第11話 魔王復活

ーー 魔族サナトリアの暗躍と魔王の復活



サナトリアは魔王復活を最低限の目標にして活動することにした、現在手にした魂は3万ほどあと残り7万を自分一人で稼がなければならないそこで彼は魔の森に向かいキメラの素材となる魔物を大量に得ることにした。


 魔の森の魔物は中心部に行くほど強く流石の魔族でも単独では難しいがサナトリアはキメラを作りながらそれを従えて強力な魔物を捕まえては素材としていた、魔物の頂点に竜種が存在するが四属性竜といえども若い個体なら狩る事ができたためソレイユ王国、ガルガット王国、セラーヌ王国とゴールデン王国に属性竜をはじめとするキメラを向かわせた。


毒を受け国内が疲弊していた3カ国と勇者が町ごと死んだゴールデン王国はこの事態に対応が遅れることになった。

 各国で災害級の猛威を振るう魔物たちに遅きに失した対策は被害を増加させるだけに終わったそしてサナトリアはキグナス王国に向かい魔王の復活の儀を敢行しようとしていた。


キグナス王国の王都からそれほど離れていない小高い丘に魔王復活の儀式準備をし始めたサナトリアは儀式の成功に確信していた

「魔王様が復活なされる」

と喜びの言葉が漏れるその時危険察知のスキルが警告を発した!

逡巡することなくその場から飛び退くサナトリアの下に雷撃が飛来する、並の雷撃ならその身体能力で耐える事が可能だが今襲いかかった雷撃は雷竜並みの破壊力を持っていた。


気配を消し周りに索敵を実施するサナトリア、雷撃のため舞い上がった砂埃が収まるとそこに1人の男が立っていた。

「お前は・・・お前が敵神の使徒か!」

サナトリアはその男が邪神の悲願を妨害する使徒だと確信した、男は20歳ほどの若者で見た目は弱い人間に見えたがその中身は魔王に匹敵っする魔力を内包している事が分かったここでサナトリア取る手段は2つ、

 ・逃げに徹して別の場所で魔王復活を行う

 ・自らの魂を贄にして魔王復活をここで行う

である、この男から逃げることはほぼ不可能それなら道は一つのみ意を結したサナトリアは祭壇の中心に立つと男を睨みつけた。


男がノンビリと歩きながら近づいてくる、そしてあと一歩という距離で2人の姿がぶれた。

男は何もなかったように祭壇から距離を取る、するとサナトリアの身体が灰が風に吹かれるように消えるようになくなると共にその中から魂が抜け出し祭壇に吸い込まれる、光り輝く祭壇!

魔王復活である。


「しまった!」

そこで初めて男が言葉を口にした、魔王がその場で復活すると思い込んでいた男は魔王復活の地がここで無いことに焦りを感じていた。


キグナス王国から遠く離れたオスマル島ここは魔族の領土である、神々のルールで魔王は誕生はオスマル島復活はキグナス王国、勇者は誕生はキグナス王国復活は無しと言うのが決まりだったが今回そのルールが少しばかり破られた、復活した魔王は既に強力な力を持っており数多くの魔族を従えて人族に侵攻すればその被害は甚大であることは赤子でもわかる理屈しかも勇者が倒されているこの状況では人族の生存は非常に低いと言えた。


 オスマル島で復活した魔王は混乱していた、最低限の条件で復活したは良いが何故か力が発現できないのだこの理由は勇者死亡にある、勇者と魔王は対の立ち場にあり片方がいなければその力は従前には発現しないのだ。

 これは神と邪神も気づかなかった魔族は魔王復活で大いに盛り上がっていたが魔王は危うさを感じていたのだ、

「勇者亡きこの世界に我の敵がいるのか?・・・いる勇者以上の存在が・・・サナトリアが命をかけて復活してくれたがあの男は神に届くような力の男このまま攻め込めば魔族は殲滅される恐れがある。」

