第12話 魔王との会合
ーー 魔王デルデニアとの会合2
男が目の前のテーブルの向こう側に座っている、不自然な姿だ牡羊のような姿の獣人だが違和感がある、この前森であった時もそお思ったが・・・魔族ならそのままの姿では目立つのだろうと思いなおしシルバーは
「半月ぶりぐらいあ、どうだこの街は?」
と声をかけるとエールを飲み干しながら男は
「良い街だ、俺の故郷もこのような平和で豊かになれるだろうか?」
とシルバーの目を見ながら呟いたその声を耳にしたシルバーは
「当然できるだろうお前がそのつもりでやれば、ただ1人では無理だろう、お前を手助けしてくくれる外部の力を持つものの協力が必要だ」
と答えると
「交易や人流か?」
と探るように口にする男
「そうだお前の故郷がどれほどの食糧や物品を必要としているのかそれとそれを贖う商品や金または資源があるのかが大切だろうな」
シルバーがそう答えると男は
「ここは俺の故郷とかなり離れているが交易は可能か?」
と言う男に
「結果から言えば可能だ多分他のどの国よりやすくで交易ができるだろう、で何がある」
と交易の対象を聞くシルバーに男は
「魔石と魔鉱石が豊富にある、ないのは食料特に野菜や穀物類と薬だ」
と答えるとシルバーは
「どれもここに溢れるほどあるだろう」
と言いながら
「お前にその気があるなら・・・よろしく」
右手を差し出し男と硬い握手を交わした。
「話は決まった、あとはお前の覚悟次第のところがある。邪神の駒から抜け出るかだ」
とシルバーは言いながら話を続けた
「邪神と神は昔から勇者や魔王とその配下などを使い代理戦争を行っていた可能性がある。これらはこの世界に住む者にとって必要な戦争ではなく邪神と神の間にある何かが原因のようだと俺は考えている。」
「・・・・」
黙ったまま話を聞く男
「今回勇者が死んだ。そしてその代わりの勇者が選定されない。バグ・・システムエラーが発生しそれを今直すことができない状態だと思う。そうすると今回は今までの関係を変えるチャンスがあると思わんか?」
「・・・」
シルバーは続ける
「魔族領は海の中の島だ、交易さえ安全で潤沢に行うことが出来れば争う必要はない、違うか?」
と言うと男は思い口を開き
「お前のゆう通りだろう、俺も今回邪神の指示に疑問を感じていた。お前の街と俺の国が交易することが可能なら俺が生きている間は約束を守ろう。」
と答えた、魔族と人族の和解がなった瞬間だった。
ーー 魔族領への旅と 移転門の設置 ーー
1週間の準備の後シルバーはデルデニアと魔族領に向かい旅を始めた。
旅と言っても空を飛ぶことが可能で見える範囲又は決めた場所に転移できるシルバーにとって通常の数十分の1の時間で移動することができるのでデルデニアが3月以上かかった移動もわずか5日で魔族領が見える海岸に達していた海岸沿いの街に宿をとった2人は今後について話し合った。
「まず俺が先に戻って今後の方針を部下に伝える、それと当然反対するものが出るだろうからそれに対してどうするか話し合う必要があるだろうな・・・5日ほどくれ。」
とデルデニアが言うと
「俺はいいぜ転移で来ることが可能だからな。それと魔族領まで送ってやろう、幸い目にすることができるから大丈夫だ。そうすりゃ5日後にそこで会えば簡単だろ」
と言いながら次の日の朝魔族涼の日田の肺がんに転移した「ここでいいか」と言いつつシルバーはマーキングをする。
「それでは5日後の夕刻にここで」
と言いつつデルデニアは姿を元の魔族に戻し手を差し伸べた
「予想より小さいなその姿も悪くないか」
と言いながらシルバーは握手をし別れた。
ーー 魔王デルデニア side
不思議な男だった。シルバーという男は初めて会ったのは魔の森と呼ばれる森のほぼ中央、そこで古竜を倒していたそれも無傷で。
見た姿はひ弱な人族の若者だがよく見れば内包する魔力は、測ることすらできないほどの者で強者というより邪神などと同じ絶対者の雰囲気があった。
