はなくなると思ってください」

と自信満々に答える男にゲーリックが合図を出す、しかし誰も身動きしない

「おい何をしている、この男始末せんか」

の怒号にも誰も反応しない慌てて周りを見ると目を開けたまま身動きひとつ返事すらしない仲間の姿

「ああ言い忘れていました、俺を暗殺するなど夢ののような話ですよ敵意を向けた以上相応の覚悟はありますよね」

と言いながら1人ずつ見えない何かで首を落とし始めた。

八人ほど首を落とした所で

「全て落として良いですかそれともあなたの国の王や王子らの首をここに持ってきましょうか?特に最初に声を上げた第二王子など良いですね。」

と言って姿を消す男、

「まさか」

ゲーリックは嫌な予感がした、すると男が手に何かを提げて現れた

「これが私の返事です」

と投げてきたそれを受け取ると紛れもなき第二王子の首であったまだ暖かい。

「貴様!王子を・・・」

と言いかけて押し黙ったどうすることもできないことは明白こうやって王族や高位の貴族たちを殺されれば、・・いや数万の敵兵を至る所に移転されたらもうガルガット王国に抵抗する力はない。

「降伏する」

やっとそう言った。


ゲーリック総大将は気づくと自軍のすぐ前に立っていた、

「ん?ここはそうか転移させられたのか」

手に抱く第二王子の首を抱えて側には殺されなかった兵士を1名と首のない兵士8名が転がっていた。


「全軍撤退だ!早く戻らなければ王国は消えてしまう。」

そう考えた、多分あの男は国王に直接会いに行くはずだそう確信できるものがあった。


確かにシルバーはガルガット王国の王城に来ていた。第二王子が殺され騒がしい王城を我が物顔で歩きながら王の居る執務室に向かう。

シルバーに気付き止めようとする近衛兵たちが何人立ちはだかろうが、眠るように倒れていく兵士ら。そして王の執務室の扉を開けるとそこには王都に第一王子が兵士10人ほどに護られていた。

「なに奴」

王が誰何する

「戦争相手の大将だよ、シルバーというガルガット王国軍は先程全面降伏したこの始末どうするか聞きたくてな」

という男の言葉が信じられぬ国王は

「何を世迷言を此奴を捕まえよ」

兵士に命じるがその途端兵士らが王と王子を残し倒れる。息をしていないのは明らか、その恐ろしき魔法に青ざめる王。王子が気を奮い立て歯向かおうと剣に手をかけた所で剣を持った腕が落ちた。血と悲鳴を撒き散らしながら王子が転げ回る

「わしおも殺すつもりか」

王が問う

「あんたの命など軽すぎるだろう、1時間後にこの城を更地に変える生き残りたくば逃げるのだな」

と言うと男は姿を消した。

すると周りの喧騒が聞こえ始めドアを破って兵士が入ってきた。


ガルガット王はどうすべきか悩んでいた。

「あの男が言うように20万の大軍が全面降伏するような力を持っていたならこの城を消し飛ばすことなど簡単であろう。しかしそんな事が可能なのか神でもない人の力で」

そう考えが嘘という方に傾きかけた時に戦場からの伝令が来た

「申し上げます、キグナスと我がガルガット王国の境に長大な塀が存在しており全く進行する事ができません。」

という話であった、そんな話は聞いたこともなかったしかしそれが本当であれば

「すぐにこの城から退去しろ」

王はそういうと我先に色の外に駆け出したちょうどその頃から見計らったように城の上部から崩壊が始まった。

わしは誰に戦争を吹きかけたのか。

10分ほどの後城が有った場所にあるのは瓦礫の山だった。逃げ遅れたもの多数第一王子も治療中であったため瓦礫の下に。

「わしは誰に戦争を仕掛けたのだろうか。」

と呟くとすぐ後ろから声が聞こえた

「俺にだろう、このまま国ごと消しても良いけど民に恨みはないからなよく考えてやり直せよ」

というと掻き消えた。


ガルガット国王は1人となった。そして3日後前線から夜を徹して戻ってきたゲーリック

総大将は瓦礫の山の前にて天幕を貼りしょぼくれていた国王を見つけ

「ゲーリックただいま帰還いたしました、相手は神の如き魔法を使う男で手も足も出ませぬ、ここに第二王子の首を持ち帰りました。」

と王に王子の首を差し出した、王は力無く頷くと

「ここにも来たわ、城を一瞬で瓦礫に変えて王族はわし1人のみじゃ・・・彼奴は神か魔王か?」

の問いにゲーリックは

「それは見る側の立場かと」

と答えるに止まった。


ガルガット王国の王家はその後大きく力を失い公爵の王弟が王位に就くと内政に腐心した。

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