魔王は今後のことについて新たな四天王を決め戦略を練ることにした。



ーー 魔王 デルデニア と魔族四天王


魔王城の一室、魔王デルデニアと四人の配下がテーブルに着いていた。

 ・山羊の角を持つジーン

 ・吸血鬼始祖のメリクリーン

 ・オークのドーン

 ・ミノタウロスのグリーン

が今回選出された四天王である、魔王は四天王に対し

「今回の我の復活は不完全なもの、的には勇者以上の強敵が存在する、そこでその方らに相談だが・・・・。」

密室での会議は深夜まで続いた。


新四天王のジーンは邪神の神敵である使徒を確認することを任務として言い渡された、魔王によるとキグナス王国内にいる模様でサナトリアの最後の情報では「20歳くらいの一見弱そうな人族の男」と言う話である。


新四天王メリクリーンは闇魔法が得意な魔族で眷属を増やしながら情報収集に長けている。


残りの新四天王ドーンとグリーンは脳筋な魔族で魔王復活に興奮し今身の飛び出しそうなのを魔王が抑えている状態にある。


魔王デルデニアは今回の邪神と神の争いについて思うところがあった、

「何故我ら魔族は人族と争わなければならないのか?」

と言う疑問である、前回勇者に討伐された魔王にとって人族は殲滅対象であった、魔王自身が勇者に倒され数100年後復活すれば魔族はオスマル島において存在している、魔王が勇者に倒されると争いがその時点で終了するのである。

納得が行かないしかも今回は勇者が既に死んでいる、どこで終了となるかさえ不明なのだ何故魔族は争うわなければならないのか初めてその疑問に囚われた魔王は神と邪神の争いとは何かと考え出したのだ。



ーー 神界にて 邪神と神の独り言


「どうも今回は例年通りとは行かないようだ、普通なら勇者が死ねばその代わりとなる勇者が選定され魔王と争うのに今回勇者の再選定は行われないそのため魔王が本業の力を出せない状態になって復活している、神のヤローは何か企んでいるのか」

邪神は今回のゲームを楽しめない状況に不満を漏らしていた。


「こうゆうパターンも良いかもね、毎回魔王と勇者が代表で争うのも飽きてきたし、でも彼ちょっとばかり強すぎるのよねただ積極的に魔族を打ち倒しに行かないところが良いわね」

神はこの展開を面白いと笑った。


ーー 神の使徒の報告  ジーン side


 私は魔族四天王のジーン、今回魔王の命により神の使徒を探しその報告を目的として現在人族に化てキグナス王国に潜入している、特に東部大森林に接するローカル辺境伯の辺りが怪しいと聞いてシンカーの街に来ている。

 このシンカーの街が魔族の街と大きく違うのは豊かさだろう、魔族領は島国で他国との国交がない為必要なものを自分たちで賄わなければならない、そのため貧しい生活を余儀なくされそのために人族の領土に侵攻していると言ってもおかしくない。


 今回人族の街に来てその豊かさと平和さに幾分白けた思いをしている自分がいた、魔族はその存続をかけ人族と争っていたのではないか?

しかしここでは魔族の話は聞かない、魔族に対するけん悪寒すら感じられない本当に魔族はこの人族と争いをしているのか?


 話を聞いて回っていたところここから更に魔の森と呼ばれる大森林川に街があるそうでそこを治めている伯爵が英雄譚のある歳若の領主という名はシルバー=グリーンアース。

今から移動して確かめようと思う、その旨メッセージを魔法で魔族寮の魔王様に送る。


グリーンアースと言う街に来た辺境と思っていた私はその規模と豊かさに言葉を失った、シンカーの街も豊かで平和だったがここは魔の森と呼ばれる東部大森林の外周に当たる場所それなのに魔物の恐怖もなく穏やかな生活をしている人族を見ていると魔族も豊かで平和な生活が可能ではないかと思わず思ってしまうのはいけない事であろうか?

 統治者であるシルバー伯爵は20歳ほどの若者で冒険者から成り上がった英雄譚の人だそうだ、その見た目はどこでもいそうな若い人族の男なのにいざ戦いとなると属性竜種と言わず瞬殺すると噂にある、噂半分としてもかなりの武力を持つと思われる。


先ほど食事のためにとある食堂に訪れた際隣に座った若い男が突然話かけてきた

「わざわざこんな遠くまで来たのは俺を見に来たのかえ、王様に伝えな、そこから出なければ何もしない出てくれば叩くよと」

と言うと若者は席を立って姿を消したがその際店のものが「領主様」と言っていたのであれが私が探していたシルバー伯爵と言う人物だったようだ。

 ただ私はその後しばらく席を立つ事ができなかった、それはあの若者の存在に体が本能が命の危険を覚悟したからだと思う、今の魔族であの若者に勝てるものはいないだろう多分今の魔王様でも・・・私はすぐに魔族領に引き上げることにした。



