第25話 この世界ならオタサーの姫(男ver)になれるかもしれない①
「さて、と……」
俺は時計を確認した。 まだ時刻は夜の9時になった所だった。 流石に寝るにはまだ早い時間帯だ。 うーん、エロコンテンツが無くなってしまった今の俺に出来る時間潰しなんて一体何があるというんだ……
「うん、普通にゲームしよ」
いや普通にあるわ、毎日FPSゲームして遊んでたわ。 という事でこっちの世界に来てから始めてのネットゲームをしてみようと思う。 俺がいつもやっているFPSは3人チーム制のバトルロワイヤルのゲームだ。 だから普段はネットフレンドと一緒にそのゲームをやっていた。
「今日は誰もインしてないなぁ……まぁしょうがないか」
という事で俺はパソコンを立ち上げて早速チャット・通話ツール(通称:ドィスコード)を開いてみた。 そこには普段からFPSゲームを一緒に遊んでいるネットフレンド達が一覧で並んでいて、いつもはそのフレンド達と通話をしながらゲームをしているんだけど、でも今日はそのフレンド達はまだオフライン状態になっていた。 なので俺はしょうがなく今日は野良でテキトーに遊ぶ事にした。
「……お、流石にマッチングは早いな」
待つ事数分で野良メンバーでマッチングした。 流石大人気のゲームだな。 という事でマッチングした野良の味方に早速挨拶をした。
「よろしくお願いしまーす」
『……え、あっ、よ、よろしくお願いします』
俺が挨拶をすると、味方の一人からも挨拶が返ってきた。 声質からして若そうな女性の声のように聞こえた。 いやというか、女性プレイヤーがこのゲームをやってるなんて珍しいな。 このゲームをプレイしている男女比は9:1で圧倒的に男性プレイヤーが多いゲームなんだ。 俺のドィスコに入ってるフレンドも皆男だしさ。 だから個人的には女性プレイヤーと遊べると思うとちょっとだけテンションが上がった。
そしてもう一人の味方はマイクを完全にミュート状態にしているようだった。 という事で俺はマイクを繋げているこの女性プレイヤーと通話しながら連携を取って遊ぶ事にした。
………………
…………
……
『……あー! すいません、落ちちゃいました……』
「いやいやナイファイナイファイ!! 俺の方こそ先落ちしちゃって本当にすいません!」
上手く連携が取れていったので、なんとか最後の2チームにまで生き残る事が出来たんだけど、相手チームの連携が上手すぎたため、こちらのチームは一瞬で壊滅させられてしまい負けてしまった。
「いやー、でもめっちゃ悔しいっすね! あ、良かったらもう一戦やりませんか?」
『え!? い、いいんですか! はい! 是非とも一緒にやりたいです!』
「お! ありがとうございます! じゃあ招待とフレンド申請送りますね!」
『はい、わかりました!』
マイクを完全にミュート状態にしてた味方は即抜けしてしまったけど、通話を繋げてくれていたもう一人の味方は是非やりたいと言ってくれたので、俺は早速チーム招待を送ってみた。
―― sironekoさんがaoiさんの招待に参加しました!
『参加しました! 改めてよろしくお願いします! しろねこですー』
「こちらこそよろしくお願いします! あおいですー」
という事で俺はしろねこさんとフレンドになった。 今度は中々マッチングが成立しなかったので、その間はしろねこさんとのんびりと雑談をする事にした。
『いやでもあおいさん物凄くプレイ上手ですね! もう尊敬しちゃいますよー!』
「いやいや、俺なんてまだまだ全然ですよ! それにしろねこさんこそめっちゃ上手じゃないっすか! さっきもキャラコンめっちゃえぐかったですし!」
『あはは、そう言って貰えると私も嬉しいですよー! いやそれにしても男の人でこのゲーム相当やり込んでる人ってかなり珍しいですよね! 普段は固定メンバーでやってるんですか?』
「あぁ、はいそうです! 普段は固定で組んで……って、え?」
俺はその会話にある違和感を感じた……
―― いやそれにしても“男の人”でこのゲーム相当やり込んでる人ってかなり珍しいですよね!
(……え!? もしかしてこの世界ってゲームやってる層も逆転してんの!?)
『……あれ? どうかしましたか?』
「……えっ? あ、あぁすいません。 ちょっと聞きたい事があるんですけど良いですか?」
『あ、はい、大丈夫ですよ。 何ですかね?』
「ありがとうございます! あの、ちょっと変な事聞いちゃうんですけど……このゲームってもしかして、女性プレイヤー結構多い感じですかね?」
『え? ま、まぁそうですねぇ……結構多いってか、ほぼ全員女性プレイヤーだと思いますよ?』
「あ、そ、そうなんですね。 なるほどなるほどー!」
『うん? 聞きたかった事ってそれだけですか?』
「あ、は、はい、そうです! すいません、変な事聞いちゃって」
『あ、い、いえ全然大丈夫ですよー。 その他にも聞きたい事あったら何でも聞いてくださいね!』
「はい、ありがとうございます!」
という事で俺はこの世界の新しい知識を得る事が出来た。 という事はつまり、こちらの世界でなら沢山の女性ゲーマーとお友達になれるってことか?? 何だよそれめっちゃ嬉しい話じゃん!
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