人の街や暮らしを目にし同じように暮らしてみると魔族となんら変わることなく何故争いをしているのか疑問しか浮かばなかった。そしてあの男の街では俺の街もあのような平和で豊かな街にしたいと切実に思った。
あの男に相談したのは当然のことだったのかもしれない、普通なら殺し合う間柄の者が酒を酌み交わし腹の中を曝け出して語り合った。
今俺の足は故郷を踏みしめている、
「さあ行こう!明るい明日にために」
と自分を鼓舞しながらデルデニアは魔王城を目指し歩いた。
「魔王様のご帰還だ。」「幹部を集めよ」「四天王はどこだ」
などと慌ただしくなる魔王城内、デルデニアは側近にシルバーから貰い受けた治療用ポーション1000本を手渡しながら「重傷者から順次服用させよ。」と言いながら指示を出した。
魔族領は海上に浮かぶ島国で人口は約1万人、寿命が長いのと出生率が低いのため大きく数が変わることは少ない、魔素が濃ゆい場所で穀物や野菜は育たないため肉と魚のみで生活していたが病気などに罹るとなかなか治療が難しい状況がある。
今回の治療用ポーションはシルバーが作ったランク8のポーションでほぼ全ての病気や怪我が治るものだった。
病人や怪我人の中には前回の人族との戦いで傷ついた者もいたがこれで完治してくれるだろう、デルデニアは3日後に四天王をはじめとする幹部を集め魔族の今後について話し合うことを言いつけていた。
ーー 四天王 ドーン、グリーン side
昨日魔王様が帰還された、単身で人族の街を経由して「神の使徒」と思われる人族に会いに行かれたのだ。
南大森林で見かけたあの男が神の使徒に間違いないと考えている2人は周辺の人族の町や村を襲い先代の四天王の生き残りのための薬を探していた、今の自分達の力ではとてもあの男には敵わないそれならより強い魔族と共に戦えば勝てるのではと考えたが人族の世界でもそこまで強力な効果のある薬はほぼないことがわかった。
ーー 四天王 メリクリーン side
メリクリーンは恐れていた、あの男は敵対すべきではないなんとか戦わない方法はないのかそればかりを考えていた、そこに魔王様の帰還。
魔王様はあの男に会ったのかそしてその力を確認できたのかその事実だけで今後の魔族のあり方がわかると思った。
ーー 四天王 ジーン side
魔王城にて魔王様に代わり仕事をしていたジーンは帰還した魔王様を見て首を傾げていた。
『魔王様は何か変わられた』そう思えるような変化だった。
「ジーンよおも会えには先に話を通しておこう」
そう言いながら魔王様は今までの出来事から今回の話し合いについて語ってくれた、
「あの男はそこまで強いのですか?」
「もうあきららめていた先代四天王をはじめとする魔族の有力者の怪我や病を治すポーションですか」
「交易による魔族領の繁栄」
「これらは本当に実現可能でその男は信に値する男ですか?」
と話を聞き終わったジーンが質問する、
「強さで言えば邪神クラスこの世界では敵うものはいまい」
「ポーションの効果はもうすぐ報告がるだろう、そのポーションを作ったのもあの男だがな」
「移転用のゲートをこことあの男の街に設置しものの輸送を可能にするそうだ」
「あの男が嘘を言ったことは今まで一度もない、いずれも簡単な話じゃないかと言われたよ、魔族の悲願をなんでもないように語る男に自分の無力さを呪ったことが何度あったことか」
そう言うと魔王様は口を閉じた。
ーー 御前会議の始まり 魔族 side
大きな会議室に各種族の長と新四天王4人に先代四天王の生き残り2名が加わりおよそ30人ほどの魔族が魔王の到着を待っている。
真っ黒く聳え立つような大男のミノタウルスにグリーンが話しかける
「先代様、お怪我快癒のことお喜び申します、これで神の使徒を倒す算段ができました」
と喜びを表すグリーンにその黒いミノタウルスは
「早計である、魔王様の話が終わってからだ」
と話を終わらせた。
首を傾げるグリーンはその言葉の意味がわからなかった。
ドーンが自分より大きなオーガの男に声をかける