ーー メリクリーン side


私はバンパイア族の王メリクリーンである、長い間勇者により封印をされていたが魔王様が復活された時に解放されたのだ、私を封印することのできる勇者はこの世にいない、私は無敵となったのだ。

 そう思いながら人族の国に夜な夜な眷属を増やしながら侵攻していたインダス王国、ズール王国そしてセラーヌ王国に至りキグナス王国を望む山脈に辿り着いた時その男が現れた。

「これ以上はダメだ、進むならこの世から消滅する気できなさい」と言いながら私を結界で囲んだ、私は勇者なき今私をどうにかできる者はいないと考えていたそしてその結界を壊そうと触れた途端私の手は消滅した、そう消滅したのだ再生すらしない状況でこのままこの結界に囚われればそう長い時間かからず私は消えてしまうそう自覚したところで結界が消えた。

「分かっただろ、このまま眷属を連れて帰ってくれれば何もしないがこの辺りまで来ると言うのなら覚悟しなよ」

とその男は言うと姿を消したそこには恐怖で震える自分しか存在していなかった、そう連れてきた眷属百人が消失していたのだ。


「恐ろしい勇者でさえ私を封印するにとどまったと言うのにあの男は私をこの世から完全に消し去る事ができる」

私は逃げ帰るように魔族領に帰還した。



ーー 魔族ドーン、グリーン side


俺はオークのドーン、そして今ミノタウルスのグリーンと共に南部大森林と呼ばれる森に来ている、ここで武者修行をしようと思ったのだ。

 中央に行けば行くほど強く大きな魔物に出会す、交互に戦いながら自分の実力を確かめる、今地竜2体と交戦中。

 まだ若い属性竜は魔族の戦闘部族であれば1対1でも戦える、満足しながら2人でさらなる奥に向かうとものすごい圧力と音が2人の魔族を打ち据えた、自分達が攻撃されたわけではないそれは古竜と人との戦いの余波だった。

 古竜といえば魔王様を除けば相手さえならない強者それが2体火竜と地竜が1人の人間相手に必死で抵抗しているのだ、戦っているのではなく抵抗しているのだ全く格が違う。


その戦いともいえない狩りは10分ほどで終わった、どんな攻撃をしても全く傷つかない人の男とその手が掠れでもすれば大きく傷つき疲弊する古竜たちだった、一方的な戦いはすぐに静寂に包まれその亡骸は収納魔法で人が持ち去った、ドーンとグリーンは無言で顔を合わせ静かにその森を後にした。



ーー 魔王デルデニア  side


 四天王の報告を聞くにつけ魔王はその男のことが非常に気になってきた、その強さは既に亜神と言えるほどで魔族が総力で抵抗しても殲滅されることは容易く判断がつくしかしその男は向かってこない魔族を倒そうとはしていない・・・しかも自分宛に伝言すら伝えてきた「出て来なけれな何もしないと」その言葉が信じられるかどうかが魔族の将来を左右すると感じた。


「俺がそいつに直にあって判断しよう」

そう言う俺に四天王たちは

「魔王様、危険ではないでしょうか?あの男は人とは思えません。」

口々にそお言うと後は魔王様の判断でと俺の決断に従うと言った。

「ならば良い時期に会いに行こうそれまで皆は領内にとどまり情報収集のみを行え」

と決断指示し会議を終了した。


「シルバー伯爵は使徒か」

これに関して邪神様の神託はない。



デルデニアはいかにも魔王と言える姿形をしていた、鹿のような角に真っ赤な瞳、3mを超える身長に鍛え抜かれた身体、溢れ出る魔力と威圧は弱きものはその姿を見ただけで死んでしまいそうな。

そこでデルデニアは変化の魔法で限りなく魔力を抑え獣人のような姿でキグナス王国へ向かった。


その途中で冒険者ギルドという人族の身分証を得ることにした、魔物をいくらか狩って持ち込めば良いのかと適当にオークやバジリスクなどを数匹狩りある街に入ろうとしたところ大騒ぎになった。

