第20話 鹿島さん視点
(鹿島さん視点)
「ふんふんふ~ん♪」
授業終わりの放課後、私は鼻歌を口ずさみながら学生鞄を肩にかけてさっさと教室から出ていった。 何で私が陽気に鼻歌を口ずさんでいるのかといえば、今日は授業が少なかったからだとか、今日は金曜日で明日は土日休みだからだとか、まぁ理由は色々とあるんだけど、一番の理由は……
「……ふふ」
何と言っても今日はクラスメイトの男子である倉橋君のラインを入手する事が出来たのだ! 男子生徒と連絡先を交換したのは実は今回が初めてだったから、もうニヤニヤ顔が止まらない。
(……はっ!? も、もしかして……これがモテ期ってやつ??)
悲しい話だけど私は今まで生きてきたこの17年間で彼氏が出来た事は一度も無い。 だって異性と仲良くするのってハードルめっちゃ高いじゃん? いやでも本当にさ、皆どうやって彼氏作ってるんだろう?
私はそんな事を思いながら周りの彼氏持ちの女子を思い浮かべてみる。 私の周りで彼氏がいる女子と言えば、明るくてコミュ力の高い人か、ちょっとヤンチャなオラオラ系の人とか、あとは運動系の部活とか生徒会に所属しているリーダシップのある人だ。 あぁうん、私は何処にも属してないや……はぁ。
いやでも私だって男子にモテようと努力はしてるんだよ? ファッション雑誌とか読んでるし、見た目だってちゃんと気を遣ってるんだから。 うーん、でもなぁ……
(肝心のコミュ力がなぁ……)
だって男子相手に話そうとしても緊張しちゃって全然喋れないんだよ! 面と向かって喋ろうとしてもしどろもどろになったりどもったりしちゃうんだもん……はぁ。 同性相手だったら堂々とエロい話が出来るのになぁ。 何で異性相手だとあんなに喋るの緊張しちゃうんだろう……
でもそんな私にもとあるチャンスが舞い込んできた。 それが倉橋君だった。 倉橋君は運動系の部活に入っているため身体つきがシュッとしてて何というかその……健全なエロスを感じさせてくれる貴重な男子だ。
いやどうでもいいんだけど何でスポーツ男子ってあんなにエロく見えるんだろうね?? 体育の時の短パンから見える太ももとか、シャツからチラっと見える腹筋とかヤバイくらいエロいよね!! そんな目の保養になっている倉橋君が何故か最近私にちょっかいをかけてくれるようになったんだよ! こんなんテンション上がるに決まってるよね!
(しかも倉橋君って何かわからないんだけど話しやすいんだよなー)
倉橋君とちゃんと話したのはつい最近だし、もちろん緊張もめっちゃするんだけど……でも他の男子に話しかけるよりも緊張は少ない気がする。
何ていうか倉橋君って異性なはずなのに女子みたいなノリで話しかけてくるんだよね。 異性相手なのに距離感がちょっと近い感じだしえっちぃ話にも寛容だし、そ、それと気軽におっぱいまでも触らせてくれるしさ……そ、そんなの私のような処j……じゃなくて乙女には中々に刺激が強すぎるよ!
(絶対にこれからも倉橋君とは仲良くしてもらおう!)
いやえっちぃ話題に寛容な男子なんて神話上の生き物だからね! そんなのエロ漫画の世界でしか見た事ないからさ! だからこれからも仲良くさせて貰わねば……! そしたらワンチャン……あるよね?? だって今日のあの感じって……私を誘ってくれてたよね??
(それに多分だけど……)
それに倉橋君と話をした感じ、多分なんだけど倉橋君は彼女が欲しいっていう訳じゃなくて、純粋にエッチな事に興味がある感じなだけっぽい気がするんだよね。
いや何で私がそういう風に思ったのかっていうとさ、えっちぃ事に興味があってラブホとかを色々調べだすのっていつも私達が日常的によくやってる事だからさ。 だからやっぱり倉橋君って男子の皮を被ってるけど中身は女子なんじゃないのかな?
いやまぁ流石にそれは冗談だけど、でも、本当に倉橋君はエッチな事に興味があるっていうだけで私を誘ってきてくれてたのなら……
(いやそんな私に都合良すぎる展開あるか!?)
そりゃあ私だって彼氏欲しいよ?? もちろん欲しいに決まってるじゃん! でも彼氏が出来たとしてもすぐにエッチが出来るわけじゃないじゃん? 私ら女子は彼氏が出来たら今すぐにでもエッチしたいって思うけどさ……でも男子はそういうお猿さん的な思考じゃないもんね? 付き合った瞬間にエッチに誘ってくる女子なんて下心ヤバすぎて絶対に嫌だよね? ドン引きするよね??
やっぱり男子からしたらさ、デートを沢山重ねてお互いの事をちゃんと知ってからじゃないとそう簡単には体を捧げてくれないもんだよね? いやごめんこれ全部処女の妄想なんだけど、でも一般的にはそんな感じだよね?
そんでさ、そんな時に倉橋君が“エッチな事に興味がある”って言ってきたんだよ? そんなんテンション爆上がりするに決まってるじゃんね。
「ふんふんふーん……って、あれ?」
私は下校途中にブレザーのポケットに入れていたスマホを取り出そうとしたんだけど……その時、ポケットにスマホが入ってない事に気が付いた。
「……あ、机の中に置きっぱなしだ……」
そういえば今日授業中に机の下でこそこそとラブホについてスマホで調べてたんだ。 それでその時先生にスマホがバレそうになってとっさに机の中に隠したんだっけか。
「危ない危ない……電車に乗る前に気が付いてよかった」
学校の校門を出てすぐの所でそれに気が付いてよかった。 という事で私は急いでスマホを取りに学校へと戻って行った。
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