「新参者のドーンと言います、あなたの代わりに今代の四天王になりました、前代の四天王としてご指導よろしくお願いします」
と頭を下げるとオーガは
「今代の勇者は死んだと聞いたが新たな勇者はどこにいるのか?」
と勇者の所在を聞いてきたドーンは
「邪神様の話では今代の勇者はもう選定されないそうです、その代わりが神の使徒のようです」
と答えると
「それなら話は簡単か、お前もデルデニア様の家臣として助力を惜しむなよ」
と言いながら他のもののところに歩き出した。
ドーンはその言葉に神の使徒を倒すために努力せよと言われたと勘違いしていた。
暫くすると魔王デルデニアが入室し会議が始まった、
「皆集まってくれたことに感謝するそして、この魔王を復活させた今は亡き2人にも礼を言おう。」
と言う魔王の言葉から会議ははじまった、しかしその内容は予想外の話だった
「今から俺のお話を聞いて判断してほしい
・勇者のいない今、魔王は人族と争わない
・魔族の暮らしを平和で豊かな者にするために魔王は努力するその手助けをしてほしい
・2日後魔王は神の使徒と会合し友誼を結ぶ予定だ
・ほとんどの怪我人病人を癒したポーションは使徒に貰ったのもだ
・魔族領と使徒の治める街で交易を行う
・邪神の神託は無視する
これらが俺が今考えている魔族の将来像だ」
と言いつつ集まった皆を見ると半分のものが「ホット」したような顔もう半分が納得がいかないか混乱している顔だった。
魔王はさらに言う
「先にも言ったが2日後に神の使徒がこの魔族領にやって来る。争いを望むものは相手にあってから考えても良い。ただし敵対すれば消えることは覚悟するように流石の俺も庇うことはできんからな。」
と言いながら質問はないかと促した
「はい魔王様、メリクリーンが質問します」
と四天王の吸血鬼メリクリーンが手を上げた、それを見て魔王は質問を促す
「私は一度その使徒と思われる男に会いましたが、その魔力量といい魔法力といい神かと思えるほどの男でしたが。何故か侵略しないのなら殺さないと言われ解放されました、あの男はどのような男なのですか?」
と聞いてきた。
「そうだな・・・難しい話だがあの男は神の使徒というが全く神の言うことを聞くつもりはないようだただ自分の世界を壊す者には容赦しないと言う考えの上で行動しているようだ。だから魔族が敵対しないならその他大勢の人種の一つと考えているようだ。」
と答えると別のものが手を挙げた
「先に配られたポーションで約1000人の魔族が1000に復帰しました、戦力とすれば勇者亡き今魔族の方が有利ではないのですか?」
とジーンが交戦派を代表するように質問すると何人かの魔族が頷く
「皆は知らないと思うが
・魔王は勇者がいなければ十全の力が振るえない
・神の使徒は亜神級の強さを持ち多分この島ごと消滅することも容易いだろう
この二つを頭に入れて考えてほしい、魔族の将来を」
と答えるとその場が静まり返った。
ここで魔王は休憩を入れた。
「それでは今の段階で決を取る最終的な判断は2日後に行うが今皆の意見が知りたい」
集まった魔族を見ながら魔王は言うとジーンに合図をした
「神の使徒の治める街との交易に賛成の者挙手を。」
と声をかけると約半分が手を上げた
「反対のもの挙手を」
と言う残りのさらに半分の者が手をあげた
「次に人族との争いを止めることについて賛成のも挙手を」
の声には戸惑いながら7割ほどの者が手をあげた
「反対のものは」
の声に1割ほどのものが手を上げた
さらにジーンは
「邪神と訣別し魔族の考えで生きることに賛成のも者は手を上げよ」
と言うと8割ほどのものが手を上げ
「反対者は」
といえば1割の者が手を上げた、それらを聞いた魔王は
「2日後に使徒と会う反対者は俺と共に来るが良い、ただ命をかけるつもりがなければ来る必要はない、あの者は攻撃するものを許さぬところがある反対する者は相手を殺す準備をしてくるように」
と言い残し部屋を後にした。
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