「おいその魔物はお前が討伐したのか?」

と門番のような男が誰何してきたデルデニアは

「ああそうだここに来る前の森で狩った」

と答えたため

「警戒を強化しろ」「森に斥候を出せ」

などと大騒ぎになり出した、この町の周辺では強い魔物が現れることはほとんどなくバジリクスなどのランクBクラス以上の魔物はほとんど見つかっていないそんな魔物をすぐ近くの森で討伐したと言えば大騒ぎになることは当然だったのだがそんな常識は魔王にはない。


冒険者ギルドに連れて行かれたデルデニアはギルマスと領主騎士隊の隊長クラスと魔物のことについて根掘り葉掘り聞かれていた、

「と言うことはお前はあの南部大森林を超えてここにきたと言うことか?」

ギルマスが声を大にして聞き正す

「ああ、海に面する大きな森をそう呼ぶのならそうだ、何か問題があるのか?」

と答えるデルデニアに騎士隊長が

「どこの田舎者というかあの森を1人で抜けられるものなのか?」

とギルマスに問えば

「外周部を歩けば万に一つ可能性はあるがそれでもかなり実力がなければ無理だが・・・」

とデルデニアを見ながら

「お前は身分証を持たないと聞いたがここには何の目的で来た?」

と問い詰めると

「冒険者になれば身分証がもらえると聞いた、ただ実力がなければ自由に活動はできないと聞いたんでそこそこの魔物を狩って持ち込めば話は早く済むだろうと思っただけだ。」

と言い切るデルデニアにギルマスは

「もういい、分かったこの街に危険がなければお前が冒険者になることになんの問題もない受付で手続きをしてやるついて来い」

と言いながら部屋を出てギルドの受付に向かい1人の受付嬢に

「こいつのギルド証を発行してやれ、ランクは・・・Cでいいだろう。」

と言いつけた。


身分証と魔物素材の買取で金を得たデルデニアは、宿と食事の場所を聞き出し人族の生活を初めて味わうことになった。


「おめえー、新米のくせにランクCからだと!どこの出身だ?」

1人の冒険者が酒の勢いもあってデルデニアに絡んできたがデルデニアは人族とはこう言うもんだろうと思い気にもしていなかった、飯は意外と美味いだが酒は美味いといえなかった。

 10日ほどデルデニアはその街で冒険者としての活動をしながら人族の生活や魔族との関係を探っていったが、思ったほど魔族のことを敵だと考えていないことに気付いた。

「魔族?あいつらはほとんど姿を見せないが人族に侵攻してくると言っても魔王が現れた時ぐらいのもんで生きてる間に魔族を見るのはほんの一握りの人間だけだ、先日勇者が死んだと聞いたが何も生活が変わったわけじゃねえ、意外と魔族も悪いやつじゃねえかも知れねえや」

と言うことを話すものまでいた。


デルデニアは更に今の自分の役目に疑問を感じながらキグナスへ向かった。



ーー シルバーとデルデニアの第一遭遇



 その日シルバー伯爵はいつものように魔の森に狩りにきていた、既にグリーンアースの街は都市に言えるほど大きく発展しそこにある魔の森はシルバーの努力でただ豊かで広い森に変化していた。

 最近シルバーは、あるスキルを獲得してそのお陰でまりが穏やかになりつつあるのだそのスキルとは「魔素吸収」と言うものだ。

魔の森とは魔素の濃度の濃ゆい地域が森と化しそこに強い魔物が現れ住み着く場所を言うのであり魔素が日毎に薄くなれば新たに現れる魔物のはそこまで強くなくただ豊かな森に変化するだけになる。


吸収した魔素はどうなるかと言うとシルバーに蓄積してゆき今やその魔力量は邪神や神に匹敵すものとなっていた。


「もうここには竜種が生まれることもないか。」

と呟きながらシルバーは最後の水竜を森の湖に中で仕留め引き摺りながら岸辺に上がったときにセラーヌ王国側から東部大森林を抜けてきたと思われる男と出会った、その男も手には今さっき倒したと思える地竜が握られていた。

「まだ竜種が居たのか。」

そうシルバーはその男に声をかけた、男はシルバーとその手の先に倒れている水竜をを見て目を見開いていた

「そう言うお前もかなりの大物を倒しているではないかそれに比べればこれなど赤子のようなもんだろ。」

男は自分の地竜が若い属性竜でシルバーの狩った水竜が古竜だと気づいたいたからだ。

「確かにそう言われればそうだがそれでも竜は竜だろ、それどうするんだ特に目的がなければ俺が買い取ってやるぞ。」

シルバーは水竜を収納魔法で収納すると男に持ちかけた

「これか、飯にしようと狩っただけだからなまだ街まで距離があるのか?」

と言う男の問いに

「飯なら俺が今から作るがそれでいいなら一緒に食うか?街まで歩けば10日はかかるだろう」

問い答えに男は

「ならばご相伴にあずかろう、これも食うか?」

と地竜の尻尾を持ち上げると

「いいだろうここにかまどを作ろう。」

と言いつつシルバーは要領よく準備し始めた。


デルデニアは、少しばかり恐怖を感じていた、

「俺が知らず知らずのうちに恐怖を感じるとは・・・この男が目的の男でなければ魔族は終わりだろうな、ただ目的の男だったとしても同じか。」

諦めに似た感情に身を任せると意外と気が軽くなったそして男をじっくり観察することにした。


魔の森の中央におけるキャンプ飯は意外と美味いものだった、男はやはりシルバーと名乗り手際よく料理をするとかなり旨い飯を提供してくれた。

「デルデニアと言ったかなお前はどこに行くんだこの先はキグナス王国だが身分証とはあるのか?」

とシルバーと名乗る男がデルデニアに目的地を聞いてきた

「ああそのキグナスへ行くのが目的だ、身分証はある冒険者をしながらここまで旅をしてきたからな」

と答える男にシルバーは

「それなら俺んところに来るかい?もう森にはそこまで強い魔物はいなくなったが仕事ならいくらでもある世話してやってもいいぜ。」

と言ってきたそこでデルデニアは

「確かに心を動かす誘いだが俺は田舎もんなんで暫くは都会の生活を味わってみたいと思っていたんだが・・・お前の言う街は大きいのか?」

と聞き返してきた

「自慢じゃないが田舎の割には大きいぞしかも便利だ、魔族のお前でも気にいると思うぞ。」

と自分の種族を言い切った。


デルデニアはそこまで驚いてはいなかった

「俺は聞きたい、魔族とは人と相容れないものなのかと」

心からの質問だったするとシルバーは

「何言ってんだ、言葉を話し同じものを食う生き物が相容れないのは誰かの思惑以外なかろう、俺は魔族が一緒に暮らしたいといえば断ったりしないぞただな誰かの言いなりになって攻めてくるならしょうがない叩くだけだ。」

と言い切った。

「……」

しばらくの無言の間

「改めて名乗ろう俺はデルデニア魔王だ」

と言うと

「俺はシルバー=グリーンアース、神側の駒だが自由な人間だ。」

と言いながら手を差し出したその手を取りデルデニアは笑った。


その後シルバーの移転魔法でグリーンアースの街に飛んだ2人は無言で別れた。



ーー グリーンアースという街


年々拡張を続けるグリーンアースは、その外構を一眼で見渡すことは既に不可能となっている、外側の城壁は全長が数百kmに渡り、人口は30〜50万と言われ正確な数は分からない。

辺境であるのに交易が盛んでインフラは王都より発達している、建物は合理的で暖かく水は旨くて綺麗だ食料も多くは生産しているが交易で様々な国からの商品が並んでいる。

「どうしてこの街はこんな事ができるのか」

デルデニアは考えながら暮らし始めると知らない事がわかり始める。

・人族の生活は住む場所や規模で大きく生活が異なる

・国や貴族の統治者により税や苦役がある

・商売人は利益のある場所に危険を押して来るようだ

そして

・この街には移転門という魔道具があり一定の場所に安全に移動できる

・この街は税がない苦役がない仕事はたくさんある

・魔の森は大きな恩恵をこの街に与えている

この町が発展している理由がわかり始めたしかも人種の別で差別らしい事が少ないと感じた。



「この依頼で良いですね」

冒険者ギルドの受付嬢がデルデニアの持って来た依頼書を処理し始めた、このグリーンアースに来て早くも半月が経過したデルデニアはこの街の特異性に驚きを隠せなかった、

「俺にもこれと同じ事が出来るのか?」

自問自答の生活が続く、

「あの男なら俺の質問に答えてくれるだろうか?」


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